[プロフィール] 七七 : 名称:七七(なな)
年齢:不明
大まかな性格:口数少なめのキョンシー、感情が読めない
戦闘方法:小さな体躯と半死者らしい無茶な動き、短剣
スタンド:リンプ・ビズキット(DISC)
【破壊力 - なし / スピード - B / 射程距離 - B / 持続力 - A / 精密動作性 - C / 成長性 - E】
死んだ生物を透明な死骸として蘇らせる。自身の身体もこの能力によって蘇ったもの。
周囲に死骸があればどんなものでも生前の状態に復元できるがそのコントロールは困難であり、生者の脳味噌を目掛けて襲いかかる。
ゾンビはスタンド使いの目には見えないが実体を持つため、血液や水などで可視化できるほか、頭部や全身の破壊、また能力者自身の破壊によりその機能を停止する。
弱点:キョンシーの身体であるため物理攻撃は効きづらいが、熱や日光に少し弱い。
負けの許容:心配はない。
戦闘目的:赤石による日光の克服、生者らしい生活の獲得を唆されたことによる。
小目標:意志を持った選択をしたい。

[メイン7] 七七 :

[メイン7] 七七 :

[メイン7] 七七 : ……。

[メイン7] 七七 : 眩しい。

[メイン7] 七七 : きしり。起き上がる。

[メイン7] : 「━━おっと」

[メイン7] : 「━━お目覚めのようだね。体調は良好かい?」

[メイン7] 七七 : ……誰?

[メイン7] 七七 : どこも、白い壁。

[メイン7] : 「━━ふむ。臆せず言うとなれば……君の恩人、といったところかな」

[メイン7] 七七 : きょろきょろと見渡す。

[メイン7] 七七 : この人も、この景色も……覚えてない。

[メイン7] : 「━━甦ったばかりで記憶に若干の混乱が生じているようだね。問題ない、想定の範囲内だ」

[メイン7] 七七 : ……なにか?

[メイン7] : 「━━いいや。いきなりで悪いが、君に少しお願いがあってね。」

[メイン7] : そう言い終わると共に、ジャラ……と、ペンダントのようなものを掲げてみせる。

[メイン7] 七七 : ……赤い。

[メイン7] : 反射的に伸ばそうとした右手が……きし、と折れ曲がる。75度。

[メイン7] : 「━━おや。」

[メイン7] : 「━━無理もない。新しい環境に慣れるのに時間を要するのは当然のことだ」

[メイン7] 七七 : ……。

[メイン7] : ゆったりと支えられる手。その指先に、ぽろぽろと蛆のようなものが這う。

[メイン7] : 「━━お願いというのはね、この赤い石のことだ。……もっとも、これは単なるレプリカに過ぎないんだけれど」

[メイン7] : 目の前でふらふらと揺れる宝石。

[メイン7] 七七 : ……きれい。

[メイン7] : 「━━さて。僕としては、君を危険な目に合わせるのは本意ではないんだが」

[メイン7] : ぽん、と触れられる肩。

[メイン7] :

[メイン7] : 「━━言ってしまえば、これは君のためでもあるんだ。聞いてくれるね、七七」

[メイン7] 七七 : ……。

[メイン7] 七七 : わからない。

[メイン7] 七七 :

[メイン7] 七七 :

[メイン2] 神原駿河 :  

[メイン2] 神原駿河 :  

[メイン2] 神原駿河 : バス停から降りて、しばらく走っていた

[メイン2] 神原駿河 : 別段、誰かに追われていたッ!
とかではなく

[メイン2] 神原駿河 : じっとしていもなんとかできる材料は無いし、走る事には慣れていたからだ

[メイン2] 神原駿河 : ……その調子で、しばらく走っていたが

[メイン2] 神原駿河 : 「こんなにも、奇妙な物を目にするとは…」

[メイン2] : そう、視界に飛び込むのは……奇妙な光景。

[メイン2] : 帽子を被ったラベンダー髪の小柄な少女が、壁に密着したまま……にらめっこをしている。

[メイン2] 七七 : 「…………」

[メイン2] 神原駿河 : 可愛らしい服の童女が、壁と睨めっこをしていた

[メイン2] 神原駿河 : 中華風の可憐な衣装、額に貼られた札と、連想する物もある気はするが…

[メイン2] 神原駿河 : 「どうしたんだい?」
まあ、気軽に声をかけよう

[メイン2] 七七 : 「……?」

[メイン2] : 少女は、そのままの体勢で。

[メイン2] 七七 : 「だれ?」

[メイン2] 神原駿河 : 「ああ、失敬!」

[メイン2] 神原駿河 : 「私の名前は神原駿河、この街には初めて来たのだが……」

[メイン2] 七七 : 「……すがる?」

[メイン2] 神原駿河 : さて、名前を名乗ったところでもう一度

[メイン2] 神原駿河 : 「いや、駿河だ。するが」

[メイン2] 七七 : 「するが」

[メイン2] 神原駿河 : 「そう、ところで……」

[メイン2] 神原駿河 : 「何故、壁に?」

[メイン2] 七七 : 「するが。七七は、前に進めない」

[メイン2] 神原駿河 : 「……壁があるものな」

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 神原駿河 : 「……」

[メイン2] 神原駿河 : 取り敢えず、壁から放してあげようと思う
この年頃の女の子特有のおまじないかもしれないが…

[メイン2] 神原駿河 : 七七を抱き上げて壁から離し……

[メイン2] 神原駿河 : 少し深呼吸をして、地面に下ろす

[メイン2] 七七 : 「わ」

[メイン2] 神原駿河 : ……ふむ?

[メイン2] 神原駿河 : なんだろうか、この匂いは
嗅いだ覚えはあるのだが…

[メイン2] 七七 : すてん、と地面に降り立ち……少し前のめりになりながら、倒れないようにこらえる。

[メイン2] 七七 : そのままくるん、と神原の方に向き直り。

[メイン2] 七七 : 「……ありがとう。するが、いい人」

[メイン2] 神原駿河 : 「うむ、可愛い女の子は助けてあげる、阿良々木先輩の教えだ」

[メイン2] 神原駿河 : 無論、本人からは聞いていないが私の心の中の先輩はそう言っている

[メイン2] 七七 : 「……?」

[メイン2] 七七 : 「……うん。七七、行かなきゃ。またね」

[メイン2] 七七 : そのままとてとてと数歩進んだところで。

[メイン2] 七七 : 同じ壁にとすん、とぶつかる。

[メイン2] 神原駿河 : 「………」

[メイン2] 神原駿河 : 萌えるが、萌え狂えるが……
助け船を出した方が良さそうだ

[メイン2] 神原駿河 : 「なあ、七七ちゃん。私は割と暇なんだ」

[メイン2] 神原駿河 : 「これからそんな風に、壁に激突したら大変だろう?」
「私としても君が心配だ」

[メイン2] 神原駿河 : 「だから、私に道案内をしてもらう代わりに、助けさせてもらえないかな?」

[メイン2] 七七 : 「……?」

[メイン2] 七七 : 「するが、七七のこと、助けてくれるの?」

[メイン2] 神原駿河 : 「ああ」

[メイン2] 神原駿河 : 「君のような娘を放っては置けないし……私も、この街について知っておかないといけないんだ」

[メイン2] 七七 : 壁の方を向いたままこくりと頷き。

[メイン2] 七七 : 「……わかった。ええと……」

[メイン2] 七七 : 足をばたばたと。

[メイン2] 神原駿河 : 可愛い……持って帰りたい……
っと、早く助け船を出さないと

[メイン2] 神原駿河 : 再び抱き上げて、壁から離す

[メイン2] 神原駿河 : 「これで大丈夫、それにしても……なんのおまじないなんだい?」

[メイン2] 神原駿河 : 先程から何度も壁に向かう姿は中々見ていて可愛らしいが、少し不可思議でもある

[メイン2] 七七 : 「……ありがと。するが、いい人。……メモ、持ってる」

[メイン2] 神原駿河 : 小学校で流行っているおまじないだろうか?

[メイン2] 神原駿河 : 「ん、お買い物か!」

[メイン2] 七七 : ポケットのあたりから紙とペンを取り出し、何か書き入れる。

[メイン2] 七七 : 『するが』

[メイン2] 神原駿河 : 「?」

[メイン2] 七七 : 「うん、……するが、これで忘れない。」

[メイン2] 神原駿河 : 「……なるほど、名前を書いてくれたのか」

[メイン2] 七七 : こくん。

[メイン2] 七七 : 「……七七、すぐ忘れちゃうから。大事なこと、メモ……とってる。」
「……それで、するが……何のご用だっけ。」

[メイン2] : ふと覗き込んだメモの端には、その『するが』の文字の他に。

[メイン2] : 『せんせい』

[メイン2] : 『あかいいし』

[メイン2] 神原駿河 : 「……赤い石?」
思わず、読み上げてしまった

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : くるん。

[メイン2] 七七 : 「するが、知ってるの?」

[メイン2] 神原駿河 : 「え、あ、いや……知らないな」
メモを盗み見てしまった罪悪感から、ついと口籠る

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : 「知ってるの?」

[メイン2] 七七 : すい、と顔を近づけて。

[メイン2] 神原駿河 : 「七七ちゃん…?」
「いや、知らない……が」

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : 元通り離れて。

[メイン2] 七七 : 「……七七、赤い石、探してる。……赤い石、お願い。先生に頼まれた。」

[メイン2] 七七 : 自らに語りかけるように、ゆっくりと復唱する。

[メイン2] 神原駿河 : 「赤い石……とは随分、大きな括りだな…」
「特別な物なのかい?」

[メイン2] 七七 : 「うん。」

[メイン2] 七七 : 「先生、言ってた。七七、元通りになるって。」

[メイン2] 神原駿河 : 「……元通り?」

[メイン2] 神原駿河 : 「はは、まるで吸血鬼みたいな事を言うのだな、七七ちゃんは」

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : じっと目を見つめ。

[メイン2] 七七 : 「それは、生き物?」

[メイン2] 神原駿河 : 「正解」
「いわゆる“リビングデッド”生きる屍だ」

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : ゆっくりと考えるように。

[メイン2] 七七 : 「するがは、吸血鬼のおともだち?」

[メイン2] 神原駿河 : 「────」
それは、中々答えるには複雑ではあった
阿良々木先輩は吸血鬼──もっと正確に言えば、もどきとも付くが──
確かに素晴らしい友人だ

[メイン2] 神原駿河 : しかし、友人だけで関係を終わらせるのも……いや、そもそも
私は“吸血鬼”ではなく、“阿良々木暦”に親友なの、だが

[メイン2] 神原駿河 : ここまで語って萎縮させるのも可哀想だ
仕方がない、ここは安直な答えを返してあげよう……私も甘いな

[メイン2] 神原駿河 : 「“ああ、その通りだ”」

[メイン2] 七七 : 「……?」

[メイン2] 七七 : 少し戸惑った様子だが……やがて、こくんと頷いて。

[メイン2] 七七 : 「じゃあ」

[メイン2] 七七 : 「……生きてない人は、おともだちになれる?」

[メイン2] 神原駿河 : 「ああ、恐らくな」

[メイン2] 神原駿河 : 「少なくとも、“生きていないから”という理由では友達になれないと、私は思わない」

[メイン2] 七七 : 「……。」

[メイン2] 神原駿河 : 「……ああ、そう言えば。私の目的を話していなかったな」

[メイン2] 七七 : 「するがの?」

[メイン2] 神原駿河 : 「実を言うと、私の住んでいる街でゾンビが発生してな……」
「その根源が、ここにあるらしい」

[メイン2] 神原駿河 : 「それを探し出すのが、私の目的だな」

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 神原駿河 : 「……どうしたんだい、七七ちゃん?」

[メイン2] 七七 : メモに目を落として。

[メイン2] 七七 : 「するが。」

[メイン2] 七七 : 「するが、いい人だよね?」

[メイン2] 神原駿河 : 「……その、恥ずかしながらあまり良い人とは、自分を呼べないが」
「君には優しくしたいと思っている」

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : すこし距離をとり。

[メイン2] 神原駿河 : 「あれ、七七ちゃーん?」

[メイン2] 七七 : 「………………………………の?」

[メイン2] 神原駿河 : ──聞き取れなかった、いや

[メイン2] 神原駿河 : 聞きたく、無かったのかもしれない

[メイン2] 神原駿河 : 「……え?」

[メイン2] 七七 :

[メイン2] 七七 : 『七七のこと、殺しに来たの?』

[メイン2] 七七 :

[メイン2] 七七 : ━━刹那。地面が、何者かに押されるように……めきめきと盛り上がる。

[メイン2] 神原駿河 : 何か、そんな
恐ろしい言葉が、あんな可憐な
聞こえた、聞こえたく無かった言葉が響いて

[メイン2] 神原駿河 : 「な、何を言っているんだ?」

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 神原駿河 : 「殺す、だなんて……私の目的は、ソンビにいなくなってもらう事さ」

[メイン2] 七七 : 「……!」

[メイン2] 神原駿河 : 先程、抱き上げた時に香った匂い

[メイン2] 神原駿河 : アレは、いいや。
気のせいだ、きっと、きっと

[メイン2] 神原駿河 : 近くで、猫でも“死んでいたんだ”

[メイン2] 七七 : 「━━うそつき」

[メイン2] 神原駿河 : 「────」

[メイン2] : ……頬を掠める、鋭い痛み。

[メイン2] 七七 : 「やさしくする……って、言ったのに。」

[メイン2] 神原駿河 : 線染めるように、血が滲み、彩る

[メイン2] 神原駿河 : 何かが、ああ、いや

[メイン2] 神原駿河 : ”目の前のこの娘が“か

[メイン2] 神原駿河 : 「まさか、君は……!」

[メイン2] 七七 : ━━神原ほどの若さであれば、この距離でも十分確認できるだろう。

[メイン2] 七七 : こちらを示す指の先に、わらわらと……小さな白い虫が集っているのを。

[メイン2] 神原駿河 : 「──ゾンビ、か」

[メイン2] 神原駿河 : 確信を胸に、相手に大きく遅れ相手を敵と認定する

[メイン2] 七七 : 「うそつき。」

[メイン2] 七七 : ゆっくりと……被っていた帽子をとると。

[メイン2] 七七 : 一陣の風圧と同時に……その左腕の裾を。

[メイン2] 神原駿河 : 「ッ!?」
咄嗟に一歩下り、身を逸らす

[メイン2] 七七 : 「……。」

[メイン2] 七七 : 「……するがも。あのおかしな力で、七七を殺しに来たの?」

[メイン2] 神原駿河 : 「……いや、それは」
否定、しきれない

[メイン2] 神原駿河 : 事実、最初は根元に近いゾンビは殲滅するつもりでもあった

[メイン2] 神原駿河 : 話し合いができない相手だ、と聞き及んでいたから

[メイン2] 神原駿河 : こんなに、人間に近いなんて想像もできなかったから

[メイン2] 七七 : 「……違うの?」

[メイン2] 神原駿河 : ……手を汚す羽目になる、なんて考えもしていなかったから 言葉に詰まる

[メイン2] 神原駿河 : 「…そう、だ」
「私は、ゾンビを、それを広める者を殺しに、来てしまった」

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : 「……じゃあ、早くして。」
「するが、いい人だから……待ってあげる。」

[メイン2] 七七 : 冷たい目を。

[メイン2] 神原駿河 : 「……殺されて、構わないとでも?」
「死にたいとでも言う気か!?」

[メイン2] 七七 : 「……。」

[メイン2] 七七 : 「……だって、もう……死んでるのと、一緒だから。」

[メイン2] 七七 :
「七七は、生きるために……ここに来た。」

[メイン2] 神原駿河 : 「……」
それが、どんな理由かはわからない

[メイン2] 神原駿河 : だが、彼女は攻撃した
恐らくは……“牙”と同じ力で

[メイン2] 神原駿河 : だから、私は……

[メイン2] 神原駿河 : 「……そうか、それでも」
「私は、“ゾンビを殺すよ”」
左腕を構え、宣言した

[メイン2] 神原駿河 : 私の先輩を殺そうとしたから、私を食い物にするから

[メイン2] 神原駿河 : 話も通じないなら、戦争しかない

[メイン2] 神原駿河 : 生きたくても、死にたくなくても
殺したくても、生かしておきたくとも

[メイン2] 神原駿河 : 「殺すしかない」

[メイン2] 七七 : 「…………」

[メイン2] 七七 : それが、自らの生への渇望の妨げとなるのなら。

[メイン2] 七七 : 「━━死なないように、がんばって」

[メイン2] 神原駿河 : 「では、始めようか…!!」

[メイン2] 神原駿河 : そう言うや否や、背を向けて全力で逃げ出した

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : 「え」

[メイン2] 七七 : きょとん。

[メイン2] 神原駿河 : まあ、コレは死ぬのが怖いとかではなく

[メイン2] 神原駿河 : 七七は、どうやらバグを起こしていずれ動けなくなる

[メイン2] 神原駿河 : 私を見失えば、彼女は無力化されたも同然なのだ

[メイン2] 神原駿河 : なら……動かなくなってから狙えば良い
最悪、朝日が出るまで放置すれば私の勝ちなのだ

[メイン2] 神原駿河 : それに、この街にはいろんな人が集まっている
もし仮に遭遇できれば……

[メイン2] 神原駿河 : まず間違いなく、同種同士で手を組める

[メイン2] 神原駿河 : 「君は、人間ではないからな」
熊や、虎と同じ

[メイン2] 神原駿河 : 助け合える間柄にない以上、数の利は確実にこちらにある

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] : 『聞き給え。ここにて命ずる』

[メイン2] :

[メイン2] :

[メイン2] 氷室 セナ : 素早く走り、入れ替わりでその現場に

[メイン2] 氷室 セナ : 周囲をちらりと見まわしつつ、目的の"ゾンビ"を探す

[メイン2] 氷室 セナ : 「隠れている…?」

[メイン2] ロレンチーニャ : 周囲のロレンチーニャが索敵として見回る

[メイン2] 氷室 セナ : 「…やはり見つからない、か」

[メイン2] 氷室 セナ : 生体電流を参考に索敵させても、ゾンビともなれば

[メイン2] 氷室 セナ : 生きていない器官には電気は流れていないのだ

[メイン2] 氷室 セナ : 「…この目で確認するしかないか」

[メイン2] 神原駿河 : 地面を軽く蹴飛ばすように、跳ねるようなスピードで走り寄ってくる

[メイン2] 神原駿河 : 「し、失礼!」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…」

[メイン2] 神原駿河 : 「先程、言い損ねた事があり、追いかけてきました!」

[メイン2] 氷室 セナ : 「搬送していたのですが」

[メイン2] 氷室 セナ : 「?」

[メイン2] 神原駿河 : 「相手は、見えない物を使って攻撃してくるみたいなんです」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…見えない物?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ふむ」

[メイン2] 神原駿河 : 「はい、ほら……」
左腕を差し出し、念じると…

[メイン2] 氷室 セナ : 「?」

[メイン2] : 「チュミミーン」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…!」

[メイン2] 氷室 セナ : 「成程…」

[メイン2] 氷室 セナ : 「"スタンド使い"でしたか」

[メイン2] 氷室 セナ : 溜息を一つ、成程

[メイン2] 神原駿河 : 「……ス、スタンド?灯りが、いるんですか?」

[メイン2] 氷室 セナ : ただの被害者では、無かっただけか

[メイン2] 氷室 セナ : 「いや」

[メイン2] 氷室 セナ : 「そのヴィジョンの通称です」

[メイン2] 氷室 セナ : 「私も持っているものです」

[メイン2] 神原駿河 : 「……この、小さいのが」
……でも、足無いよな

[メイン2] スカイハイ : 右手に、示すように

[メイン2] : チュミミーン、と鳴くとスカイハイに近づく

[メイン2] : ペチペチ触っている

[メイン2] スカイハイ : 生き物のようだが、生きてはいない

[メイン2] 氷室 セナ : 「相手も成程…」

[メイン2] : 寂しげに鳴くと、左腕の中に戻って行く

[メイン2] 氷室 セナ : 「"スタンド"による透明な力、と?」

[メイン2] 神原駿河 : 「は、はい!」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…わかった」

[メイン2] 氷室 セナ : 「貴方は下がってください、どちらにせよ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「仕事に素人を混ぜるつもりはないので」

[メイン2] 氷室 セナ : スカイハイを掲げて

[メイン2] ロレンチーニャ : わらわら、虫が統率を取り

[メイン2] 氷室 セナ : 「周辺警戒」

[メイン2] 神原駿河 : 一歩下り、様子を見守る

[メイン2] 神原駿河 : 「……コレが、貴女のスタンドなんですか?」
「いっぱい、いるのですね」

[メイン2] ロレンチーニャ : 辺りの壁面に張り付き、放電する

[メイン2] 氷室 セナ : 「これらは生物です、スタンドではない」

[メイン2] 神原駿河 : 「……こんな生き物が、身近にいたのか」

[メイン2] 氷室 セナ : 「学名コーイレエレクトリカスロレンチーニャ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「私はロレンチーニャと呼んでいる、まだ学界には出ていない新種の虫」

[メイン2] 氷室 セナ : 「餌は電磁波…故に群れを成すことで」

[メイン2] 氷室 セナ : セナ自身にはわからない、が

[メイン2] 氷室 セナ : 周囲には、レーダーのように目には見えない索敵網が発生している

[メイン2] 氷室 セナ : 「…さて」

[メイン2] 氷室 セナ : 「対象は、どこへ」

[メイン2] 氷室 セナ : 警戒を強めて、周囲を見回すのだった

[メイン2] : その時、ぴくん……と。
そのレーダーを突っ切るように駆けてくる透明ななにかが……神原の方向に。

[メイン2] 氷室 セナ : 「…怪我人」

[メイン2] 氷室 セナ : 「左に躱して」

[メイン2] 神原駿河 : 透明な何かの早さに気付かず、声に反射で従う

[メイン2] 氷室 セナ : M79擲弾筒を向けて

[メイン2] 氷室 セナ : 一発、榴弾が放たれる

[メイン2] 氷室 セナ : 「…視界に映らない、だけじゃない」

[メイン2] 氷室 セナ : 「透明な"存在"…!」

[メイン2] : 腹部にぶん、と迸る……悪寒のような風圧。

[メイン2] 神原駿河 : 「なっ──!?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「当たらないか…!」

[メイン2] 氷室 セナ : 透明な敵に、正確な狙いは出来ない

[メイン2] 氷室 セナ : すり抜けた榴弾が、後方で炸裂

[メイン2] : 「……」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ッ」

[メイン2] 七七 : 「……そっち。するがのおともだちの、吸血鬼?」

[メイン2] 氷室 セナ : 静かに、砲弾を取り換える

[メイン2] 氷室 セナ : 「…!」

[メイン2] 氷室 セナ : 「声…成程」

[メイン2] 神原駿河 : 「七七…!!」

[メイン2] 七七 : 気付いた時には、その少女は二人の背後で……浮いている。
まるで、何かに腰掛けているように。

[メイン2] 氷室 セナ : 「貴女が"ゾンビ"ですか?」

[メイン2] 神原駿河 : ……振り向いてから、寒気が走る

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : 「キョンシーだ。」

[メイン2] 氷室 セナ : 「キョンシー」

[メイン2] 氷室 セナ : 「成程、把握しました」

[メイン2] 神原駿河 : 「……中華風の呼び名、なのか?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「同地域の事案でそう呼称された記憶はあります」

[メイン2] 氷室 セナ : 「では、貴女…いや」

[メイン2] 氷室 セナ : 「先ほどに倣えば、七七でしたか」

[メイン2] 七七 : 「七七。」
こくんと

[メイン2] 神原駿河 : 「……」
コクリと頷いて

[メイン2] 氷室 セナ : 「…言ってましたね」

[メイン2] 氷室 セナ : 「確か、ゾンビだと」

[メイン2] 氷室 セナ : 神原を見る

[メイン2] 氷室 セナ : 「彼女がそれで相違は無く?」

[メイン2] 神原駿河 : 「……ああ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…」

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 氷室 セナ : 瞳は冷めている、それは仕事だからだ

[メイン2] 神原駿河 : 「手に、ウジが這っていた。それに……」

[メイン2] 氷室 セナ : 医療班であると同時に、屍鬼と何度か対峙したが…

[メイン2] 氷室 セナ : 「…?」

[メイン2] 神原駿河 : 「死臭がする、凄く、わかりやすく」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ウジが?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…死臭?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…」

[メイン2] 氷室 セナ : 「認識を改める、任務目標を変更」

[メイン2] 七七 : 「……ねえ。」
「……そっちの、あなたも。私を殺しに来たの?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…その話は本当ですね?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「いいや」

[メイン2] 氷室 セナ : 「対象"七七"」

[メイン2] 氷室 セナ : 「私は貴女を『確保』する」

[メイン2] 氷室 セナ : スカイハイを掲げて

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ロレンチーニャ」

[メイン2] ロレンチーニャ : レーダーの陣形を崩して

[メイン2] 神原駿河 : 「──!」

[メイン2] ロレンチーニャ : 七七に取り付こうと飛びかかる

[メイン2] 氷室 セナ : 「死体の確保は」

[メイン2] 氷室 セナ : 「医療班の仕事なので」

[メイン2] 氷室 セナ : その語気は、先ほどより強い

[メイン2] 神原駿河 : 死体、と聞き表情が曇る

[メイン2] 七七 : 「……あなたは、いい人じゃない。」

[メイン2] 七七 : すとん、と。そのまま地面に落下し、追撃をかわす。

[メイン2] 氷室 セナ : 「そうですか」

[メイン2] 氷室 セナ : 「攻勢陣形」

[メイン2] ロレンチーニャ : そのまま、一匹を先頭に

[メイン2] ロレンチーニャ : 数十匹が円を描くように並ぶと

[メイン2] 神原駿河 : 「……すごい、まるで軍隊みたいにあの女の人に従っている」

[メイン2] ロレンチーニャ : テーザーガンのように電流を発生させる

[メイン2] 七七 : 「…………っ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…効いていますか?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「効いていないのなら、他の手を取らせていただきます」

[メイン2] 七七 : 「……熱いのは、嫌い」

[メイン2] 神原駿河 : 「……まだ、手札があるのか」

[メイン2] 氷室 セナ : 「成程」

[メイン2] 七七 : 逃げるように転がり、その姿が再び見えなくなる。

[メイン2] 氷室 セナ : 「…索敵!」

[メイン2] ロレンチーニャ : 微粒な電磁波のレーダーをもう一度

[メイン2] ロレンチーニャ : しかし、すぐには情報は伝達しない

[メイン2] 神原駿河 : 「また、透明に──ッ!」

[メイン2] 氷室 セナ : 「やはり」

[メイン2] 氷室 セナ : 「成程、本当に死体だ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ロレンチーニャの索敵で見つからないものは、無機物と"生きていない物"」

[メイン2] 氷室 セナ : 「自身の餌として、生物の生体電流に惹かれるはずのロレンチーニャが引き寄せられない…つまり」

[メイン2] 氷室 セナ :
  ゾンビ
「"屍生人"じゃあないッ!」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ロレンチーニャ!陣形解除!」

[メイン2] : 「……」

[メイン2] : 「……来ないなら、こっちから行くけど。」と、声。

[メイン2] 氷室 セナ : 「…来る!」

[メイン2] : がりがりがりがり……と、地面が波打つ。

[メイン2] 氷室 セナ : 「ロレンチーニャ!」

[メイン2] ロレンチーニャ : 危険を感じる場所へ接近するが

[メイン2] 神原駿河 : 「これは……!?」

[メイン2] ロレンチーニャ : ロレンチーニャには直接的な戦闘力は無く、電気の流れ難いコンクリートには無力だ

[メイン2] 氷室 セナ : 「透明になり、生体電流もない」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…そろそろ手が少ないな…」

[メイン2] : 血に飢えた獣の、その虫もろとも猛進し噛みつこうとする気配。

[メイン2] 氷室 セナ : 「ッ!」

[メイン2] ロレンチーニャ : 突進にその身を砕かれる

[メイン2] 氷室 セナ : 「にわか仕立てです、が!」

[メイン2] 氷室 セナ : 「コォオオオ…」
深く呼吸を整える

[メイン2] 神原駿河 : この、音は

[メイン2] 氷室 セナ : 「本当に、屍生人なら、これで迎え撃ちましょうか」

[メイン2] : 「……!」

[メイン2] 神原駿河 : なんだ?まるで、谷底を吹き抜ける風のような不思議な音は…

[メイン2] 氷室 セナ : パチパチ、とか細いエネルギーが右手に

[メイン2] 神原駿河 : 音源へと目を向け、何を成すかを確認する

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ロレンチーニャ!」

[メイン2] ロレンチーニャ : 何匹かが、その右手に

[メイン2] 氷室 セナ : 「"波紋"陣形!」
微かな電流を倍増させていく

[メイン2] 神原駿河 : ……まさか、あの手で殴る気なのか!?

[メイン2] : 「がアアアアアアアァァァッッッ!!!」

[メイン2] 神原駿河 : 「凄い、まるで電流が迸るような不思議な力が、セナさんの手に溢れているッ!」

[メイン2] 氷室 セナ : 微かに練られた生体電流を、更に倍増させる媒体としてロレンチーニャを扱い

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ぐッ…」

[メイン2] 氷室 セナ : 「や、はり…」

[メイン2] 氷室 セナ : 「効ききっていない…」

[メイン2] 神原駿河 : 「……えっ!?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「っ、ゴホッ、ゴホッ」

[メイン2] 神原駿河 : 「だ、大丈夫ですか!?」

[メイン2] 氷室 セナ : 波紋が解けて、右手が焦げる

[メイン2] 氷室 セナ : 「…七、七さん、聞こえますか」

[メイン2] 神原駿河 : さっきの技、そんなに反動が強いのか…!?

[メイン2] : 「……」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…私はSPW財団の、氷室セナ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「本来ならば、屍生人という"吸血鬼の眷属"を討伐するという役目で、此処に居ましたが」

[メイン2] 氷室 セナ : 「貴女は違う、死体のまま…生きていないと、私は推測します」

[メイン2] 神原駿河 : 「……え?」

[メイン2] : 「……」

[メイン2] 氷室 セナ : 「故に、敵ではなく」

[メイン2] 氷室 セナ : 「『患者』と判断したいと考えています」

[メイン2] 神原駿河 : 「な、何が…それに、患者?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「スタンドか、或いは別か…」

[メイン2] 氷室 セナ : 「貴女の事情を聞かせてほしい」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…そうで無いのなら、確保できるまで戦闘を続けます」

[メイン2] : 「……」

[メイン2] 神原駿河 : 「……七七ッ!!」

[メイン2] 神原駿河 : 「何か、事情が変わりつつあるらしい事を、今更愚かな私は理解した!!」

[メイン2] 氷室 セナ : 波紋は、生命のエネルギー…太陽の力

[メイン2] 氷室 セナ : 屍生人は吸血鬼の弱点であるそれに耐えうることは、無い

[メイン2] 神原駿河 : 「どうやら、ゾンビには種類があるらしい……私は、それを見誤っていた!!」

[メイン2] 氷室 セナ : しかし、相手は違う…理由は定かではない、が

[メイン2] 神原駿河 : 「ゾンビを殺す、といった際」
「君に爪を向けたのは……間違いだったようだ!!」

[メイン2] 神原駿河 : 勢いよく頭を地面に叩きつけ、謝罪の姿勢を取る

[メイン2] 氷室 セナ : 「…?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…兎も角、戦闘を続けるのなら…こっちも貴女も無事に終えません、間違いない」

[メイン2] 神原駿河 : 「すまなかった、私が間違っていた」
「間違った事をした、心の底からそう思う」

[メイン2] 神原駿河 : 「許してくれ、七七ちゃん。この通りだ」

[メイン2] : 「……」

[メイン2] : 立ち登る土煙の中から、表面が薄焦げた透明な犬のようなものが見える。

[メイン2] 氷室 セナ : 「…おや」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…これは」

[メイン2] 氷室 セナ : 「"違う死体"!?」

[メイン2] 七七 : 「…………」

[メイン2] 七七 : ゆったりと透明化を解除し……セナの背後から首元に向けていた剣を。

[メイン2] 氷室 セナ : 「…成程」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…貴女の、能力ですね」

[メイン2] 神原駿河 : 「……」
そのまま土下座の姿勢を続けている

[メイン2] 七七 : こくん、と。

[メイン2] 七七 : 「殺さないなら、いいよ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ええ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「すいません、振り向いても構いませんか?」

[メイン2] 神原駿河 : 「ああ、殺さない。私は相手をずっと間違えていた」
「理由が無いし、資格もない、当然権利も有りはしない」

[メイン2] 神原駿河 : 「むしろ、殺されても仕方がない」
「本当にすまなかった」

[メイン2] 七七 : それに答えるように、短剣を収める。

[メイン2] 氷室 セナ : 「…」

[メイン2] 氷室 セナ : 振り返り

[メイン2] 氷室 セナ : 「成程」

[メイン2] 七七 : 「……ううん。七七も、するが、いい人でよかった。」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…腐敗臭、そして、生体電流も…無い」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…つまり、文字通りの死体であり」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…貴女が、動いているのは」

[メイン2] 氷室 セナ : 「一体、どういう原理でしょうか」

[メイン2] 七七 : 「……その『死体』は、やめて。七七、生きてる」
セナの方を一瞥し

[メイン2] 氷室 セナ : 「…失敬」

[メイン2] 神原駿河 : 額の血を左腕で拭うと、起き上がる

[メイン2] 氷室 セナ : 「七七さん、で行きましょう」

[メイン2] 七七 : こくん。

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ふむ」

[メイン2] 七七 : 「……するがも、ごめん。疑って」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…すこし、探ってもよろしいですか?」

[メイン2] 氷室 セナ : ずっと考え込むようにしている

[メイン2] 七七 : きしきしという音を立てながら、神原にお辞儀を。

[メイン2] 七七 : 「……?」

[メイン2] 神原駿河 : 逆に謝られてしま気まずそうに頬を掻く

[メイン2] 氷室 セナ : 「…単刀直入に」

[メイン2] 氷室 セナ : 「貴女が動いているのは、スタンドの効果で?」

[メイン2] 氷室 セナ : …実を言えば、事例だけは聞いたことがある

[メイン2] 氷室 セナ : 過去、"正義"の名を冠したスタンドでは

[メイン2] 氷室 セナ : 死体をスタンドで操っていた、という話が合った

[メイン2] 七七 : 「……?」

[メイン2] 七七 : 「……灯り、いるの?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…」

[メイン2] 神原駿河 : まずい、勘違いが被った

[メイン2] 氷室 セナ : 「いや」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…このような、力です」

[メイン2] 氷室 セナ : 右腕を出し

[メイン2] 神原駿河 : 若干の親しみを抱きつつ、同じく左腕を差し出す

[メイン2] スカイハイ : すっと、そこにスカイハイの姿を

[メイン2] 七七 : 「……!」

[メイン2] : 「チュミミーン」

[メイン2] 氷室 セナ : 「先ほど、透明になる力も」

[メイン2] 神原駿河 : 「見える、だろうか?」

[メイン2] 七七 : 「……かわいい。生きてるの?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「私の推測では、このような物によるのかと」

[メイン2] : 「チュミミーン♪」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ある意味では生きていると言えます」

[メイン2] 神原駿河 : 「恐らく、生きている」

[メイン2] 神原駿河 : 「出しっぱなしにしていると物を勝手に運んだりしているが……ひまわりの種とかをやっても食べたりはしない」

[メイン2] 氷室 セナ : 「スタンド、というのは」

[メイン2] 氷室 セナ : 「私達の魂の分身と、言われています」

[メイン2] 神原駿河 : 「……魂?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「それらが力を持ち、エネルギーを伴い飛び出すヴィジョン」

[メイン2] 氷室 セナ : 「故にその全ては違う姿と力を」

[メイン2] 神原駿河 : 「……なるほど」

[メイン2] 氷室 セナ : 「私の場合、先ほども見せた虫を操作するという力を」

[メイン2] 神原駿河 : 「この、デフォルメされたモグラのような姿が私の魂か……」

[メイン2] 氷室 セナ : 尤も、それを手にしたのは厳密にはDISCを介しているが

[メイン2] 神原駿河 : 「チュミミーン、とか私も鳴きたいんだろうか?」
左腕の上で跳ねるタスクへと目をやり

[メイン2] 氷室 セナ : 「恐らく、見えているということは」

[メイン2] 氷室 セナ : 「それが扱えるという証拠にもなる」

[メイン2] 七七 : 「……」
じっとそれらを眺める

[メイン2] 氷室 セナ : 「では、簡潔に」

[メイン2] 氷室 セナ : 「あの透明な姿と、透明な死体は貴女の力ですか?」

[メイン2] 七七 : 「うん。」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…成程」

[メイン2] 七七 : 「……七七のは、あんまりかわいくない。ヤマガラがよかった」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ふむ」

[メイン2] 神原駿河 : 「ヤマガラ?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「鳥の名前ですね」

[メイン2] リンプ・ビズキット : うじゅうじゅと、指の上を這っているところを掲げられる。

[メイン2] 神原駿河 : 「ああ、なるほど…」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…っと」

[メイン2] 神原駿河 : 「ッ!?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「……成る程」

[メイン2] 神原駿河 : 「……ひょっと、して」
「コレはスタンドだったのか…?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「………では」

[メイン2] 氷室 セナ : 「聞かせてください、もう一つ」

[メイン2] 七七 : 「たぶん。七七が起きた時から、ずっといる。」

[メイン2] 七七 : 「うん。」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…何故、ここに来ているのですか?」

[メイン2] 七七 : 「……あ。」

[メイン2] 氷室 セナ : 「差し支えなければ、私は貴女を施設に保護したいと考えています」

[メイン2] 神原駿河 : それを聞いたことが皮切りに、先程はずいぶん事故を起こしてしまった…

[メイン2] 氷室 セナ : 「スタンドの力で生きている、という事案は」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…改善すべき事ですから」

[メイン2] 七七 : 再びごそごそ、とポケットを探り。

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…貴女を傷つけるつもりはない」

[メイン2] 七七 : 「『するが』?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「?」

[メイン2] 神原駿河 : 「……あー」

[メイン2] 神原駿河 : 「私の名前を覚えてくれた時の奴だな」

[メイン2] 七七 : こくん。

[メイン2] 七七 : 「こっちじゃなかった」

[メイン2] 七七 : 「『あかいいし』」

[メイン2] 神原駿河 : 「ああ、うん」
「それだな」

[メイン2] 氷室 セナ : 「あかい、いし?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…赤い石を」

[メイン2] 神原駿河 : 「ああ、せんせい、とやらが探してきて欲しいと言っているようだ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「何のために?」
視線が、鋭く

[メイン2] 七七 : 「えっと、そう。するがの言う通り」

[メイン2] 氷室 セナ : 「………」

[メイン2] 神原駿河 : 「……そこまでは、教えてもらっていないな」

[メイン2] 氷室 セナ : 赤い石、昔…任務の過程で聞いた

[メイン2] 氷室 セナ : 『エイジャの赤石』

[メイン2] 氷室 セナ : 「…成る程」

[メイン2] 氷室 セナ : 「それは、ここにあると、聞いているのですか?」

[メイン2] 七七 : 「うん。」

[メイン2] 七七 : 「先生、赤い石があったら、七七のことも、元通りって言ってた。」

[メイン2] 神原駿河 : 「……なるほど」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…わかった」

[メイン2] 氷室 セナ : 「では、こうしましょう」

[メイン2] 七七 : 「?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「仮に私が、貴女を元通りにすることに手を貸すと言えば、手を引きますか?」

[メイン2] 神原駿河 : 「ふむ、悪くない提案に聞こえるな」

[メイン2] 七七 : 「…………えっと」

[メイン2] 七七 : 「するが。こっちの人は?」

[メイン2] 神原駿河 : 「ああ、えーっと…セナさんだ」

[メイン2] 七七 : 「せな」

[メイン2] 神原駿河 : 「そう、セナ。カタカナでいい」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ああ、名乗りが遅れていましたか」

[メイン2] 氷室 セナ : 「セナ、氷室セナ」

[メイン2] 七七 : 「せな、せな」

[メイン2] 氷室 セナ : 「SPW財団医療班、及びエージェント」

[メイン2] 七七 : メモに書き足しながら。

[メイン2] 神原駿河 : 「……え、エージェントとはまた凄い言葉が」

[メイン2] 七七 : 「すぴーどわご……」
混乱しながら。

[メイン2] 氷室 セナ : 「すいません、焦らせましたね」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ただの医者です」

[メイン2] 神原駿河 : 「……まあ、そっちは置いておいていい」

[メイン2] 氷室 セナ : 「それでいい、それ以外の肩書きは必要ない」

[メイン2] 七七 : 「おいしゃさん。先生と同じ?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「先生が、命を助ける人であるのならば」

[メイン2] 神原駿河 : ……『先生』とやらは医者なのか

[メイン2] 氷室 セナ : 「私の仲間、でしょう」

[メイン2] 七七 : 「……わからないけど、たぶん。」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…信じますよ」

[メイン2] 七七 : 「じゃあ、せなもいい人。」

[メイン2] 氷室 セナ : 「そして、一つ聞いてください」

[メイン2] 七七 : 「……?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「赤い石は、私の記憶の限りでは…命を助けるものではない」

[メイン2] 氷室 セナ : 「本当に、赤い石だけを探すと?」

[メイン2] 神原駿河 : 「……え」

[メイン2] 神原駿河 : 事実であれば、七七の先生は、この童女にウソをついたことになるのだろうか?
とすれば……何故?

[メイン2] 氷室 セナ : 「…いえ、語弊がありますね」

[メイン2] 氷室 セナ : 「厳密には、それだけでは赤い石は役に立たない」

[メイン2] 七七 : 「?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…石だけでは貴女を助けられないんです」

[メイン2] 氷室 セナ : 「それに…」

[メイン2] 氷室 セナ : ……患者を引き換えにして、探させる

[メイン2] 氷室 セナ : 幼いはず、なのにその様な行動は…

[メイン2] 氷室 セナ : 「……兎も角」

[メイン2] 氷室 セナ : 「もし貴女が良いなら、私にも医者として手を貸させて欲しい」

[メイン2] 氷室 セナ : 「先生の許諾、或いは契約があるのなら私に話させて欲しい」

[メイン2] 七七 : 「……えっと」
ひとつずつ、言葉を飲み込みながら。

[メイン2] 七七 : 「いいよ。」

[メイン2] 神原駿河 : 「軽いッ!?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…よし」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ありがとう、責任は取ります…あと」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…もう一つ聞かせてください」

[メイン2] 氷室 セナ : 「赤い石は、こんな形で?」

[メイン2] 氷室 セナ : バックから一枚

[メイン2] 七七 : 「なに?」

[メイン2] 七七 : 覗き込むように

[メイン2] 氷室 セナ : 古びた写真を出す

[メイン2] 氷室 セナ : それは、昔回収したもので

[メイン2] 氷室 セナ : 確かにスーパーエイジャのモノだ、仮面にはめ込まれた姿の

[メイン2] 七七 : 「……」
しばらく、じっと見つめて

[メイン2] 氷室 セナ : …出自はナチスドイツの検問資料である

[メイン2] 神原駿河 : 「……不気味な仮面だな」

[メイン2] 七七 : 「ううん…」

[メイン2] 神原駿河 : 昔見た、左腕と同じ嫌な雰囲気を感じる

[メイン2] 七七 : 「色は同じ。」

[メイン2] 氷室 セナ : 「色は同じ、と」

[メイン2] 神原駿河 : 「……なんだ、違ったのか」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…把握しました」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ありがとうございます、助かります」

[メイン2] 七七 : 「かおは、なかった。ネックレスみたい」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ッ!」

[メイン2] 神原駿河 : 「ネックレスか」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ネックレス」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ネックレス、か」

[メイン2] 神原駿河 : 「うむ、納得だ」

[メイン2] 氷室 セナ : ……ただの勘違い、だと思いたかった

[メイン2] 氷室 セナ : ……違う

[メイン2] 神原駿河 : 「こんな趣味の悪いものにくっついていると、ありがたい物には到底……」

[メイン2] 神原駿河 : 見えない、そう言いたかったが

[メイン2] 氷室 セナ : "ネックレス"は、スーパーエイジャの保管した姿だ

[メイン2] 氷室 セナ : 「……」

[メイン2] 氷室 セナ : 「わかりました」

[メイン2] 神原駿河 : ……表情から察するに、コレで正解らしい

[メイン2] 氷室 セナ : 「私は……」

[メイン2] 氷室 セナ : 「……いえ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「七七さん」

[メイン2] 七七 : 「なに?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ついてきてください、あと……駿河さんも」

[メイン2] 神原駿河 : 「ああ、はい!」

[メイン2] 氷室 セナ : 「スタンド使いならば、SPW財団としても管轄になります」

[メイン2] 七七 : 「わかった。」

[メイン2] 七七 : 「するがも、きてくれるの?」

[メイン2] 神原駿河 : 「ああ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ええ」

[メイン2] 神原駿河 : 「ゾンビの根源を探しにきたんだけれど、色々優先すべき事を先に片付けよう」

[メイン2] 氷室 セナ : 「……」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ゾンビ?」

[メイン2] 七七 : 「ん。うれしい」

[メイン2] 氷室 セナ : 「お待ちください」

[メイン2] 神原駿河 : 「?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「彼女は別、と?」

[メイン2] 七七 : 「どうしたの?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「……端的に言いましょう」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ゾンビは、我々の呼称で屍生人、という存在です」

[メイン2] 氷室 セナ : 「七七さんは、あくまで人間で…その認識の相違で報告されたと考えています、が」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…その屍生人自体も、居るのかと」

[メイン2] 神原駿河 : 「……厳密に言えば、私の故郷に“いた”」

[メイン2] 氷室 セナ : 「参考として、理性はなく」

[メイン2] 氷室 セナ : 「太陽にも弱い」

[メイン2] 神原駿河 : 「……ああ、その“ゾンビ”だ」

[メイン2] 七七 : 「……七七も、お日さまはちょっと苦手。」

[メイン2] 氷室 セナ : 「最大の特徴として」

[メイン2] 神原駿河 : 「……」

[メイン2] 氷室 セナ : 「屍生人は、生物です」

[メイン2] 氷室 セナ : 「吸血鬼という存在が、自身の体内で抽出した成分により人間を変質させた生き物です」

[メイン2] 神原駿河 : 「一言一句、それで正解だ」
「私たちの街に現れたゾンビは、太陽で溶け、理性が無く、怪異でもない生き物だった」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…わかった、わかりました」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…そちらもいるのなら、話は別だ」

[メイン2] 七七 : 「にんげんじゃない、にんげん?」

[メイン2] 神原駿河 : 「…ああ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ええ、人間ではない」

[メイン2] 氷室 セナ : 「原理としては、脳の変質です」

[メイン2] 神原駿河 : 「人間を辞めてしまったんだ、無理やりか、自発的にかはわからないが」

[メイン2] 氷室 セナ : 「脳内で、特殊な変質を起こす事で」

[メイン2] 氷室 セナ : 「人体にも作用するほどのエネルギーを引き出す代わりに理性を崩します」

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 氷室 セナ : 「それらは、吸血鬼であれ屍生人であれ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…人でなく怪物になっている、という事です」

[メイン2] 神原駿河 : 「……ああ、そうらしい」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…兎も角、事態は把握しました」

[メイン2] 氷室 セナ : 「行きましょう、少々連絡事項が増えた…」
踵を返して

[メイン2] 七七 : 「……それが、七七たちの敵?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「敵です」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…私の知る限り」

[メイン2] 七七 : 「……うん。わかった」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…理性を保ち、人間だった屍生人はいない」

[メイン2] 氷室 セナ : 「吸血鬼で、あれ」

[メイン2] 神原駿河 : 「……恐ろしい物だな」

[メイン2] 氷室 セナ : そのまま、来た道を引き返す

[メイン2] 神原駿河 : 「七七ちゃん、私達もついて行こう」

[メイン2] 七七 : 「あ……うん。」

[メイン2] 七七 : くい、と神原にむかって手を伸ばす。

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : 「……七七のこと、こわい?」

[メイン2] 神原駿河 : 「……少しだけな、言ってしまえば他人とは少なからず怖い」
だけれども、私は

[メイン2] 神原駿河 : 「だが、それを受け入れられるのが人間だ」
当然のように手を取り、繋ぐ

[メイン2] 七七 : 「……あ」

[メイン2] 七七 : その手の温もりが、まるで身体の奥底にまで伝わってくるように。

[メイン2] 神原駿河 : 「七七も、私を受け入れてくれただろう?」
「自分の領域に誰かを踏み入らせるのは勇気がいる」
「……人の怖さを知っているなら特にな」

[メイン2] 神原駿河 : 「改めて、お礼を言わせてもらおう」

[メイン2] 神原駿河 : 「ありがとう、七七。私を許してくれて」

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : 「……七七、いろんなこと、わかんないけど」

[メイン2] 七七 : 「……するがなら、一緒にいても大丈夫。だと思う」

[メイン2] 神原駿河 : 「……なら、安心だ」

[メイン2] 七七 : 「……だから。ありがと、するが」

[メイン2] 七七 : ぴとり……と、苦手だったはずの熱を身体ごと求めるように。

[メイン2] 神原駿河 : 「……ふふ」

[メイン2] 神原駿河 : 「そりゃっ!」
勢いよく抱き抱えると、そのまま七七を背中に背負う

[メイン2] 七七 : 「わ!」

[メイン2] 神原駿河 : 「さあっ!セナさんを待たせるわけにも行かない」

[メイン2] 神原駿河 : 「私の背中にしっかり捕まっておくんだぞ…!」

[メイン2] 七七 : 「……うん!」

[メイン2] 神原駿河 : 勢いよく走り出す

[メイン2] 神原駿河 : 風景を置き去りに、一気に走り抜けて行く
手は背中に回して七七を支えているが、スピードに淀みはない

[メイン2] 神原駿河 :  

[メイン2] 神原駿河 : 「それにしても、先程見た……『波紋』だったか、どこかで見たような…」

[メイン2] 神原駿河 :  

[メイン2] 神原駿河 :  

[メイン3] 氷室 セナ :  

[メイン3] 氷室 セナ : 「……ん?」

[メイン3] テネブレア : 「…………………」

[メイン3] 氷室 セナ : おかしな、ものだった

[メイン3] : へたり込んでいる。幻影の王

[メイン3] 氷室 セナ : 何やらみたことある服装の中に…赤子?

[メイン3] 氷室 セナ : いや…違う

[メイン3] 氷室 セナ : 反応だけは赤子、だが

[メイン3] 氷室 セナ : 「…テネブレア?」

[メイン3] 氷室 セナ : 倒れ込む彼女の側に屈む

[メイン3] テネブレア : 「……………」

[メイン3] 氷室 セナ : 軽く触れてみるが、やはりおかしい

[メイン3] 氷室 セナ : 「怪我ですか?」

[メイン3] テネブレア : 「…………まま?……」

[メイン3] 氷室 セナ : 「え?」

[メイン3] テネブレア : 「ままー!!!」

[メイン3] テネブレア : セナに抱き着こうとする。

[メイン3] 氷室 セナ : 「っと」

[メイン3] 氷室 セナ : がっしり受け止める、患者を運ぶ経験も多いため揺るがない

[メイン3] テネブレア : 「ままっ……ままぁ……!!」

[メイン3] 氷室 セナ : 「ちょ…いや」

[メイン3] 氷室 セナ : 「……これは」

[メイン3] 氷室 セナ : 明らかにおかしい、反応もそうだが

[メイン3] テネブレア : 「うぇぇぇぇぇぇん!!!ままぁぁぁ!!!!」

[メイン3] 氷室 セナ : 先ほど出会った時よりも、明らかな精神力の朧さを感じる

[メイン3] 氷室 セナ : 「っ…もう、大丈夫です、私が来ましたから」

[メイン3] 氷室 セナ : 「よくわかりませんが、わかりました」

[メイン3] テネブレア : 「ままっ!!!ままっ………う…っぐす……」

[メイン3] 氷室 セナ : 「貴女も『患者』に…なりましたか」
瞳を鋭く、そのまま抱き上げて

[メイン3] 氷室 セナ : 「はいはい…困りましたが、これも仕事です」

[メイン3] 氷室 セナ : …こちらの事案も、聞いた事がある

[メイン3] テネブレア : 「ままぁ………」

[メイン3] 氷室 セナ : 列車での集団老化事案、スタンドによるもの

[メイン3] 氷室 セナ : 「…何故母親に認識されてるかはわかりませんが」

[メイン3] 氷室 セナ : 「記憶も年相応ならば、恐らく刷り込みに近しい、か?」

[メイン3] 氷室 セナ : 「…兎も角、今は急患になる」

[メイン3] 氷室 セナ : 抱き抱えつつ、歩き出す

[メイン3] テネブレア : 「うぇえええん!ままぁ……」

[メイン3]   : セナと一緒に歩き出す。

[メイン3] 氷室 セナ : 「…何故泣いているのですか」

[メイン3] 氷室 セナ : 「空腹?或いは怪我でしょうか」

[メイン3] 神原駿河 : カツン、カツンと七七を背負い歩いてくる

[メイン3] 氷室 セナ : 「…おや」

[メイン3] 神原駿河 : 「あ、セナさん!」

[メイン3] テネブレア : 「ままぁ………!」

[メイン3] 神原駿河 : 「……まま?」

[メイン3] 七七 : 「……まま?」

[メイン3] 神原駿河 : 「……」

[メイン3] 氷室 セナ : 「恐らくスタンドの襲撃を受けた様です」

[メイン3] 神原駿河 : 「……あ、ああ」

[メイン3] 七七 : 抱き抱えられたまま、ひょこりと神原の背中から顔を覗かせる。

[メイン3] 氷室 セナ : 「彼女の精神が退行し、明らかに記憶も喪失している」

[メイン3] 神原駿河 : 「なるほど、うん、流石にそうだよな」

[メイン3] 神原駿河 : 一歩引きかけた足を、元の場所に戻す

[メイン3] 七七 : 「せなは、ままなの?」

[メイン3] 神原駿河 : 「いや、てっきり私は…」

[メイン3] 氷室 セナ : 「…今は少し、何故困っているかの推測に困っている所です」

[メイン3] 氷室 セナ : 「いえ…私は17歳、まだ未成年です」

[メイン3] テネブレア : 「ままぁっ!!!!!!」

[メイン3] 氷室 セナ : 「ああはい…どうかしましたか?」

[メイン3] 神原駿河 : 「ああ、いや……いわゆる“プレイ”かと」

[メイン3] 氷室 セナ : 「……」

[メイン3] 七七 : 「……?」

[メイン3] ロレンチーニャ : 電撃を軽くぶつける

[メイン3] 神原駿河 : 「ガッファァァ!?」

[メイン3] 神原駿河 : 七七を咄嗟に離して一人で痺れる

[メイン3] 七七 : 「う。」

[メイン3] テネブレア : 「きゃっきゃっ!」

[メイン3] 氷室 セナ : 「…まったく」

[メイン3] 氷室 セナ : 「私に対しては良いとしても、患者に偏見を向けるのはよくない」

[メイン3] 氷室 セナ : 「障害はあくまで障害です」

[メイン3] 神原駿河 : 「そ、そうれふね…」

[メイン3] 氷室 セナ : 「…テネブレアもこのまま搬送します」

[メイン3] テネブレア : 「まま……?」

[メイン3] 氷室 セナ : 「スタンドの効果であれば、何かしら解消は可能…な筈ですから」

[メイン3] 七七 : 「……するが。この人も、おともだち?」

[メイン3] 氷室 セナ : 「…はい、行きますよ」

[メイン3] 氷室 セナ : 仕方ないと言わんばかりに息を吐いて

[メイン3] 神原駿河 : 「多分、そうは」

[メイン3] 氷室 セナ : そのままテネブレアを抱き抱えて進む

[メイン3] 神原駿河 : 電撃で舌足らずになった口調で答える

[メイン3] テネブレア : 「ままぁぁ…………」

[メイン3] 七七 : 「……わかった。するがのおともだち、変な人、多い。覚えた」

[メイン3] 氷室 セナ : 「……」

[メイン3] 神原駿河 : 「否定はしない」

[メイン3] 氷室 セナ : らしくなく困った様にしつつ

[メイン3] 神原駿河 : 「何故なら、類は友を呼ぶからだ」

[メイン3] 七七 : 「……あ。」

[メイン3] 七七 : 「……しまった。七七も、変な人になってしまう」

[メイン3] テネブレア : 「……………?」

[メイン3] 神原駿河 : 「……まあ、それはそれとして」

[メイン3] 神原駿河 : スクリと立ち上がる

[メイン3] 氷室 セナ : 「…ほら、行きますよ」

[メイン3] 氷室 セナ : 「これ以上被害者が増えても困る」

[メイン3] 神原駿河 : 「あ、ああ……」
七七をもう一度おんぶすると、セナの横に並ぶ

[メイン3] テネブレア : 「ままぁ…!だいすきぃ………」

[メイン3] 神原駿河 : 「………ふむ」

[メイン3] 氷室 セナ : 「…」
困ったような顔

[メイン3] 神原駿河 : 「病人に言うことではないが、誰かに全力で甘えられるには羨ましいかもしれない」

[メイン3] 七七 : 「……ん。」
背負われて少し嬉しそうに

[メイン3] 七七 : 「……七七たちも、手伝える?」

[メイン3] 神原駿河 : 「赤ん坊の世話は家族総出でするらしい、何か手伝ってあげられるかもな」

[メイン3] 氷室 セナ : 「…まあ」

[メイン3] 氷室 セナ : 「そういうのは別の専門なので助言は貰います」

[メイン3] テネブレア : 「ままぁ……すぅ…すぅ……」

[メイン3] 氷室 セナ : そのまま、テネブレアを抱えてて歩いて行く

[メイン3] 神原駿河 : 「……ふむ、折角だ」
「寝る子を起こさぬ内に質問をさせていただこう」

[メイン3] 氷室 セナ : 「…はい?」

[メイン3] 七七 : 神原の後ろからじっとセナを見つめる。

[メイン3] 神原駿河 : 「いやな、先程貴女が地面に放った技がずっと気になっていたのだ」

[メイン3] 氷室 セナ : 「…ああ、波紋ですか」

[メイン3] 神原駿河 : 「あの息遣い、明らかに尋常の物ではなかった」

[メイン3] 氷室 セナ : 「あれは…見よう見まね、ですよ」

[メイン3] 神原駿河 : 「どういう『技術』なのだろうか?」

[メイン3] 氷室 セナ : 「昔、吸血鬼を打ち倒す為に作られた力」

[メイン3] 氷室 セナ : 「過去に、それを行う人と任務で出会い」

[メイン3] 氷室 セナ : 「真似をしていた…が、そうすぐには覚えない」

[メイン3] 神原駿河 : 「……ふむ、なるほど」

[メイン3] 氷室 セナ : 「それをカバーする為に、ロレンチーニャにその未熟な波紋を倍増してもらってる」

[メイン3] 氷室 セナ : 「屍生人を仕留めるなら、それで行けますから」

[メイン3] 神原駿河 : 「なるほど……そういった、技なのか…」

[メイン3] 氷室 セナ : 「尤も…私のは技術としては殆ど知らないのです」

[メイン3] 氷室 セナ : 「出会いの時の呼吸を、じっくり真似してただけで」

[メイン3] 神原駿河 : 「……なるほど」

[メイン3] 氷室 セナ : 「なので、あくまでにわか仕立てです」

[メイン3] 神原駿河 : 「そういった由来の技だったのか……」

[メイン3] 氷室 セナ : 「ええ」

[メイン3] 七七 : 「……七七も、受けてたらまずかった?」

[メイン3] 氷室 セナ : 「いや」

[メイン3] 神原駿河 : ……波紋、技術

[メイン3] 氷室 セナ : 「波紋は生命のエネルギー」

[メイン3] 神原駿河 : どうにも、頭に残る言葉だ

[メイン3] 氷室 セナ : 「恐らく、死体であるだけの貴女には効きません」

[メイン3] 氷室 セナ : 「まあ…生きてる人に打ち込むのもあまりよくないですが」

[メイン3] 七七 : 「……『死体』は、やめて。……でも、ちょっとだけよかったかも」

[メイン3] 氷室 セナ : 「…っと、すいません」

[メイン3] 神原駿河 : 「……よかった?」

[メイン3] 神原駿河 : 「何か、身体に良い効果があるのだろうか?」

[メイン3] 氷室 セナ : 「…まあ、生物にはあくまで意味のない手ですよ」

[メイン3] 七七 : 「うん。生きてたら、周りの七七にも、効いたかも」

[メイン3] 神原駿河 : 「……ふむ」

[メイン3] 氷室 セナ : 「…ああ、まあ」

[メイン3] 氷室 セナ : 「私ほどじゃ、ビリビリするだけです」

[メイン3] 七七 : 「せな。……それ、するがも、がんばったらできる?」

[メイン3] 氷室 セナ : 「…恐らく」

[メイン3] 氷室 セナ : 「ただ聞いた話では」

[メイン3] 氷室 セナ : 「…年単位で修業を重ねるものだそうです」

[メイン3] 七七 : 「むう……」

[メイン3] 神原駿河 : 「……修行、か」
「やはり、少し似ているがスタンドとは全く異なるのだな」

[メイン3] 氷室 セナ : 「…ええ、別かと」

[メイン3] 神原駿河 : ……常識から外れながら
それでも、スタンド、魂の力とは異なる“技術”

[メイン3] 神原駿河 : 初めて見た時から、どうにもその衝撃が頭から離れない

[メイン3] 氷室 セナ : 「…いつか」

[メイン3] 神原駿河 : まるで、引き寄せられる様に
興味が尽きないのだ

[メイン3] 氷室 セナ : 「財団の波紋戦士と会ってみると良いかと」

[メイン3] 氷室 セナ : 「私はあくまで医療班です」

[メイン3] 神原駿河 : 「…すごいな、あんな仙人みたいな技を、みんな習得してる集団がいるのか」

[メイン3] 氷室 セナ : 「今は少ないそうですがね」

[メイン3] 神原駿河 : 「物悲しいが、それも仕方がないか…」

[メイン3] 氷室 セナ : こくりと頷き

[メイン3] 七七 : 「……これが終わったら、するがも、練習してみる?」

[メイン3] 神原駿河 : 「……そうだな、今回みたいな事件があっても困る」
「真剣に練習を考えておこう」

[メイン3] 神原駿河 : ……ふむ

[メイン3] 神原駿河 : 思えば、“牙”も全く使いこなせていない

[メイン3] 神原駿河 : 結果的には良かったが、七七の時も、何もできていなかった…

[メイン3] 神原駿河 : ……セナさん達には世話になってばかりだ

[メイン3] 神原駿河 : もっと、強くあらねば

[メイン3] 神原駿河 : 『気高く、飢えるのだ』
かつてのように追われるのでは無く、正しく自分を磨く為に

[メイン3] 神原駿河 :  

[メイン3] 神原駿河 :  

[メイン] 氷室 セナ :  

[メイン] 氷室 セナ :  

[メイン] 氷室 セナ : 夜の街、喧騒も収まった…と思っていたのに

[メイン] 氷室 セナ : 異常なまでの破壊の後を、其処に感じる

[メイン] 神原駿河 : 「……こ、これは」

[メイン] 氷室 セナ : 「…スタンド使い、でしょう」

[メイン] 七七 : 「……」

[メイン] 氷室 セナ : 「おそらくは、相当な敵意を…いや無差別?」

[メイン] テネブレア : 「ん…うぅ………」

[メイン] 氷室 セナ : 「…テネブレア」

[メイン] テネブレア : 「ままぁ………おっぱい…………」

[メイン] 氷室 セナ : 「…ちょっと、勘弁してください」

[メイン] 氷室 セナ : 渋い顔をしつつ

[メイン] 神原駿河 : 「……粉ミルクとか、買っておいたが」

[メイン] 氷室 セナ : 「ああ、仕方ないですね…」

[メイン] 七七 : 「……するが。あっちむいとく?」

[メイン] 神原駿河 : 「いや、おっぱいは出ないようだ」

[メイン] 氷室 セナ : 「粉ミルク使いますよ…」

[メイン] 神原駿河 : 誠に残念ながら

[メイン] 氷室 セナ : 「お腹空いてますか…テネブレア」

[メイン] 神原駿河 : 遺憾ながら

[メイン] テネブレア : 「ままぁ…」

[メイン] 神原駿河 : 無しだ、OK?

[メイン] 氷室 セナ : 「…はぁ…」
どうしたもんかと思いつつ

[メイン] 神原駿河 : 何かに語りかけるように、カンバルは涙を飲んだ

[メイン] 氷室 セナ : 水筒に粉ミルクを混ぜて、ロレンチーニャで加熱させる

[メイン] 七七 : 「……」
その顔を不思議そうに覗き込む。

[メイン] 神原駿河 : そこら辺に座り込むと、石ころを回している

[メイン] 氷室 セナ : 「どうぞ、ほら」
テネブレアに飲ませる

[メイン] テネブレア : 「んっ……んっ……」

[メイン] 神原駿河 : 左腕に“牙”を展開して、その爪の回転に合わせて石ころを回す

[メイン] テネブレア : 「ままぁ……だいすきぃ………」

[メイン] 氷室 セナ : 「…はぁ」

[メイン] 氷室 セナ : そんな事をしつつ、道を歩いている

[メイン] 神原駿河 : 「……形が悪いな」
ガリガリとタスク、”牙“で石の形を変えていく

[メイン] 七七 : 「おお。」

[メイン] 神原駿河 : 「便利だ、もうハサミ要らずだな」

[メイン] 氷室 セナ : 「…おや」

[メイン] 神原駿河 : 綺麗にカットした石を七七にあげると、自分の分をもう一個削り出す

[メイン] 七七 : 大事そうに掲げてそれを眺める。

[メイン] : カットされた石の上で、ふわふわと空を見上げている

[メイン] 神原駿河 : ……何故だろうか、私のスタンドは
どうにも足りない様に見える

[メイン] 神原駿河 : こんな姿の物も少なくはないのだろうが……何か、不足している

[メイン] 神原駿河 : 「ッ…!」

[メイン] 氷室 セナ : 「…?」

[メイン] 神原駿河 : ……そう考えると、少し頭痛がした

[メイン] 氷室 セナ : 「…まあ、兎も角戻りましょう」

[メイン] 氷室 セナ : 「この攻撃の主人に会ったら大変だ」

[メイン] 神原駿河 : 「……そう、だな」

[メイン] テネブレア : 「ままぁ……」

[メイン] 神原駿河 : 「もう暗いし、そろそろ宿を取ろう」

[メイン] 七七 : 「……」
攻撃の爪痕を眺めつつ

[メイン] 氷室 セナ : 「私の施設で泊まれますよ」

[メイン] 神原駿河 : 「それはありがたい…!」

[メイン] 七七 : 「するが。いっしょに寝てもいい?」
くいくいと制服の裾を引っ張って

[メイン] 神原駿河 : 「勿論、ここら辺は危ないし……一緒の部屋で寝ることになるかもな」

[メイン]   : ───束の間の"平穏"

[メイン]   : 闇に溶け込むように、その平穏を軋ませ
そして踏み抜く存在が、ふわりと空へと浮かんでいた。

[メイン] 第三の少年 :  

[メイン] 第三の少年 : 「…………」

[メイン] 氷室 セナ : 「…ッ!?」

[メイン] 氷室 セナ : 見上げて

[メイン] 神原駿河 : 「────ッ!?」

[メイン] 神原駿河 : 「な、なんだ!?」

[メイン] 氷室 セナ : そのまま、テネブレアを横に

[メイン] テネブレア : 「ままぁ…?」

[メイン] 神原駿河 : 「七七、私の後ろに!」

[メイン] 第三の少年 : 「───」
じっと、マスク越しでありながらも
視線を送っている事は、間違いなく。

[メイン] 七七 : 「……」
ぴょい、と。

[メイン] 氷室 セナ : 「テネブレア、静かに」

[メイン] 氷室 セナ : 「危ないので」

[メイン] テネブレア : 「ん………………」

[メイン] 神原駿河 : 「おいっ!そこの浮いてる君!」

[メイン] 第三の少年 : 「…………」

逆立った髪が靡き、マスクに緑色のハートマークの意匠が目立つ。
声をかけられても、反応したのか、していないのか。

[メイン] 神原駿河 : 「……私達から君を害するつもりはない!縄張りだというのならすぐ出て行く!」

[メイン] 氷室 セナ : 「…!」

[メイン] 氷室 セナ : 記憶に、ある

[メイン] 神原駿河 : 「だが、敵ならば容赦はできない!!」

[メイン] 氷室 セナ : この…この見た目は

[メイン] 第三の少年 : 「───……」

神原が、『敵ならば容赦はできない』───

[メイン] 氷室 セナ : 「…神原!」

[メイン] 神原駿河 : 爪弾を手に浮かばせ、相手に向ける

[メイン]   : そう、言った途端である。

[メイン] 神原駿河 : 「な──」

[メイン] ザ・ワールド :
 ウ
  ゥン

[メイン] 七七 : 「……え」

[メイン] テネブレア : 「………………?」

[メイン] 氷室 セナ : 「っ!!」

[メイン] ザ・ワールド : それは───突如としてセナの眼前に現れる。

[メイン] 氷室 セナ : 「なッ…」

[メイン] ザ・ワールド : そして、その拳は空を切り裂き。

[メイン] 神原駿河 : 「────セナァァ!!!」

[メイン] 氷室 セナ : ロレンチーニャの警戒網が、捉えきれず

[メイン]   : ドゥウンッッッ!!!

[メイン] 氷室 セナ : 「がッ、は」

[メイン]   : 華奢なその身体を、容赦なく───


ぶち抜いた。

[メイン] 神原駿河 : 爪弾を乱射して、金色のスタンドへ襲い掛からせる

[メイン] 氷室 セナ : そのまま、吹き飛ばされて

[メイン] ザ・ワールド :  

[メイン] 七七 : 「………!!」

[メイン] テネブレア : 「ままっ!!!!ままぁっっっ!!!!!」」

[メイン] ザ・ワールド : 乱射された次の瞬間。

その金色のスタンドは、少年の隣へと移動しており。

[メイン] 七七 : すぐに大地を揺らし、透明なそれたちと臨戦態勢に━━

[メイン] 氷室 セナ : ガチン、と

[メイン] 神原駿河 : 「────な」

[メイン] 氷室 セナ : 電灯にぶつかり、へし折って

[メイン] 神原駿河 : 「貴様ァァ!!一体何の真似だ!!!」

[メイン] 氷室 セナ : やっと、勢いがなくなり、落ちる

[メイン] ザ・ワールド : ───避けた。
否、まるで平然と、当たり前のようにそこにいた。

[メイン] テネブレア : 「…っっ!!!!!ままぁ!!!ままああああああああ!!!!」

[メイン] 神原駿河 : 「唐突に、セナを……!!」

[メイン] 神原駿河 : 「何故だッ!?」

[メイン] 第三の少年 : 「…………!」

その時───

[メイン] 氷室 セナ : 「ッ、は、あ」

[メイン] 第三の少年 : 少年の髪色が、桃色へと変わる。

[メイン] 第三の少年 : 「……ママ」

[メイン] テネブレア : セナの元へと、駆け寄る。

[メイン] 神原駿河 : 「……は?」

[メイン] 第三の少年 : 「…………ママ?」
金色のスタンドが、突如として姿を消す。

[メイン] 氷室 セナ : 「…テ、ネブレア」

[メイン] 氷室 セナ : 左手を、腹に当てるが

[メイン] 七七 : 「…………」
宙に浮かぶそれを睨みつけたまま

[メイン] 氷室 セナ : …成る程、重傷…いや致命傷、か

[メイン] テネブレア : 「ままぁっっ!!!ままぁぁぁぁあああああああ!!!!」

[メイン] 神原駿河 : 「七七、テネブレアと一緒に逃げろ!!」

[メイン] 氷室 セナ : 「…大丈夫」

[メイン] 神原駿河 : 「アイツは……私がッ!!」

[メイン] 氷室 セナ : 右手を伸ばして、安心させようとすると

[メイン] 第三の少年 : 「ママ───

 ママァアアアアアアアアァアァアアアアアアアア───!!!!!!」

瞬間、まるで"次元"を飛び越えてきたかのように
少年は───ゾンビの群れをどこからともなく。

[メイン] 氷室 セナ : よく見れば

[メイン] スカイハイ : スカイハイのヴィジョンが、薄れている

[メイン] 神原駿河 : 「────ナニィィイイイ!!???」

[メイン] ゾンビ : 「ウオオオ ウオオオオオオオ───z___!!!」

[メイン] 七七 : 「……せな……!」

[メイン] 氷室 セナ : 「…ッ、く」

[メイン] 神原駿河 : 「くっ……“牙”ァァ!!」

[メイン] テネブレア : 「ままぁぁぁ……!!ままっ…ままっ……」

[メイン] 氷室 セナ : 「にげ、て…」
霞む視点で、確かに屍生人を見て

[メイン] 神原駿河 : 横向きに降り頻る雨のように爪弾を乱射しながら、それでも押されて後ろへと下がる

[メイン] 第三の少年 : ───「ママ」
その言葉と、何より感情が頭の中で反復し
増幅し続ける。

[メイン] 神原駿河 : “牙”の弾数に限りは無く、威力は揚々とゾンビの頭を切り飛ばす、が

[メイン] 氷室 セナ : スカイハイのヴィジョンが、完全に消える

[メイン] 神原駿河 : “多すぎる”

[メイン] 第三の少年 : 気づけば───一瞬、その少年の傍に佇んでいたのは
『ウサギ』のような頭部の───……

[メイン]   :  

[メイン]   : 『───落ち着くのだ マンティスよ』

[メイン]   : 『お前は……私だ』

[メイン]   :  

[メイン] ザ・ワールド :
ウゥン

[メイン] ザ・ワールド : ゾンビの群れを殴り飛ばし、掻き分け───
爆炎と共に再び、そのスタンドが現れる。

だが、それは決してヒーローではない。

[メイン] ザ・ワールド : セナを、彼女の華奢な体を"粉砕"しようとしたスタンド。

[メイン] 七七 : 「……!!……するが!!」

[メイン] 神原駿河 : 「させるッものか!!」

[メイン] テネブレア : 「ままっ……………っっ!!!ままぁ………っ!ままぁぁ………」

[メイン] 神原駿河 : 勢いよく前進する金色色の敵へ向け、十の砲身から爪弾を乱射

[メイン] テネブレア : ……に…啜り泣く。

[メイン] 神原駿河 : 「この距離ならッ!!」

[メイン] 第三の少年 : 「……!! ……………」
テネブレアを凝視し、動揺を続けながらも
再び、髪が逆立ち───縁のハートをマスクに浮かべる。

[メイン] ザ・ワールド : ───……

[メイン] ザ・ワールド :  

[メイン]   : 瞬間、その爪弾は

[メイン]   : いつのまにか、真下のアスファルトを抉っていた。

[メイン] 神原駿河 : 「……は?」

[メイン] ザ・ワールド : 「───」

ニヤリと、間違いなくそのスタンドは不敵な笑みを浮かべる。

[メイン] 神原駿河 : 狙いを定め、渾身のタイミングで放った攻撃を躱され唖然とする

[メイン] 七七 : 「……っ……!」

[メイン] 神原駿河 : ────迎撃が、見えない?

[メイン] ザ・ワールド : 再び、まるで虚空を圧縮するように拳を握りしめる。

[メイン] 七七 : 「するがは……渡さない……ッ!」

[メイン] ザ・ワールド : ───そして

その圧倒的"破壊"を再び振り下ろさんとした。

[メイン] 七七 : 神原の前に、手を真横に開いて立ちはだかる。

[メイン] 氷室 セナ : ボコ

[メイン] 神原駿河 : 「あ、──七七」

[メイン] 氷室 セナ : 瞬間、セナの貫かれた腹から

[メイン]   : 『───なんだと?』

[メイン] 氷室 セナ : 卵が一つ飛び出す

[メイン] ザ・ワールド : 「!!」

ピタ───z___ッ

[メイン] 氷室 セナ : ボコ、ボコと

[メイン] ザ・ワールド : その、突如飛び出した未知の、可能性を秘めたそれに警戒してか
拳を緩め、すぐに後方へと飛ぶ。

[メイン] テネブレア : 「……………ままぁ……?」

[メイン] 氷室 セナ : 腹の傷が蠢いて、卵を吐き出して

[メイン] 氷室 セナ : 更に、穴が埋め直される

[メイン] 七七 : ……その奇妙な静けさに、閉じた目をゆっくりと開く。

[メイン] 神原駿河 : 「────な、に……!?」

[メイン] ザ・ワールド : そして───その奇妙な静けさはこのスタンドにとって
茹だるような熱気であった。

[メイン] テネブレア : 「ままぁ………!」

[メイン] スカイハイ : もう一度右手にヴィジョンが発生すると

[メイン] 神原駿河 : 目を見開いた途端、周囲の状況が一変していた

[メイン] ロレンチーニャ : 虫が辺りから湧き上がり、セナの心臓部に群がり

[メイン] ロレンチーニャ : 一瞬、激しいスパークを発生させる

[メイン] 氷室 セナ : 「がッ、は、く…う」

[メイン] 神原駿河 : 「……コレは、一体何が」

[メイン] ロレンチーニャ : 電圧によって、AEDの動作を無理矢理引き起こし、心臓を再始動

[メイン] 神原駿河 : 「七七、セナは今生きてるのか?」

[メイン] テネブレア : 「ままっ…!ままっ!!ままぁぁっ…!!!」

[メイン] 七七 : 「……」

[メイン] 氷室 セナ : 「…ふ、ん…」

[メイン] 氷室 セナ : 腹には、服に突き破られた穴はあるが

[メイン] 氷室 セナ : 肉体は、確かに塞がっている

[メイン] 氷室 セナ : そして、辺り一面に奇妙な卵

[メイン] 神原駿河 : 「…‥コレは、“卵”だ」
「見たことがない形だけれど、確かにそうだッ!」

[メイン] 氷室 セナ : 「…スカイハイ」

[メイン] 氷室 セナ : 右手を握り込むと

[メイン] 氷室 セナ : 卵が一斉に孵化し

[メイン] 七七 : 「……たまご?」

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 「ウシャアーッ!!!」

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 奇妙な生物が、殻を捨てて立ち上がる

[メイン] 氷室 セナ : 「…記憶の一切が、私には役に立たなかった」

[メイン] テネブレア : 「ままぁ……」

[メイン] 氷室 セナ : 「このスタンドは、私のスタンドだが私のスタンドじゃない」

[メイン] テネブレア : ママの手を握る。

[メイン] 神原駿河 : 「……つまり、どういうことだ!?」

[メイン] 氷室 セナ : 「得て、数年は無駄だと思ってた、けど」
テネブレアの手を握りつつ

[メイン] 氷室 セナ : 「…私が操る生き物は、ずっと別だったわけだ」

[メイン] 『魂の掃除屋』 : その爬虫類とも両生類とも違う生き物は

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 素早く、黄色いヴィジョンを目指して走り出す

[メイン] 神原駿河 : 「────まさか、コレは」
「ロレンチーニャに続く、スカイハイの影響下にある生物」

[メイン]   : 『───まずい……
 コイツら…………! 『魂の掃除屋』かッ!!!』

[メイン] 氷室 セナ : 「私は、疑問に思っていた」

[メイン]   :


『世界(ザ・ワールド)』ッ!!!

[メイン] 氷室 セナ : 「人は精神故に人たりえるなら」

[メイン] 氷室 セナ : 「身体が死んでも世界に人が溢れてしまう」

[メイン] 氷室 セナ : 「ただ、成る程…考えてみれば簡単だ」

[メイン] 氷室 セナ : 「そんな仕掛けにも、更に整理する『仕掛け』はある!」

[メイン] 神原駿河 : 「『スカイハイ』の……いや!!」

[メイン] 神原駿河 : 「セナの新たな仲間かッ!!」

[メイン] 氷室 セナ : 「『未知』は打破した」

[メイン] 氷室 セナ : 「お前にも、知ってもらうぞ」

[メイン] 氷室 セナ : 「…吸血鬼の"亡霊"!」

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 瞬時に、ザ・ワールドに飛びかかる

[メイン]   :  

[メイン]   : 『ほお 理解していたとはな』

[メイン]   : 『少しだけ褒めてやるぞ───が』

[メイン] ザ・ワールド : 「時間は止めれば───とるに足らんはずだ」

[メイン] ザ・ワールド :

───『世界』!
時よ止まれいッ!!!

[メイン] ザ・ワールド :  

[メイン] ザ・ワールド : 「まさか な」
───魂の掃除屋を、凝視する。

[メイン] 『魂の掃除屋』 : しかし、魂は止まらない

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 魂の世界に『時間』の概念は無い

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 全ては、掃除されるその瞬間まで風化しない

[メイン] ザ・ワールド : 「───!!!」

追跡。"世界"を超えた───『時間』の存在しない追跡……!
すでに肉体を超越した……存在であるがゆえに……!

[メイン] 『魂の掃除屋』 : "時間の幽霊は居ない"

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 「ウギシャアアァァァァッ!!!」

[メイン] 第三の少年 : ───その時。

[メイン] 第三の少年 : 少年が、腕を広げ───
『世界』と、『掃除屋』の間に爆炎を起こす。

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 「グギッ」

[メイン] 第三の少年 : 『世界』を操っているのは───
おそらく『DIO』だが、何かしらの理由でこの少年を『経由』している。

[メイン] 第三の少年 : この少年もまた、時間の止まった世界に”入門”していたッ!!!

[メイン] ザ・ワールド : 「───時は、動き出す……チッ!」
少年の傍まで戻ると、その姿を消し。

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 「クキィ」

[メイン] 神原駿河 : 「……!?」

[メイン] 『魂の掃除屋』 : べちょり、地面に落ちるが

[メイン] 神原駿河 : 瞬間、熱波が顔に突き当たり
手で前を覆う

[メイン] 氷室 セナ : 「…噂は本当、か」

[メイン] 七七 : 「……ううう」

[メイン] 氷室 セナ : 「"時間に干渉するスタンド"」

[メイン] 神原駿河 : 「い、今…あのスタンド、あの生き物から逃げたのか!?」

[メイン] 氷室 セナ : 「…ええ」

[メイン] 氷室 セナ : 「この生き物は、魂を掃除する生物」

[メイン] 第三の少年 : 「…………」
そのマスクの奥。その表情はわからない。
だが、おそらくその表情はきっと、マスクをかぶった『彼』の物ではない。

[メイン] 神原駿河 : 「……スタンドの天敵じゃないか」

[メイン] 氷室 セナ : 「魂の分身で体からはみ出るスタンドは」

[メイン] 氷室 セナ : 「…そう」

[メイン] スカイハイ : ぐっと、右手を構え直し

[メイン] 氷室 セナ : 「確か…」

[メイン] 氷室 セナ : 「お前のスタンドは、"世界"の暗示だったと聞いた」

[メイン] 氷室 セナ : 「…なら、あらためて言っておく」

[メイン] 氷室 セナ : 「この生き物は"世界の自浄作用"」

[メイン] 氷室 セナ : 「追い込め!スカイハイ!」
もう一度、命令を走らせる

[メイン] 第三の少年 : 「…………」
"少年"は語らない───だが。

[メイン]   : 「完全制覇、完全攻略、正確無比、永遠不滅。」

[メイン]   : 「それが、『世界』の正位置だ」

[メイン] ザ・ワールド :

 ゥン

[メイン] ザ・ワールド : 「物知りなキサマなら わかるだろう」

[メイン] 氷室 セナ : 「…ふむ」

[メイン] ザ・ワールド : 「ザ・ワールドはまさに最強のスタンド

 だが───そのスタンドの使い手が……"人間"ではないことも、また」

[メイン] 氷室 セナ : 「…ええ」

[メイン] 氷室 セナ : 「少なくとも、アンタの本来の本体は…」

[メイン] : コショコショ

[メイン] 氷室 セナ : 「『吸血鬼』」

[メイン] 神原駿河 : 「…ッ!」

[メイン] 七七 : 「まさか……!」

[メイン] ザ・ワールド : 「そうだ───」

拳を構え、今度は───時間停止は、不要。

[メイン] ザ・ワールド : 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ───!!!!!!」

[メイン] 氷室 セナ : 「スカイハイッ!」

[メイン] ザ・ワールド : 『掃除屋』に、叩き込むッ!!!

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 一匹、二匹、三匹

[メイン] 神原駿河 : 「──なっ!?」

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 襲い掛かる掃除屋は、儚く砕ける

[メイン] 氷室 セナ : 「…そうね」

[メイン] 氷室 セナ : 「魂の存在は、いわば」

[メイン] ザ・ワールド : 凄まじいスピード。
突きの速さ比べ。それは───"ある瞬間"までのあの男にすら勝っているほど。

[メイン] 氷室 セナ : 「グラスのない"注がれた水"」

[メイン] 氷室 セナ : 「本来、形を保ち得ない存在」

[メイン] 氷室 セナ : 「スタンドであれば、精神を持って器を」

[メイン] 氷室 セナ : 「人間には肉体を」

[メイン] 神原駿河 : 「……つまり、水を拭うのが仕事の掃除屋は、氷相手に弱いというわけかッ!!」

[メイン] 氷室 セナ : 「…掃除屋にはそれが無い」

[メイン] 氷室 セナ : 「…そう、どうであれ、脆い」

[メイン] 氷室 セナ : 「…なら、まあ」

[メイン] 氷室 セナ : 「根比べにしよう」

[メイン] ザ・ワールド : 「───"根比べ"だと?」

[メイン] スカイハイ : スカイハイのついた腕を

[メイン] 神原駿河 : 「……そういうわけかッ!」

[メイン] スカイハイ : 自身に突き立てると

[メイン] スカイハイ : そのまま、再び無数の卵を噴き上げる

[メイン] 神原駿河 : 両腕を前に構え、ザ・ワールドに狙いを付ける

[メイン] 氷室 セナ : 「お前にも分かるはずよ」

[メイン] 氷室 セナ : 「世界というあまりにも膨大なリソース」

[メイン] 氷室 セナ : 「時を干渉する程の力が、お前『世界』なら」

[メイン] 氷室 セナ : 「私のは、世界中の生物を掃除する"程"」

[メイン] ザ・ワールド : 「───何ッ!!」

だが、スタンドは精神力によって成長する。
ましてや、そのスタンドが何かを"支配"する能力であれば───まさに、このDIOのように……。
"わかっていた"が……

[メイン] 氷室 セナ : 「地球が生まれて数億と二千と数十年」

[メイン] 氷室 セナ : 「生物は、せいぜい数万」

[メイン] 氷室 セナ : 「人類は更に短く切り取り数世紀」

[メイン] 氷室 セナ : 「魂は、お前が確か一人に付き10gと仮定していた」

[メイン] 氷室 セナ : 「…さて、お前はこれから」

[メイン] 氷室 セナ : 「全ての魂を掃除して余りある総量をぶつけさせて貰う」

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 「ピギーッ」
「ギャーイ」
「ウギイイイイ」

[メイン] 神原駿河 : 「……ついで程度の爪弾もある、まあ、オマケのような物だがな」

[メイン] ザ・ワールド : 「だが───……"人"は"成長"し
 目覚ましい発展を遂げた、だろう

 ともすれば、その人間すら『超越』したこのDIOが───そしてこの俺を
 粉砕した……ジョースター家の『魂』が───10グラムぽっちで済むと」

[メイン] : コショコショ

[メイン] 神原駿河 : ……さっきから鳴かないな

[メイン] 氷室 セナ : 「そうね」

[メイン] ザ・ワールド : 「思っているのか

 ───その生物を操るキサマもまた……『人間』だ」

[メイン] 氷室 セナ : 「そう、私は人間」

[メイン] 氷室 セナ : 「少なくとも、お前みたいに」

[メイン] 氷室 セナ : 「この生き様に欲張るほどの強欲さは無いッ!!!」

[メイン] 氷室 セナ : 「スカイハイッ!!!奴を全て飲み込めーッ!」

[メイン] ザ・ワールド : 「…………───減らず口を叩きおって

 ───ザ・ワールドッ!!!」



 ゥン

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 今度は倍の数を引き連れて

[メイン] 『魂の掃除屋』 : その間にも卵は地面から湧き出して

[メイン] : 無言で射出された爪弾が、ザ・ワールドの寸前で静止する 合計九発

[メイン] ザ・ワールド : 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ!!!」

[メイン] 七七 : 「……知ってる?生き物ってさ」

[メイン] 七七 : 「……たとえ死んでも。その『魂』は……形を変えず、残ってるの」

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 弾ける、弾ける、弾ける

[メイン] 七七 : もぞもぞと、破壊されたはずの『掃除屋』を━━復元し続ける。

[メイン] : 蹴散らされる爪弾、まだ まだ足りない

[メイン] : そんな中、今も牙は何かを囁いている

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 透明な掃除屋が

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 凶暴さを増し暴れだす

[メイン] : ……“止まった、時の中でも”

[メイン] : 「Movere Crus」

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 「グバァア──ッ!!!」

[メイン] : そう、左腕に向かい囁き続けている

[メイン] ザ・ワールド : ───やはりこの『掃除屋』を真っ向から潰し続けるのは至難。

が、このDIOが、このDIOが───…………ここで食い倒されるとでも思っているのかッ!!!
時は、動き出す───……!!!

[メイン] 第三の少年 : 瞬間、少年の介入が入る。
爆炎が───再び燃え広がるッ!!

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 炎に巻かれるが

[メイン] 神原駿河 : 「また、コレか──ッ!?」

[メイン] ゾンビ : 「ウオオオ ウオオオオオオオ───z___!!!」

そして、ゾンビによる───肉壁ッ

[メイン] 左腕 : シルシルシルシルシルシル

[メイン] 氷室 セナ : 「…ッ!」

[メイン] 七七 : 「━━ッ!ぐぅ…ッ!」

[メイン] 神原駿河 : 「……?」

[メイン] 氷室 セナ : 「波紋は足りない…多すぎる」

[メイン] 神原駿河 : 「……おかしい、全弾、放った筈」

[メイン] 七七 : 「……っ……するが、その腕……!?」

[メイン] ザ・ワールド : 「どうだゾンビの肉壁は───…………?」

なんだ、この妙な悪寒は。

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 掃除屋は、ゾンビの魂を食らい

[メイン] 左腕 : 一本だけ、爪弾が残っている
だが

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 別の生き物に変質させるが、ザ・ワールドには届かない

[メイン] 左腕 : 回転方法が、おかしい
歪んだ腕の指を軸にして、他の指とは違う回転を続けている

[メイン] 神原駿河 : 「……もういいッ!!」
「とにかくお前も行けぇぇ!!」

[メイン] 神原駿河 : 躊躇なく、全く別の回転を続ける爪弾を、ザ・ワールドへ向けて射出した

[メイン] 第三の少年 : 「───!!!」
少年が、『DIO』の意思に引っ張られ
ザ・ワールドをこちらへと手繰り寄せるように、引き寄せる。

[メイン] ザ・ワールド : 「───」
あの『回転』は何だッ!!

[メイン] 氷室 セナ : 「…神原!?今のは!?」

[メイン] 神原駿河 : 「わからないが、兎に角邪魔だから撃った!!」

[メイン] 神原駿河 : 「次の爪弾が来たら、また奴……を?」

[メイン] 左腕 : 遅い、一本だけどうしようも無く爪の伸びが遅い

[メイン] 七七 : 「……するが!……さっきの、もう一回できる……!?」

[メイン] 氷室 セナ : 「…いや、させますよ」

[メイン] ザ・ワールド : どうする───叩き落すか?
否、これを叩き落す事が果たして正しいのか!!?

[メイン] 氷室 セナ : 神原の手を持つ

[メイン] 氷室 セナ : 「コォオオオオオッ!!!」

[メイン] 神原駿河 : 「……!?」

[メイン] 氷室 セナ : 波紋!波紋の生命のエネルギー!

[メイン] 氷室 セナ : 自身の生命エネルギーを波紋に転換し、神原に流し込む!

[メイン] 氷室 セナ : 一時的にだが、神原自身の生命活動を引き上げる為に!

[メイン] 第三の少年 : 「───……!!!」
少年に介入する『DIO』の意思以上に
その場に突如あふれ出した、黄金の輝きが少年が少年たらしめる意思を絆し始める。

[メイン] 氷室 セナ : 「装填は、間に合いますかッ!」

[メイン] テネブレア : 「ままぁっ……」

[メイン] ザ・ワールド : 「!!?」
スタンドパワーが……落……!

[メイン] 左腕 : 軋むような音を立て、爪弾が復活し、また激しく回転する

[メイン] 神原駿河 : 「や、やれたッ…!」
「だが、コレがなんだと言うんだ!!」

[メイン] 神原駿河 : 「あんな奴相手に、通じてしまう物なのかッ!?」

[メイン] 氷室 セナ : 「…通じる限り、続けます!」

[メイン] 氷室 セナ : 「テネブレア、今はそばに」

[メイン] 氷室 セナ : 「ここが一番安全でしょう」

[メイン] 神原駿河 : 「やるしか、ないッ!!」

[メイン] テネブレア : 「ん……ままぁ……だいすき…」

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 力の限り、掃除屋を

[メイン] 七七 : 「……サポート、全力……!」

[メイン] 第三の少年 : その、『黄金の精神』は
とうとう───DIOの『意思』を少年から振り払い。

ザ・ワールドは、少年の下まで引き寄せきれないッ!!!

[メイン] ザ・ワールド : 「な 何ィ~~~!!!」

[メイン] 氷室 セナ : 「…別れた」

[メイン] 『魂の掃除屋』 : すると

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 物陰に挟まされていた卵が一斉に孵化する

[メイン] 神原駿河 : 「今、今撃てばいいのかセナ!?さっきの通り、リロードが遅いぞ!!」

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 「コァーッ!!!」

[メイン] ザ・ワールド : 「───!!!」
無限に、無限に等しい……概念を知らぬ……『ノミ』がッ!!!

[メイン] 氷室 セナ : 「打てれば良いんです!!」

[メイン] 氷室 セナ : 「どれだけの時間を止めようが!攻めようが!」

[メイン] 氷室 セナ : 「人型である限り死角がある!」

[メイン] 神原駿河 : 「なら……!!」

[メイン] 氷室 セナ : 「背部、背の中心」

[メイン] 氷室 セナ : 「拳を届かせることはできない」

[メイン] 神原駿河 : 「なら、そこを狙うッ!」

[メイン] 氷室 セナ : 「故に…どんなに強くても…あのスタンドはもう」

[メイン] 氷室 セナ : 「抗い切れないッ!!」

[メイン] 第三の少年 : 少年は、確かにこの瞬間ッ!
DIOの側ではない。
ゆえに、ザ・ワールドの死角を補い、爆炎を起こす彼も。

[メイン] 第三の少年 : もはや、助けとならない!

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 降り注ぐ雨のように!

[メイン] 七七 : 「……チャンスは、逃さない……!!」

[メイン] ザ・ワールド : 「───ぬううッ!!!

 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ!!!」 」

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 魂の掃除屋はザ・ワールドにありとあらゆる方位から跳ね上がる!

[メイン] ザ・ワールド : 四方八方、その体躯を絶え間なく宙で『回転』させ
掃除屋にその身を貪られないよう、ラッシュを叩き込むッ!!!

[メイン] 氷室 セナ : 「…一匹」

[メイン] 氷室 セナ : 「無理矢理撃ち抜いて押し込んでください」

[メイン] 神原駿河 : 「……わかった!!」

[メイン] 神原駿河 : 「タイミングは任せる、好きにやれッ!!」

[メイン] 氷室 セナ : 「…今です、たった今!」

[メイン] 七七 : 「……!」

[メイン] 神原駿河 : 「“牙”ゥゥゥ!!!」

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 打ち出された爪に!

[メイン] 左腕 : 文字通り撃鉄を入れれたかの様に、回転を続ける爪弾が、魂の掃除人に激突する

[メイン] ザ・ワールド : 『馬鹿な』

『このDIOが───!!!』

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 迎撃する拳を!

[メイン] 『魂の掃除屋』 : 無理矢理食いちぎるッ!

[メイン] act2 : 「チュミミーン!」

[メイン] ザ・ワールド : 『この……!!!』


『DIOがァアアッッ~~~~~~~!!!!!』

[メイン] 氷室 セナ : 「…もう、おしまいです」

[メイン] act2 : 快勝を叫ぶ様に、一瞬姿を表した次世代は

[メイン] : 解ける様に、元の姿へ戻った

[メイン] 氷室 セナ : 「吸血鬼の癖に、酷い傲慢な癖に」

[メイン] 氷室 セナ : 「…"人間"にしがみつくな、DIO」

[メイン] 第三の少年 : 「──── ハッ」

刹那、少年は───貪られる『世界』に気づいた。

[メイン] 第三の少年 : そして、手を伸ばし。

[メイン] 第三の少年 :


『爆炎』

[メイン] 第三の少年 : ───ザ・ワールドは、粉々となった。

[メイン]   :  

[メイン]   : 『世界』から骨が飛び出し。
その骨は、どこかへと消えていった。

[メイン]   :  

[メイン] 神原駿河 : 「あ、あの少年がトドメを刺した!?」

[メイン] 神原駿河 : 「自分のスタンドではなかったのか!?」

[メイン] 氷室 セナ : 「…ええ」

[メイン] 第三の少年 : 「……」
少年は、マスク越しだが
何故か───セナのような雰囲気を醸し出していた。

[メイン] 氷室 セナ : 「私は知っている、彼はあの本体とは違う」

[メイン] 七七 : 「…………」
警戒を保ったまま。

[メイン] 氷室 セナ : 「…貴方は」

[メイン] 氷室 セナ : 「貴方は誰ですか」

[メイン] テネブレア : 「ままぁっ……」

[メイン] 第三の少年 : 「───……」
瞬間、時間を停止したわけでもないというのに
セナの眼前へと瞬間移動し。

[メイン] 神原駿河 : 「……な、なんだ」
「先程から何度も雰囲気が変わる」

[メイン] 氷室 セナ : 「…むむ」
くっつくテネブレアを撫でつつ

[メイン] 氷室 セナ : 「…っ」

[メイン] 第三の少年 : ───負ったダメージを、無かったことにするかのように
『治す』

[メイン] 神原駿河 : 「…服が、いや傷が治っていく」

[メイン] 神原駿河 : 「この少年は、もう味方なのか…?」

[メイン] 氷室 セナ : 「…これは」

[メイン] 七七 : 「……」

[メイン] 第三の少年 : 「…………」
コク、と頷くと少年は再び宙へと浮かび上がり。

[メイン] 第三の少年 : その最中、突如透明となり。
目で追う事はできなくなった。

[メイン] 氷室 セナ : 「…」

[メイン] 氷室 セナ : 「…さようなら」

[メイン] 神原駿河 : 「……まるで、幽霊だったな」

[メイン] 七七 : 「……幽霊」

[メイン] 氷室 セナ : 「…わからない」

[メイン] 氷室 セナ : 「ですが今は」

[メイン] 氷室 セナ : 「…終わったことを喜びましょう」

[メイン] テネブレア : 「ままぁ!!だいすきぃ……」

[メイン] 七七 : 「……」

[メイン] 神原駿河 : 「……ハハ、テネブレアはブレないな」

[メイン] 神原駿河 : 「ハハ、ハッハッハッハッハ!!!!」

[メイン] 神原駿河 : 「生きてるのか!!!」

[メイン] 神原駿河 : 「あっはっは!」

[メイン] 氷室 セナ : 「…ええ」

[メイン] 七七 : すとん、と神原にもたれかかって。

[メイン] 氷室 セナ : テネブレアを撫でて、抱き上げて

[メイン] 氷室 セナ : 「…ほら」

[メイン] 氷室 セナ : 「帰りますよ、疲れましたので」

[メイン] 七七 : 「……疲れた」

[メイン] 神原駿河 : 「七七、私たちはまだ動いている、もう大丈夫だ、ハハ……あー」

[メイン] テネブレア : 「んぁ…ままぁ………」

[メイン] 神原駿河 : 「わかる、疲れた…」

[メイン] 神原駿河 : 「セナ、私と七七をおんぶしてくれ…」

[メイン] 氷室 セナ : 「馬鹿言わないで」

[メイン] 七七 : 「するが、お手柄だった。えらい」
もたれかかった姿勢のまま、その頭に手を伸ばして。

[メイン] 神原駿河 : 「ん…?」

[メイン] 神原駿河 : されるがままに、七七の方を向く

[メイン] 氷室 セナ : 「…ああ」

[メイン] 七七 : さすさすと、撫でるように。

[メイン] 氷室 セナ : 「神原はよくやった」

[メイン] 氷室 セナ : 「…一つ、稀な話があるの」

[メイン] 氷室 セナ : 「スタンドは進化する」

[メイン] 神原駿河 : 「ん、進化……ですか?」
撫でられながら、話を聞いている

[メイン] 氷室 セナ : 「…確かなのは、それを起こすのは」

[メイン] 氷室 セナ : 「素晴らしい魂の持ち主、だそう」

[メイン] 神原駿河 : 「……“素晴らしい”ですか」

[メイン] 七七 : 「……せな、無事でよかった。……でも、次から、説明して」
少し不満そうに

[メイン] 氷室 セナ : 「…"精神"」

[メイン] 七七 : 「よかった。するが、すばらしいって」

[メイン] 氷室 セナ : 「…すいませんね、色々私もあって」

[メイン] 氷室 セナ : 「私は一つ、前こう言われました」

[メイン] 神原駿河 : 「……ふむ?」

[メイン] 氷室 セナ : 「価値のあるものは『精神の成長』」

[メイン] 氷室 セナ : 「…行った結果ではなく、その過程に備わる成長にこそ、価値がある」

[メイン] 氷室 セナ : 「…素晴らしい魂の持ち主…というのは」

[メイン] 神原駿河 : 「……」

[メイン] 七七 : 「……」

[メイン] 氷室 セナ : 「"それだけの逆境を越える魂の持ち主"であったからこそ」

[メイン] 氷室 セナ : 「素晴らしい、と言ったのだと」

[メイン] 氷室 セナ : 「私は思ってますよ」
にこりと、かすかに微笑み

[メイン] 七七 : 「……するが。」

[メイン] 七七 : 「するがは、どんな気持ちだったの?」

[メイン] 神原駿河 : 「……必死、だったな」

[メイン] 神原駿河 : 「これから、何ができるのか」
「何か掴めるのか、それに対して一生懸命だった」

[メイン] 七七 : 「……うん」

[メイン] 神原駿河 : 「……だから、不謹慎かもしれないんだが」

[メイン] 神原駿河 : 「ザ・ワールドを射抜くまでの間」
「これまで以上に、生きている事に感謝していた」

[メイン] 神原駿河 : 「……必死に、真っ直ぐに」
「そう生きていられる事に、感謝していた」

[メイン] 神原駿河 : 「……そんな場合じゃないとは、わかっていたんだがな」

[メイン] 氷室 セナ : 「それは成長ですよ」

[メイン] 神原駿河 : 「…え」

[メイン] 氷室 セナ : 「…自分の人生に、価値を一新させた」

[メイン] 氷室 セナ : 「生まれてきてからやったことを定義し直して」

[メイン] 氷室 セナ : 「精神を貴女に形作る記憶を研ぎ直す」

[メイン] 氷室 セナ : 「それは成長だ」

[メイン] 神原駿河 : 「───」

[メイン] 神原駿河 : 「……ああ、私もそう思う」

[メイン] 七七 : 「……。」

[メイン] 神原駿河 : 感慨深く強く頷くと、少しフラつく

[メイン] 七七 : 「!」

[メイン] 七七 : ぱ、と支えるように飛びつく。

[メイン] 神原駿河 : 「っと……す、すまない七七」
「ちょっと、集中しすぎたみたいだ」

[メイン] 氷室 セナ : 「…っと」

[メイン] テネブレア : 「まま……ままぁっ………ん〜?」
キスを待つ。

[メイン] 氷室 セナ : 「…………」

[メイン] 氷室 セナ : 指を当てておき

[メイン] 七七 : 「ん……するが、よく頑張った。」

[メイン] 氷室 セナ : 「行きますよ、続きの話は」

[メイン] 氷室 セナ : 「また後にしましょうか」

[メイン] 神原駿河 : 「……ああ」

[メイン] 神原駿河 : 少し、フラつきながらも
自分の足で立ち上がり、地面と離れる

[メイン] テネブレア : 「ままぁ〜……だい…だいすきぃ…」

[メイン] 七七 : 「……」

[メイン] 氷室 セナ : 「…んもう」

[メイン] 氷室 セナ : 疲れたようにため息しつつ

[メイン] 神原駿河 : 「ハハ、デレデレだな」

[メイン] 氷室 セナ : 「何故でしょうね…」

[メイン] 氷室 セナ : そう言って、帰路に着く

[メイン] 七七 : 前へと導くように、神原の手を取り。

[メイン] 七七 : 「するが、こっち。……おんぶは無理だけど」

[メイン] 神原駿河 : 「…ありがとう、七七」

[メイン] 神原駿河 : 誘導に従い、歩いて行く

[メイン] 氷室 セナ : …まるで全てを終えたかのように、空を見上げてふと思う

[メイン] 氷室 セナ : 『人間はあの時地球を超えて成長したんだッ!』

[メイン] 氷室 セナ : そうですね

[メイン] 氷室 セナ : 『世界』すら超えたのは、もう何年も前の話だ

[メイン] 氷室 セナ : どうであれ、こんなことでは

[メイン] 氷室 セナ : 何も終わらない

[メイン] 氷室 セナ : …まだ、やる事は続いてるのだ

[メイン] 氷室 セナ :  

[メイン] 氷室 セナ :  

[メイン2] 神原駿河 :  

[メイン2] 神原駿河 :  

[メイン2] 神原駿河 : ここは、セナが案内してくれた施設

[メイン2] 神原駿河 : 実を言えば、ここまで来るのにほぼ気絶寸前で内装もよく見れていなかった

[メイン2] 神原駿河 : そして、ベッドに倒れ込んで寝てから……

[メイン2] 神原駿河 : 「……今、起きた」

[メイン2] 七七 : ぽすり、と神原の布団の上に乗っかっている。

[メイン2] 七七 : 「おはよ。」

[メイン2] 神原駿河 : 「……ああ、おはよう。七七」

[メイン2] 七七 : 「するが、よく寝てた。いいこと」

[メイン2] 七七 : ぴょいとベッドから飛び降りて、柔軟体操を始める。

[メイン2] 神原駿河 : 続いて体操をしながら、神原は思案に浸る

[メイン2] 神原駿河 : (……あの一戦で起こった、回転はなんだったんだ?)

[メイン2] 神原駿河 : 指の一本、その爪弾だけが、まるでドリルのように……

[メイン2] 神原駿河 : ……アレが、恐らくは私の……“牙”の進化

[メイン2] 神原駿河 : 何ができるかは掴めないが、これまでの爪弾とは比べ物にならない威力だった……

[メイン2] 神原駿河 : 次の戦いまでに、習熟しなければ……

[メイン2] 神原駿河 : その様な事を考えながら、体操を順調にこなして行く

[メイン2] 七七 : 「……難しい顔。悩み事?」

[メイン2] 七七 : 先に体操を終えたらしい様子で、顔を覗き込む。

[メイン2] 神原駿河 : 「……ああ」

[メイン2] 神原駿河 : 「スタンドの進化、について考えていてな」

[メイン2] 神原駿河 : 「一度偶然やれた……では、ダメだ」

[メイン2] 神原駿河 : 「せめて、起こった過程を理解しないと……」

[メイン2] 七七 : 「……。」

[メイン2] 七七 : 「じゃあ、聞いてみたら?……その子に」

[メイン2] 神原駿河 : 「……こいつ、か?」
左腕を差し出すと

[メイン2] 七七 : こくん。

[メイン2] : フヨフヨと、腕の上に浮いて現れる

[メイン2] 神原駿河 : 「……そう、だな」
「こいつは私の魂の分身、みたいな物だ」

[メイン2] 神原駿河 : 「少し、向き合ってみようと思う」

[メイン2] 七七 : それに首肯し、自身のベッドに腰掛けてぼうっと休む。

[メイン2] 神原駿河 : ……手の中に“牙”を囲うと目を閉じ集中する

[メイン2] 神原駿河 : 新たな“牙”それを手にしていた一時を思い返す

[メイン2] 神原駿河 : ……あの時、私は

[メイン2] 神原駿河 : 強く“意識”していた
過ぎ去る一分一秒を

[メイン2] 神原駿河 : それは、どこが始まりだったか…

[メイン2] 神原駿河 : …そう、だ

[メイン2] 神原駿河 : 魂の掃除人

[メイン2] 神原駿河 : アレを見て、彼らと絆をセナの説明を聞いた時

[メイン2] 神原駿河 : 私は……何かを掴みかけていた筈

[メイン2] 神原駿河 : ……その時から、『回転』が始まっていた

[メイン2] 神原駿河 : あの生物に、私は何を見出したんだ?

[メイン2] 神原駿河 : 「……」
世界の仕組み、密接に関わる機構の一部

[メイン2] 神原駿河 : “命”にとても、とてつもなく近い存在

[メイン2] 神原駿河 : “命”……?

[メイン2] 神原駿河 : そう思い、自分の手を視線で貫く様に見つめるが……

[メイン2] 左腕 : 爪に変化はない、むしろ以前より爪の伸びが遅くなっていると感じる

[メイン2] 神原駿河 : 「……あの時、私が見ていた物は、感じていた物は」

[メイン2] 神原駿河 : 「……”感謝“、いや」

[メイン2] 神原駿河 : 「敬意か」

[メイン2] 神原駿河 : きっと、これは近道をさせてもらった事になる

[メイン2] 神原駿河 : 「……“魂の掃除人”か」

[メイン2] 神原駿河 : 魂を拭い続ける、最も大きい自然現象、いや世界現象の一つ

[メイン2] 神原駿河 : 自然、その命の形に最も長く接し続けた“生き物”

[メイン2] 神原駿河 : それを何度も目にできたから、私は……

[メイン2] 神原駿河 : 美しさに気付けた

[メイン2] 神原駿河 : 「……美しさへの、敬意か」

[メイン2] 神原駿河 :  

[メイン2] 神原駿河 : 『黄金長方形』
これは、自然が産んだ最も美しい物

[メイン2] 神原駿河 : それを幾重も重ね、その中心へと進む
無敵の回転

[メイン2] 神原駿河 : それが、『黄金の回転』

[メイン2] 神原駿河 : 「……答えを教えてくれてありがとう、act2」

[メイン2] 神原駿河 : 「今日から、私はこの美しさに気づいて生きていける」

[メイン2] 神原駿河 : 「……本当に、本当にありがとう」

[メイン2] act2 :  

[メイン2] 神原駿河 : 手の中に収まるほど小さかった“牙”は、ここに新たな姿を体現する

[メイン2] 神原駿河 : 「……やった!」

[メイン2] 七七 : ぴょん。

[メイン2] 七七 : 「……おめでと、するが。がんばった」

[メイン2] 神原駿河 : 涙を流しながら、新たな“牙”を迎え入れる

[メイン2] 神原駿河 : 「ああ、ああ……!やり遂げたよ…!」

[メイン2] 七七 : 「うん。えらいえらい」
頭を撫でるような仕草をしつつ、その新しく生まれ変わったスタンドの姿を見て。

[メイン2] 七七 : 「こんにちは」

[メイン2] act2 : 踊る様に舞い上がり、また左手の中に消える

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : ……人生の価値を再考し、生へ感謝することによって生まれる……精神の成長。

[メイン2] 七七 : 成長しない死体は、そんな生の持つ特権を……少し羨んだ。

[メイン2] 七七 :

[メイン2] 七七 :

[メイン] ジョジョ :

[メイン] ジョジョ :

[メイン] ジョジョ : エイハブに連れられて、ぼくたちはSPW財団の所有する施設の一つにやってきた。
あのスピードワゴンが、一代でここまでの組織を立ち上げたと聞いて……ぼくは改めて、彼と友人でいれた事を誇りに思った。

[メイン] ジョジョ : ぼくが元いた時代の建物とは大きく違う造りと見た目の施設に驚きを感じながらも、ぼくは客人用に用意されている部屋にお邪魔した。

[メイン] ジョジョ : 「お邪魔します」

[メイン] 神原駿河 : 「あっどうぞ!」

[メイン] 七七 : ぴく、と神原の膝の上で顔を上げる。

[メイン] マキマ : 「どうも。」

[メイン] 七七 : 「……こんにちは。」

[メイン] マキマ : 「うん。」

[メイン] 神原駿河 : 「……貴方が、ジョースター卿か」

[メイン] 七七 : 「?」

[メイン] ジョジョ : 「きみが神原駿河さんだね?」

[メイン] マキマ : 「死体が喋っている」

[メイン] 七七 : 「……………………」

[メイン] マキマ : 「…けど、どう言うことなのかな」

[メイン] 七七 : 指をすい……と持ち上げ、無表情に臨戦態勢を。

[メイン] ジョジョ : 「ッ!?」

[メイン] 神原駿河 : 「七七ッ!」

[メイン] マキマ : 指鉄砲にし、構える。

[メイン] ジョジョ : この二人……この状況で唐突に雰囲気が変わったッ……!

[メイン] 七七 : 「…………」

[メイン] 神原駿河 : 「……両者、共に落ち着いてくれ」

[メイン] 七七 : 「…………ごめん、するが。」

[メイン] 七七 : しゅんと肩を落とし、手を下ろす。

[メイン] 神原駿河 : 「私は、初対面の人にも、大事な人にも傷ついてほしくはない」
「ありがとう、七七」

[メイン] マキマ : 「うん、そうだね。私も悪かったね」

[メイン] マキマ : 「今は…事情もある事だし、見逃すよ」

[メイン] ジョジョ : 「……」

[メイン] 七七 : 「……。そっちのおねえさんも、ごめん。」

[メイン] 七七 : ぺこりと頭を下げ。

[メイン] 神原駿河 : 「そちらの方も、貴女なりの冗談だったのだろう」
「だが、私の友人は繊細なのだ、申し訳ない」

[メイン] 神原駿河 : 同じく頭を下げる

[メイン] ジョジョ : 「ありがとう、仲裁してくれて……」

[メイン] マキマ : 「それは悪い事をしたね。マキマ。私の名前だよ」

[メイン] 七七 : 「……七七だ。」

[メイン] 神原駿河 : 気にせず、とジョナサンに礼をして

[メイン] 七七 : 「まきま、まきま」
記憶するように唱えて。

[メイン] マキマ : 「なにかな。」

[メイン] 神原駿河 : 「神原駿河だ、得意技はBダッシュだ」

[メイン] 神原駿河 : 「七七は、誰かの名前を覚えるときにメモをする癖があるんだ」

[メイン] 七七 : こくん。

[メイン] マキマ : 「そうなんだね。ふむ…偉いね」
七七の頭を撫でようとする

[メイン] 神原駿河 : 「ああ、七七。こっちの人の名前も書いておいてくれ」
ジョナサンを指すと、とメモを取り出し手本を書く

[メイン] ジョジョ : 「ぼくはジョナサン・ジョースター、あだ名は縮めてジョジョだよ」

[メイン] 七七 : ぱちぱちと瞬きをしてしばらくそれを見つめたのち、素直に頭を差し出す。

[メイン] 七七 : 「じょじょ」

[メイン] マキマ : 撫でる。

[メイン] 七七 : 「ん。」

[メイン] 七七 : 心地良さそうに肩を震わせる。

[メイン] 七七 : 「……それで、何のご用だっけ。」
撫でられる姿勢のまま、ジョナサンに向き直って

[メイン] 神原駿河 : 「……ああ、それはこちらから頼んだ形になる」

[メイン] 神原駿河 : 「先程、財団の方からジョースター家に纏わる因縁を聞かせていただいた」

[メイン] 神原駿河 : 「……そして、その始祖がいると聞き。どうにも話がしてみたくなってな」

[メイン] 七七 : 「始祖」
ジョナサンをじっと見つめ。

[メイン] 七七 : 「じょじょは、昔の人?」

[メイン] 神原駿河 : 「……そうらしい、伝言で、あまり信じてはいなかったのだが」

[メイン] 神原駿河 : …こう見ると、どうにも実感が湧く

[メイン] 神原駿河 : 衣装だけでなく、佇まいが今を生きてきた人間とは思えない

[メイン] ジョジョ : 「……ああ」

[メイン] 神原駿河 : 「『石仮面』それと初めて戦った、ジョースター家の長」

[メイン] 神原駿河 : 「そんな貴方に、こんな私は質問があって来たのだ」

[メイン] ジョジョ : 「信じられないかもしれないが……ぼくは1889年から来た。ぼくも今でも、ここが百年以上あとの世界なんて信じられてはいない」

[メイン] ジョジョ : 「……ぼくに、質問?」

[メイン] 神原駿河 : 「はい」

[メイン] 神原駿河 : 「私は、“究極生命体”と呼ばれる存在に、少しの興味があるのだ」

[メイン] ジョジョ : 「“究極生命体”……?」

[メイン] 七七 : 足をぷらぷらと揺らしながら耳を傾ける。

[メイン] 神原駿河 : 「……赤い石」

[メイン] 七七 : 「赤い石!」
呼応するように。

[メイン] 神原駿河 : 「エイジャの赤石を使用した石仮面は、『吸血鬼』ではなく、もっと先へと進んだ生き物を作るのだ」七七を落ち着かせる

[メイン] 七七 : 「ん……」

[メイン] 神原駿河 : 「……それが“究極生命体”」

[メイン] ジョジョ : 「石仮面に……吸血鬼のその先があったのかッ!」

[メイン] 神原駿河 : 「……はい」

[メイン] 神原駿河 : 「そして、その生き物は……『波紋』を浴びても死なず」

[メイン] 神原駿河 : 「『太陽光』の中でも適合して生きていける」

[メイン] 神原駿河 : 「……言ってしまえば」

[メイン] 神原駿河 : 「我々と同じ、生物だというのだ」
「あくまで、究極系であるというだけの」

[メイン] マキマ : 「ふむ…」

[メイン] ジョジョ : 「『太陽』の下で、生きていける……」

[メイン] 神原駿河 : 「そうだ」

[メイン] 神原駿河 : 「吸血鬼のような闇の者ではない」
「やろうと思えば、ただの人間としても生きていけるだろう」

[メイン] 七七 : 「……吸血鬼が人間をしちゃ、だめなの?」

[メイン] ジョジョ : 「……」

[メイン] ジョジョ : ただの人間としても生きてゆける……
究極の力を持ちながら、光の中で……

[メイン] 神原駿河 : 「……いいや、まさか」

[メイン] ジョジョ : しかし……
それは……

[メイン] 神原駿河 : 「吸血鬼とて、人を喰わなければ問題はない」

[メイン] 神原駿河 : 「…日光浴ができないのは、障害とも言えるが」

[メイン] マキマ : 「私としては、人間の脅威にいずれ成り得る存在を見過ごすわけには行きませんね」

[メイン] 七七 : 「…………」
神原の言葉を聞いて、半分人ならざる存在として少し安心したように。

[メイン] ジョジョ : 「……究極の生命体はきっと……それが能力的には出来たとしても、それは出来ないんだろう」

[メイン] 神原駿河 : 「……何故、でしょうか?」

[メイン] ジョジョ : 「『弱さ』のないものは……ある意味でとても脆い。ぼくはそう思うんだ」

[メイン] 神原駿河 : 「……つまり、それは」

[メイン] ジョジョ : 「ひとは弱いからこそ寄り添える。でも、もし何一つ弱みがない人がいたとしたら……」

[メイン] 神原駿河 : 「……『他者は必要無くなる』」

[メイン] マキマ : 「…………………」

[メイン] 神原駿河 : 頂点は、常に独り

[メイン] ジョジョ : 「それはとても寂しい事だと思う……」

[メイン] ジョジョ : 「だから、究極生命体というのはその寂しさを感じない……いや、感じなくなってしまった」

[メイン] 神原駿河 : 「……そう、ですね」

[メイン] ジョジョ : 「……ある意味、呪われた存在なんだと思う」

[メイン] 神原駿河 : 左腕を寂しそうに見て、頷く

[メイン] 七七 : 「……じょじょ、おともだちみたいに言うんだね。その生き物のこと」

[メイン] ジョジョ : 「……おともだちか」

[メイン] ジョジョ : 「……『それ』に近付こうとした人を、知っているから……無意識に、重ねてしまっているのかもしれないね……」

[メイン] 七七 : 「…………」

[メイン] 神原駿河 : …DIO、ザ・ワールドの所有者か

[メイン] ジョジョ : 「……石仮面は、呪いだ」

[メイン] ジョジョ : 「不完全に使えば、闇の眷属に姿を変えてしまう」

[メイン] ジョジョ : 「完全に使ったとしても……孤独が待っている」

[メイン] 神原駿河 : 「…絶対に、良い物にはできない、と」

[メイン] 七七 : 「……」

[メイン] 七七 : 「……七七は、元にもどれないの?」

[メイン] ジョジョ : 「元に……」

[メイン] 神原駿河 : 「……それは」

[メイン] 神原駿河 : 「七七は、キョンシーと呼ばれる存在だ」
「元に戻る……自分を蘇生するため、この街に来た」

[メイン] 七七 : こくり。

[メイン] マキマ : 「…ふむ。」

[メイン] 神原駿河 : 「……」

[メイン] 神原駿河 : 「私は、究極生命体の話を聞いた時、その力で七七を…」

[メイン] 神原駿河 : 「それだけでなく、私の大切な人たちの大きな助けになれると思った」

[メイン] 神原駿河 : 「……だが、独りしかなれないのなら」
「呪いでしかないのなら、意味もないか」

[メイン] 七七 : 「……」
俯く。

[メイン] 神原駿河 : 「すまない、ジョースター卿、貴方のお陰で考えを改められた」

[メイン] ジョジョ : 「御礼を言われるようなことじゃないさ。ぼくの主観だからね」

[メイン] ジョジョ : 「……だけど、大昔に死んだはずのぼくが、今ここにいることに理由を付けるとしたら」

[メイン] ジョジョ : 「その呪いを断ち切ることに、あるんだと思う」

[メイン] 神原駿河 : 「……なるほど」

[メイン] 神原駿河 : 「今を生きる人間が、過去に去った先人に助けられてばかり…」
「では今を生きる甲斐がない」

[メイン] 神原駿河 : 「是非とも、協力させてもらいたい」

[メイン] ジョジョ : 「……ありがとう」

[メイン] 七七 : 「…………」

[メイン] 七七 : 「……いいの? するが」

[メイン] 神原駿河 : 「七七?」

[メイン] 七七 : 「……するがも、なにかをどうにかするために来たんでしょ?」

[メイン] 神原駿河 : 「……ああ」

[メイン] 七七 : 「……七七は、わからない。もし、その目的がだめになったなら」

[メイン] 七七 : 「どうすればいいのか。」

[メイン] 七七 : 「……命令がないと、わからない。」

[メイン] 神原駿河 : 「……ふむ」

[メイン] 神原駿河 : 「七七、だったら……」

[メイン] 七七 : 「……?」

[メイン] 神原駿河 : 「私や、みんなが。君に手を差し伸べる」
「わからないなら導くし、わかって欲しい時は頭を捻る」

[メイン] 神原駿河 : 「“壁”の時と一緒だ」

[メイン] 七七 : 「……壁」

[メイン] 七七 : 「……壁。七七、覚えてる。」

[メイン] 神原駿河 : 「人間は助けあえる存在だ」

[メイン] 神原駿河 : 「…なら、まあ」

[メイン] 神原駿河 : 「七七とだって、助け合えない理屈はないだろう?」

[メイン] ジョジョ : 「ふふっ」

[メイン] 七七 : ……こくん。

[メイン] ジョジョ : 「……そうだね。吸血鬼や究極生命体が……人でないものが、人と助け合えない存在なら……」

「逆に、助け合えるということは、人間だってことさ」

[メイン] 七七 : 「……」

[メイン] 七七 : 「……なら、七七も……お手伝いする。」

[メイン] 神原駿河 : 「……!」

[メイン] 七七 : 「……七七も、人間でいたいから。……ありがと、するが」

[メイン] 神原駿河 : 「……いいや、こちらこそだ。七七」

[メイン] 神原駿河 : 「助け合えばいい、そんな事実を再確認できたからな」

[メイン] 七七 : 「……うん。」

[メイン] 七七 : 「……まきまは?」
くるりと首だけ動かして。

[メイン] マキマ : 「…人間である内には、手は出せなさそうですね。」

[メイン] マキマ : 「私も『人間』の味方ですから。手伝いします」

[メイン] 七七 : 「……。」
少し嬉しそうに

[メイン] 神原駿河 : 「‥…うむ、目標の再確認ができた」

[メイン] 神原駿河 : 「今日はありがとう、ジョースター卿」
「私は、貴方に会えて良かった」

[メイン] ジョジョ : 「こちらこそ……」

[メイン] 神原駿河 : 右手を差し出して握手を申し込む

[メイン] ジョジョ : ガッシリとそれを握り返して

[メイン] ジョジョ : 「行こうッ!……その呪いをこの世から消す為にッ!」

[メイン] 神原駿河 : 「ああ!」

[メイン] マキマ :  

[メイン] マキマ : 「ふむ。通信が入りましたね」

[メイン] 七七 : 「?」

[メイン] マキマ : 「スネークがDIOとやらの関係者と交戦中の様ですが」

[メイン] ジョジョ : 「ディオ……!?」

[メイン] マキマ : 「私は向かいますが…どうしますか」

[メイン] 神原駿河 : 「……少し、セナ達が心配だ」
「襲撃者が一人とは限らない」

[メイン] 神原駿河 : 「二手に別れよう」

[メイン] : 『この……!!!』

『DIOがァアアッッ~~~~~~~!!!!!』

[メイン] 七七 : 「……。七七、ディオって人、覚えてる。力になる」

[メイン] ジョジョ : 「……ああ。ディオ……」

[メイン] 神原駿河 : 「……分かった」

[メイン] マキマ : 「じゃあ七七ちゃん、行こうか」

[メイン] ジョジョ : ……彼の遺したものは、あと幾つあるのだろう……
その全てにケリをつけなければ……

[メイン] 七七 : 「……。」

[メイン] 七七 : こくん。

[メイン] 七七 : 「するが。……七七とするが、ディオのこと、知ってる……なら、分かれたほうがいい。」

[メイン] 神原駿河 : 「……ああ」

[メイン] 神原駿河 : 「頑張れ、七七ッ!負けるなよ!!」

[メイン] 七七 : 「……するがもね。」
にこりと、拳を突き出し。

[メイン] ジョジョ : 「ぼくたちはエイハブのもう一方の方に行こうッ!」

[メイン] 神原駿河 : 拳を突き合わせ、その後ジョナサンに続き走る

[メイン] 七七 : それを確認して、とてとてとマキマの後ろ姿を追う。

[メイン] マキマ : 「場所は…葬られた所らしいね」

[メイン] 七七 : こくり。

[メイン] 七七 : 「覚えてる。」

[メイン] 七七 :

[メイン] 七七 :

[メイン] エイハブ :  

[メイン] エイハブ :  

[メイン] エイハブ : 「───時間を……止めたのか?
 あの女は……それだけだと信じたいが」
鯉口を寛がせていた───アヌビス神に、『義手』で触れる。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「にしても、厄介ね」

[メイン] エイハブ : 「───何だと?」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「『能力の種』が割れているというのは」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「知られてさえいなければ、能力を『見抜く』前に仕留めることだって出来る。私の能力は『そういう』タイプの力よ」

[メイン] エイハブ : 「だが
 いくら自分が引くのが『ジョーカー(ババ)』……だと目に見えて……わかっていてもだ
 絶対に引かなければならなければ 避けられず
 『ジョーカー』を引き
 抱え落ち……目に見えた『敗北』に陥る…………」

[メイン] エイハブ : 「俺は確かにお前の能力を『見抜いた』が……

 お前はその、『絶対にババを引かせる』ぐらいの手練れだというのは
 わかる───」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「そう?評価されているようで嬉しいわ」

[メイン] エイハブ : ───アヌビス神。

牽制だ。『透過』!!!

[メイン] アヌビス神 : ───わかっている。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「だけど」

[メイン] エイハブ : 「!!」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「自分の都合のいい方に考えようとするのは直した方がいいわね」

[メイン] 十六夜咲夜 : 指を鳴らす。

[メイン] エイハブ : !?

───何。

[メイン] 十六夜咲夜 : 途端、スネーク以外の全てが加速する。

[メイン] 十六夜咲夜 : ……いや。
彼の感じる『時間』が、長く長く、引き伸ばされているのだ。

[メイン] エイハブ : 馬鹿な

『時間停止』ではない、これは……俺以外の『時間』が急加速……いや
引き延ばされている。俺の時間が。鈍い。
緩やかな風すらも、俺の足に絡みついてくるほどに。

[メイン] エイハブ : だが───

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……あら。『こっち』は初見だったみたいね」

[メイン] エイハブ : 咲夜からして、ゆっくりと、だが
アヌビス神を───手元から

[メイン]   : ギャンッッ!!!

オォオオオ────ッッッッ!!!

[メイン]   : アヌビス神が
咲夜には『透過している』と悟られないよう、凄まじい速度で『回転』し
投擲される───

[メイン] 十六夜咲夜 : 「剣を投げ……?」

[メイン] エイハブ : 「こ……れ……も……

 『初見』

 …………だ………ろう」

[メイン] 十六夜咲夜 : 咄嗟にその場から消えるように、その軌道から外れて現れる

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……ヤケかしら?」

[メイン] アヌビス神 : ───フッ かかったなッ!!
そしてエイハブ……すまねえが

[メイン] アヌビス神 : 掠る程度なら『透過』は……『解除』するッ!!!

[メイン]   : アヌビス神は、エイハブの投擲方法によるものか
ブーメランのように───返ってくるッ!!!
そしてその進路は───

[メイン]   : 咲夜の『肩』を、掠ろうと───

[メイン] 十六夜咲夜 : 「ッ!?」

[メイン] エイハブ : 「ッ───」
アヌビスめ……だが、"通用"したか……俺のやり方も
この乱れ狂う『時間』にッ!!

[メイン] 十六夜咲夜 : 肩をかすめ、そのまま回って着地する

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……『二度』は通用しないわよ」

[メイン] アヌビス神 : 「『二度』通用しないのは……こっちの『台詞』だぜ」

[メイン] エイハブ : 「…………お前は、時間を止め、そして加速させる事すらできる
 俺にはそのどちらも、ましてや時間を遡らせる事もできん」

[メイン] エイハブ : 「だが……」

[メイン] エイハブ : 「『時間稼ぎ』はできた」

[メイン] エイハブ :  

[メイン] 十六夜咲夜 : 「『時間稼ぎ』……!?」

[メイン] 十六夜咲夜 : しまった……『遊びすぎた』……ッ!

[メイン] :

[メイン] : 「……あっちが、敵。」

[メイン]   : 狙いを定めて。指鉄砲を構え。

[メイン] マキマ : 「ぱん。」

[メイン] 十六夜咲夜 : 殺気。

[メイン] 十六夜咲夜 : 再びそこから姿を消して、別の場所に現れる

[メイン] 七七 : 「…………。惜しい。」

[メイン] マキマ : 「ありゃ。外れちゃった」

[メイン] エイハブ : 「…………来てくれたか、藪をつっついて蛇を出すのが好きなお嬢さんで助かった……」
咲夜を見て、ニタリと笑いながら膝をついて息を上げる。

[メイン] 七七 : 「……」

[メイン] 七七 : 「こっちは、味方。」

[メイン] エイハブ : 「ああ───聞いている 七七……『縁起』の良い名前だな
 『7』が『二つ』だ」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……新手が二人」

[メイン] マキマ : 「無事のようだね、スネーク」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「『遊びすぎた』わね」

[メイン] エイハブ : 「ああ───……」
マキマの右手を───生身の右手で触り、起き上がる。

[メイン] エイハブ : 「だが ここからは『遊び』じゃあない
 …………お前のその能力は『脅しの道具』じゃあない」

[メイン] エイハブ : 「そして……こっちも『同じ』だ
 『遊び道具』も『脅しの道具』も無い……」

[メイン] 十六夜咲夜 : 懐中時計を取り出す。

[メイン] 十六夜咲夜 : 先述した通り『ルナ・ダイアル』はスタンドビジョンを持たない

[メイン] 十六夜咲夜 : その引き換えに得た『父』を超えた『能力』

[メイン] 十六夜咲夜 : 『停止時間』は

[メイン] 十六夜咲夜 : 『無制限』

[メイン] エイハブ : ───『懐中時計』…………?

まさか…………
あれが『スイッチ』か……!!? いや早計か?

来る───…………

[メイン] エイハブ : …………

[メイン] アヌビス神 : …………

[メイン] 七七 : …………あの『DIO』と同じ能力なら。認識できなければ━━防御に回るしかない、はず。

[メイン] マキマ : ふむ…未来の悪魔。見せてごらん。

[メイン] 七七 : 素早く身体を『透明化』させ━━雌伏する。

[メイン] 十六夜咲夜 : 急激。かの男があの時展開した数を軽く越える数の『ナイフ』。

[メイン] 十六夜咲夜 : それが眼前に広がると同時に、彼女そのものは既に遠ざかるように駆け出している

[メイン] エイハブ : 「───!!!」
雨、否……『ナイフ』ッ!!!

[メイン] エイハブ : "アヌビス神"を───振るい
こちらへと迫ってきたナイフを、叩き落す……が
まるで先ほどの『お返し』でもされるかのように、肩を掠め……

[メイン] エイハブ : とうとう肩に深々と、突き刺さるッ!!!

[メイン] エイハブ : 「ッ───!!!」
DIO以上の……時間の"停止時間"を有する そう考えるしかない。

[メイン] 七七 : 「…………!!!」「グアゥゥ……!!!」
透明な『死骸』を楯に、すぐに身を隠す。

[メイン] 七七 : 「……大丈夫…?」

[メイン] エイハブ : 「───これは……」
透明な何かがナイフによって片側だけその輪郭を現しており……
七七も透明化しているのに気づき、その能力をすぐ様『理解』する。

[メイン] エイハブ : 「……助かった」
幼気な少女の手を取り、膝をつきながらも透明な何か越しに
駆けだした咲夜を見る───。

[メイン] マキマ : 「なるほど…未来で見た通りだったね。彼女の能力は…未来には特に影響は無さそうかな。」

[メイン] 七七 : 「……」
エイハブとマキマを交互に見て。

[メイン] 七七 : 「……あるの?勝算。」

[メイン] エイハブ : たとえ、『現場』に向かったとしても
『遺骨』をすぐに見つけられる可能性は薄い。
そもそも『無い』事も『あり得る』……

[メイン] エイハブ : 「俺に関しては一つだけ……だが引っかかってくれるかわからないが、な」

[メイン] マキマ : 「どうだろうね、彼を呼んでもいいけど…」

[メイン] エイハブ : 「───"彼"?」

[メイン] マキマ : 「私のヒーローとでも言っておこうかな」

[メイン] エイハブ : 「───そのヒーローを呼ぶ前に……一つ試そう
 …………七七、そして……マキマ」
初めて、その"女"の名を口にした───。

[メイン] マキマ : 「何かな」

[メイン] 七七 : 「なに?」

[メイン] エイハブ : 「───」
妖刀、アヌビス神を掲げる。
「コイツに触れれば…………たとえ『時間』をどれだけ操ろうと
 ……"効く"はずだ……まともな意識への濁流……」

[メイン] エイハブ : 「だが そう簡単に引っかかるとは思えない
 そもそも あの女はまだこの刀を"不可思議"とまでしか思っていないはずだ」

[メイン] エイハブ : 「俺の この刀を頼らざるを得ない"状況"に追い込みたい」

[メイン] エイハブ : 「…………その為に 二人でどうにか……"追い込んでくれ"
 きっとマキマ、そして七七の『能力』なら、できるはずだ

 そしてなるべく血は流さず解決すると、信じたい」

[メイン] 七七 : 「……」

[メイン] エイハブ : 「───……」

[メイン] エイハブ : 「『頼む』」
まっすぐな目で、七七を。

[メイン] マキマ : 「…仕方ありませんね。」

[メイン] 七七 : 「うん。追い込めばいいんだよね」

[メイン] エイハブ : 「ああ───『感謝』するッ!!」
立ち上がり、ニヤリと口角を上げる。

[メイン] エイハブ : 「俺は精々……あの女にとって、"攻略済み"の歩く武器庫と言わんばかりに振舞って見せるさ」
アヌビス神を再び、鞘に納め。

[メイン] エイハブ : ───駆ける。

[メイン] エイハブ :  

[メイン] エイハブ :  

[メイン]   : そして

とうとう咲夜には、それらしき『場所』が見えてくる。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……あそこね」

[メイン] : 咲夜の前に、鼠が集まってくる。

[メイン]   : 人の高さまで、積み上がり。

[メイン]   : 出てくる。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「何・・・?」

[メイン] マキマ : 「待っていましたよ。」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……貴方」

[メイン] マキマ : 「未来でここに来るのも見てました」

[メイン] マキマ : 「全て、想定通りですね。」

[メイン] マキマ : 「さて」

[メイン] マキマ : 「貴方の目的を聞いておきたかったのですが。」

[メイン] マキマ : 「『話して』くれますね」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……父の骨。それを、取りに来たの」

[メイン] マキマ : 「ふむ。それだけが目的とでも?」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「そ……それだけ。私だって、なんで取りに来たかも分かってなくて……」

[メイン] 十六夜咲夜 : (……待て。私はなぜこんなにペラペラと喋っている?)

[メイン] マキマ : 「………おや、着きましたか。」

[メイン] 七七 : 「……お話は終わった?」

[メイン] 七七 : 空中に座り込んだまま。

[メイン] エイハブ : 「───…………」
七七、マキマと違い───……好機が訪れるまで『ステルス』をする男が、一名。

[メイン] マキマ : 「えぇ。彼女は、誰かの命令で動いてる様ですね。」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……」

[メイン] 七七 : 「ふうん。」

[メイン] 七七 : 「じゃあ、悪い人じゃないなら……許す?」

[メイン] マキマ : 「彼女次第、になりますね」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……勘違いしないでくれるかしら。
 取りに来たのは……あくまで私の意志よ」

[メイン] エイハブ : "私の意思"…………
本当にその意思は……お前の"物”なのか……
いや、あるいは……。無意識的『好奇心』……『寂しさ』か……

[メイン] マキマ : 「ふむ…」

[メイン] 七七 : 「だって。」

[メイン] マキマ : 「では…拘束させてもらいましょうか。」

[メイン] 七七 : 「うん。」

[メイン] マキマ : 「蛇の悪魔。」

[メイン] 七七 : 「おいで。」
指の上に小さな虫たちがうじゃり、と。

[メイン] 七七 : ビスケットの時間だよ。
 「『limp biscuit』」

[メイン]   : 咲夜の背後から、奇妙な形をした蛇がやってくる。

[メイン] 十六夜咲夜 : ジャラ、と懐中時計を取り出して
押し込むと同時に姿を消す

[メイン] 七七 : ゆらり、とその姿が消える。

[メイン] マキマ : 「知っていますか?蛇から…スネークからは逃げられませんよ。」

[メイン] 十六夜咲夜 : 姿を別の場所に現して

[メイン] 十六夜咲夜 : 「それが貴方達のスタンド?」

[メイン] : 「…………答える意味、あるの?」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「あら、聞かせてもらっても」

[メイン] 十六夜咲夜 : 周囲に無数のナイフがばら撒かれ

[メイン] 十六夜咲夜 : 「いいんじゃないかしら!?」

[メイン] : 「………!!!」

[メイン] マキマ : 蛇の悪魔を通して、七七の位置を見分ける。

[メイン] マキマ : 簡単な話ですね。周囲とは違う温度を見つければいいのですから。

[メイン] : ざくざくとナイフの突き刺さる死骸たち。
次々とそれらに身を隠して、咲夜を観察する。

[メイン] : ……マキマにだけわかるように、透明なままこくりと頷いて。

[メイン] マキマ : さて。…あの瞬時の移動が厄介ですが。

[メイン] マキマ : 未来の悪魔で出現する位置はもうわかっているので…

[メイン] 十六夜咲夜 : 体術と、時間を停止させた移動を織り交ぜながら
無数の刃を散らす

[メイン] マキマ : さしたる問題ではありませんね。後ろです、蛇の悪魔。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……何ッ!?」

[メイン] 蛇の悪魔 : 「ヒャハハハハァ!」

[メイン] マキマ : 「そうです。そのまま拘束に入りなさい。」

[メイン] 十六夜咲夜 : (回られた……どこに移動するかを読まれた!?)

[メイン] 蛇の悪魔 : 「僕の術で拘束させてもらうよ。」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……ざけっ……」

[メイン] 十六夜咲夜 : 咄嗟に指を鳴らそうとして

[メイン] 蛇の悪魔 : 印を結び。
「涅槃精舎の術!」

[メイン]   : 咲夜の辺りは、白い羽の幻影に覆われる。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「何……ッ!?」

[メイン] 十六夜咲夜 : ……急に、何か……

[メイン] 十六夜咲夜 : 幸せな……感覚……が……

[メイン]   : この白い羽を見た者は、まるで桃源郷にいるかのような快楽に陥り、安穏たる眠りへと誘う。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「…………」

[メイン] 蛇の悪魔 : 「これで終わり…だね。」

[メイン]   :  

[メイン]     : 『十六夜』

[メイン]     : 『咲夜』

[メイン] :  

[メイン] エイハブ : 「───」
終わった。出るまでもなかったな、と思おうとしたその時。
突如、走る───『悪寒』

[メイン] : 「…………!!」

[メイン]     : 『……』
『来たか……』

[メイン]     : ───刹那。

十六夜咲夜の額へと、引き寄せられたそれは───。

[メイン]     :


───DIOの額の『遺骨』

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……?」

[メイン]     : 突如、咲夜に雪崩れ込む───

『記憶』 それは

[メイン]     :  

[メイン]     : 『ディオ・ブランド―』

[メイン]     :  

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……」

[メイン] エイハブ : バカな……!!!

あれは───……!!?

[メイン] 蛇の悪魔 : 一旦離れ、マキマの所に戻る。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……ディオ……ブランドー……」

「父さん……」

[メイン] : 「……?」

[メイン]     : 『恐れるな』

 『そして 引き込まれるな』

『私の声だけを聴けばよい……』

[メイン]   :  

[メイン] ザ・ワールド :

 ゥン

[メイン] エイハブ : 「───!!?」

[メイン] 十六夜咲夜 : 必要なものは『わたしのスタンド』である。

[メイン] 十六夜咲夜 : 『ザ・ワールド』

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……そう。『ザ・ワールド』」

[メイン] 蛇の悪魔 : 「マキマ様、どうやら彼女は……」

[メイン] ザ・ワールド : ───咲夜の『傍』に佇むそれは
ニタリと口角を上げ、その深紅の瞳を妖しげに光らせる。

[メイン] マキマ : 「そうだね。下がっていいよ。」

[メイン] 七七 : 「……あれは……」

[メイン] 蛇の悪魔 : 「了解しました…」
──姿を消す

[メイン]     : 『───乗り越えろ咲夜』
『恐怖を克服した者が……成長できる』
『そして……"支配"する事も』

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……お嬢様が言ってたのはこういうことだったのね」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「これが……これがッ!!!」

[メイン] エイハブ : 「『遺骨』が……彼女の『額』に吸い付いて……」

[メイン] エイハブ : 「そして───『世界』の"スタンドヴィジョン"が……彼女の傍に佇んでいる……
 俺の見た時よりも……その輝きが、嫌に増している……!!!」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「天国へ行く方法……完全に『理解した』わ」

[メイン] エイハブ : 「───『天国』……?」

[メイン] マキマ : 「ふむ……天国」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「そして、これからやるべき事も……」

[メイン] 七七 : 「……」

[メイン] エイハブ : 「…………」
いや、続ける。
なおさら……この刀に彼女が、触れなければならない。

[メイン] エイハブ : 俺は『ステルス』のまま
彼女へと接近する───まだ追い込め切れていないが
少しでも動かなければ……何か、まずいッ!!

[メイン] 十六夜咲夜 : 「そこかッ!!」

[メイン] エイハブ : 「───!!!」
ステルス、消音状態にも関わらず。
『気配』だけで───

[メイン] マキマ : この距離からは…私は間に合わないか。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「『無駄』ァッ!!」

[メイン] エイハブ : 速いッ
アヌビス───を引き抜くよりも、遥かにその拳は……!!!

[メイン] ザ・ワールド :  

[メイン] エイハブ :  

[メイン] エイハブ : 死───……

[メイン] : ぼこん。

[メイン] : 柔らかい肉塊に、穴の開く音は━━まるで、既に腐っているようで。

[メイン] エイハブ : ───音。

その音の気味の悪い耳障りは、聞いたことがある。

[メイン] エイハブ : そう、あのナイフの雨霰……それを喰らいかけた時。

[メイン] エイハブ :  

[メイン] エイハブ : 七七───。

[メイン] : 「……だいじょう、ぶ?」

[メイン] エイハブ : 「ああ───『頼める』か……いや、二言はいらないな」

すでに『頼んでいる』のだから。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「チッ……!」

[メイン] 七七 : 「……。」

[メイン] 七七 : 左脇腹に穴を開けたまま、そこに、立っている。

[メイン] 七七 : 「━━あなたは、敵」

[メイン] エイハブ : その───『静寂』とも言える出で立ち。
幼気な少女なはずだが、そうとも思えない……矛盾すら感じる神秘的な出で立ち。

[メイン] エイハブ :  

[メイン] エイハブ : ───クワイエット……。

[メイン] エイハブ : 俺は、もうその傍に立つ事のない者の名を、脳裏に過ぎらせながら
気配を、音を殺し、一旦離れる。
気配という『匂い』を、覚えさせないよう断ち切るように。

[メイン] 七七 : 「……。」

[メイン] 七七 : 「やってみなよ。」

[メイン] 七七 : 挑発するように。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……『ザ・ワールド』ッ!!時よ止まれッ!!!」

[メイン] ザ・ワールド :  

[メイン] 七七 :       ・・・・
「そっちは、もう知ってる。上があるんでしょ?」

[メイン] 七七 : じっと咲夜を見つめ。

[メイン] 十六夜咲夜 : 『ルナ・ダイヤル』。
その『能力』そのものは『ザ・ワールド』を凌駕するもの。
ではなぜその『世界』が必要なのか。

[メイン] 十六夜咲夜 : 必要なのは、そのビジョン。

[メイン] 十六夜咲夜 : 彼女が、そして彼が『上』に至るためにした判断は

[メイン] 十六夜咲夜 : 『逃走』。

[メイン] 十六夜咲夜 : 狙いは、近くに存在するはずの

[メイン] 十六夜咲夜 : 『Dirty deeds done dirt cheap』

[メイン] 十六夜咲夜 : 次の瞬間、彼女はノーモーションで既に『走り出して』いる

[メイン] : 「……」

[メイン] : がしり。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……!?」

[メイン] : 「『時を止める』……そして、『加速させる能力』……だったよね。」

[メイン] 七七 : ・・・・・
     「『生物以外を』」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「せ……生物以外……?」

[メイン] 七七 : ゆっくりと、その量の足を掴む手を実体化させる。

[メイン] 七七 : 「うん。あなたは自由に動けるのは、そういう能力━━だから。でも」

[メイン] 七七 : 「ナイフが動くのは、それがその瞬間……生きていないから」

[メイン] 七七 : 魂までは、時間で制御できない━━だっけ。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「な、何を言ってるの?私の能力は……」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……っ、離しなさい……っ!」

[メイン] 七七 : 「……。」

[メイン] 七七 : 「……知ってる?エンバーミング。」

[メイン] 七七 : 「そこらの死体は朽ちちゃうけど、『キョンシー』はね。」
「長い年月でも、腐らないようになってるの。」

[メイン] 七七 : 「だから、あなたがどれだけ時間を止めて、飛ばしても━━」

[メイン] 七七 : 「……この手は、朽ちることなく━━離れない。」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……」

[メイン] 十六夜咲夜 : 止めれば?
力が弱まるわけじゃない。

[メイン] 十六夜咲夜 : 加速させて朽ちさせる……
彼女が前置きした以上それは無理……

[メイン] 十六夜咲夜 : 私を加速させ……
別に物理的に早くなるわけじゃ……

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……振りほどけない!?」

[メイン] 十六夜咲夜 : ……いや、違う!今の私にはアレが……!

[メイン] 七七 : 「……」

━━ああ。

[メイン] 七七 : これほどまでに『生』を渇望しているのに。
この『シタイ』が誰かの助けになるのなら。

[メイン] 七七 : 『運』められた『命』だなんて、クソ喰らえ。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「『無駄』ァーーーーーッ!!!」

[メイン] 七七 : 「……。」

[メイン] 七七 : どれだけの拳が、脚が、襲い掛かかったところで。

[メイン] 七七 : ━━既に、それを反射的に離してしまうほどの……痛覚は、ない。

[メイン] 七七 : 「……うん。それをやめた時が、あなたの最期。」

[メイン] 十六夜咲夜 : 『ルナ・ダイヤル』

[メイン] 七七 : 「『我慢比べ』と行こうよ。」

[メイン] 十六夜咲夜 : 時間を、自在に操るその能力に

[メイン] 十六夜咲夜 : 『時を戻す』ものは、含まれていない。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「うあああああッ!!!!」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッッ!!!」
必死に拳を叩き込んで……

[メイン] 十六夜咲夜 : ……あ。ダメだ。

[メイン] 十六夜咲夜 : あくまで、借り物の能力であるその『ビジョン』

[メイン] 十六夜咲夜 : それを得たばかりで、ここまで酷使して

[メイン] 十六夜咲夜 : 保つだけの『精神力』は、彼女にはない

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……私が」

[メイン] 七七 : 「……」

[メイン]     : 『咲夜』
『私がついている』

[メイン]     : 『───打ち込め』
『『拳』を……打ち込み続けろッ!!』
『私の『娘』だろう───?』

[メイン] 十六夜咲夜 : 「父さ……ッ」

[メイン] 十六夜咲夜 : この瞬間

[メイン] 十六夜咲夜 : 皮肉にも、脳内に響いた声に気を取られ

[メイン] 十六夜咲夜 : ……拳の雨が、綻んだ

[メイン] エイハブ :


───七七

[メイン] 七七 : …………。

[メイン] 七七 : ちゃんと、追い込ませた。
……だから、今度は━━『頼んだ』よ。

[メイン] エイハブ :

───"了解"した……!

[メイン] エイハブ : 突如、咲夜の死角から"現れる"
───もう一匹の"蛇"

その義手に握られていた妖刀を───

[メイン] エイハブ :  

[メイン] エイハブ : 咲夜の腕に

斬りつけるのではなく、ただ───添えた。

[メイン] アヌビス神 : …………

[メイン] アヌビス神 : 許せ、DIO様……。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「っ!?」

[メイン] 十六夜咲夜 : もう一つの意識が、流れ込む

[メイン] アヌビス神 : 雪崩れ込ませるッ!!!

こっちも『我慢比べ』だ───…………!!!

[メイン]     : 『『アヌビス』───』

『キサマ……!!!』

[メイン]     : スタンドの精神力───そして能力による強制力。
それは侮りがたい物。

[メイン]     : たとえ、執念深い
深い、深い……あまりにも深い感情で『支配』しようとしても。

[メイン] アヌビス神 : 絶~~~~~~~~~~~~~~~~…………

[メイン] アヌビス神 : 対にッ!!!

負けないッ!!!

[メイン]     : 刹那、咲夜の額から───

[メイン]     :  

[メイン]     : 『遺骨』は弾け飛び、遠くへと……飛んでいく。

[メイン] マキマ : 「………………」

[メイン] エイハブ : 「……ハァーッ……ハァーッ……」
額から汗が滲むどころか、滝のように流れる汗。

[メイン] 七七 : 「…………」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……父さ……お嬢……様……」

[メイン] マキマ : 「お疲れ様でした。」

[メイン] 七七 : うつ伏せた姿勢で、終わりもわからぬまま両の脚を握っている。

[メイン] エイハブ : 「───大丈夫だ……

 『摘出』した」

[メイン] 七七 : 「……」

[メイン] エイハブ : しかし───『遺骨』はどこへいった?
…………見当たらない。あれほど目立つはずだというのに。

[メイン] 七七 : 「……終わったの?」
むくり、顔だけを起こして。

[メイン] エイハブ : 「…………まだだ
 だが……彼女は救われた、はずだ」

[メイン] マキマ : 「そうですね。では…戻りましょう。」

[メイン] 七七 : 「……離していいの?」

[メイン] エイハブ : 「ああ……これより『帰還』する……」
七七の方に目をやる。

[メイン] エイハブ : 「大丈夫だ。もう……"敵"じゃあない」

[メイン] エイハブ : 「ありがとう、七七」

[メイン] 七七 : 「……」
こくん。

[メイン] 七七 : ぱ、と手を解く。

[メイン] 七七 : やがて、ところどころ歪に凹んだ全身を起こして。

[メイン] 七七 : 「ばいばい。」

[メイン] 七七 : 二人の影をとてとてと追う。

[メイン] エイハブ : 「…………アンタ、名前は……訊いてなかったんでな」
ふと、立ち止まって咲夜に目をやる。

[メイン] エイハブ : 「『ブランド―』ではないんだろう」

[メイン] エイハブ : 「───いや……いい、それだけでもわかるのなら

 父親の事は忘れろ…………血の繋がりが、全てではない」

[メイン] エイハブ :
      サダメ
「その血の、運命を背負わなくてもいい」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……十六夜」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「十六夜咲夜……」
訳も分からず。名を聞かれたことだけを悟って。

[メイン] エイハブ : 「……十六夜 咲夜……

 アンタは、操り人形でも、殺人人形でもない
 『幻在』を見ていただけに過ぎない……」

[メイン] エイハブ : 「お前は、お前だ」

[メイン] エイハブ : 「…………」
そう言い残し、エイハブは七七と足並みを揃え
財団施設へと戻っていく。

[メイン] 七七 : ━━かしり、とペンが紙の上を走る音。

[メイン] 七七 : 「……覚えた。」

[メイン] 十六夜咲夜 : ……それを聞いて、微笑んで
眠るように、その場に崩れ落ちた

[メイン] マキマ : さて………飛んで行った遺骨はどうしましょうか。

[メイン] マキマ : 「………………」

[メイン] エイハブ : 「…………」
静寂。まるでそれは。

[メイン] エイハブ : 嵐の

前触れのように。

[メイン] エイハブ :  

[メイン] エイハブ :  

[メイン] エイハブ :  

[メイン] エイハブ : 「…………」
通信を切り。

[メイン] マキマ : 「………?どうしたのかな」

[メイン] 七七 : 「……?」
不安げに覗き込む。

[メイン] エイハブ : 「何かスタンドと、……"石仮面"並びに"スーパーエイジャ"が盗まれた……!!!

 『空に浮かぶ少年』の手に……」

[メイン] 第三の少年 :  

[メイン] 第三の少年 : 「…………」

[メイン] エイハブ : 「!! ……アレだ」
麻酔銃で、狙いを定める。

[メイン] 七七 : 「…………っ……!!」
構えるも、先程の戦闘の跡で少しふらつく。

[メイン] マキマ : 「………………」

[メイン] ザ・ワールド :
 ウ
  ゥン

[メイン] ザ・ワールド : 「ジョジョッ───!!!」

[メイン] ザ・ワールド : 「久しぶりだな……『100年』振り…………と言ったところか」

[メイン] ジョジョ : 「……」

[メイン] 神原駿河 : 「……バカな、アイツはッ!?」

[メイン] 神原駿河 : 「セナが仕留めた筈だ、なんで…‥なんでここに、ザ・ワールドがいやがるんだッ!?」

[メイン] ジョジョ : 感じるッ!
見えなくとも……確かにここにいるッ!
ディオの……『精神』がッ!

[メイン] エイハブ : 「DIOは……『遺骨』にその残留思念を遺していた……!!!
 そして……先ほど再び交戦した……」

[メイン] ジョジョ : 「地獄から戻ってきたぞ、ディオ」

[メイン] ザ・ワールド : 「フッフッフッ……
 ジョジョよ 失われたはずの『過去』同士
 這い上がってきたようだな、褒めてやろう」

[メイン] ザ・ワールド : そのあまりにも巨大な手に、赤石の石仮面を握りしめ───

[メイン] ジョジョ : 「再び交戦した……
 ディオはここに来るまでに一度エイハブと戦っていたのかッ!」

[メイン] 神原駿河 : 「……待てッ!あの手元の品は…!?」

[メイン] ザ・ワールド : 「究極生命体を生み出したとされる、スーパーエイジャをはめ込んだ『石仮面』だ…………
 だが……柱の男でなければ、究極生命体にはなれない
 吸血鬼がこれを……装着しても その針の強さゆえ木っ端みじんとなるのみだ」

[メイン] ザ・ワールド : 「───フフフ……
 それにしてもジョジョ、お前に俺が見えているということは
 俺の力は、もはや『スタンド』をも超越し始めているという事ッ!!」

[メイン] 神原駿河 : 「ハッ!?」

[メイン] ザ・ワールド : 「───我が息子の一人は 矢によって……
 スタンドのその先へと向かった……」

[メイン] ザ・ワールド : 「ならば私は、この赤石の石仮面を」

[メイン] 神原駿河 : 「た、確かにジョースター卿に、スタンドが見えている、だが……まさか!!」

[メイン] ザ・ワールド : 「このスタンドに───!!!」

[メイン] ジョジョ : 「ディオ!きみが……きみがそうまでして目指す先には、何があるというんだッ!」

[メイン] 神原駿河 : 「あのザ・ワールドが、スタンドの法則を超えているとでも言うのか……!?」

[メイン] ザ・ワールド :
 オーバーヘブン
「『天国の外側』だ」

[メイン] エイハブ :
 アウターヘブン
「『天国の外側』だと……!!?」

[メイン] ジョジョ : 「『天国』……『天国の外側』だってッ!?」

[メイン] 神原駿河 : 「……くっ!!」

[メイン] ザ・ワールド : 「俺は『超越』するッ!!!

 ───貴様の ジョースター家の守り抜いた地でだァ!!!」

[メイン] ザ・ワールド :  

[メイン] ザ・ワールド : スッ

[メイン] ザ・ワールド :  

[メイン]   :


ジャギンッッッ!!!!!

[メイン] 第三の少年 : そのまま、第三の少年はゆっくりと地上へと降りていくと
まるで糸の切れた人形のように倒れる。

[メイン] エイハブ : 「───これは一体……!!!」
眩い閃光が、あたりを包み始める。

[メイン] ジョジョ : 「まさかッ!?」

[メイン] 神原駿河 : 「……これは、なんだ!?」

[メイン] ザ・ワールド : 「…………」

[メイン] 神原駿河 : 悪寒が、走る

[メイン] ザ・ワールド : 背後に、時を示す"時計"の立体映像のような物を浮かばせながら
その姿は、漆黒に染まる。

[メイン] 神原駿河 : 呼吸をするだけで、命が擦り減っているような嫌な感覚

[メイン] マキマ : 「…何やら不味そうですね」

[メイン] 神原駿河 : 『アレは、ダメだ』

[メイン] 七七 : 「…………!!」
それが降り立ったらしき地へと、脚を動かす。

[メイン] ジョジョ : ジャキ

[メイン] ジョジョ : 咄嗟にその場にあったリボルバーを構える

[メイン] 神原駿河 : 「───ッ!!」

[メイン] 神原駿河 : 「行けッ!!“牙”!!」

[メイン]   : その時。

満天の星空が───次々と空に『ひっかき傷』を残すように
落ち始めるッ!!!

[メイン] 七七 : 「…………!!?」

[メイン] 神原駿河 : 「──な、なんだァァ!?」

[メイン] 神原駿河 : 「空が、いやッ!!」
「星が落ちて来てるッ!?」

[メイン] ザ・ワールド : 「───『ジョジョ』
 生命の『支配』とはいろいろな物が存在するだろう」

「俺を一度は打倒した女は……心を通わせ
 俺とかつて対峙した男は……魂を支配したという

     マキマ
 そこの『女』も、支配する側だろう」

[メイン] マキマ : 「ほう。」

[メイン] ジョジョ : 「『支配』だってッ!?」

[メイン] マキマ : 「気付いていましたか」

[メイン] 七七 : 「…………」

[メイン] ザ・ワールド : 「ジョジョッ! そしてエイハブよ
 キサマらは、この星々のように降り注いできたのだ」

「わかるか」

「この落ちゆく星々全ては、失われたはずの『生物』
 そして……『この世界には存在しないはずの生物』も含まれている」

[メイン] ザ・ワールド : 「───増えていくのだ

 生命体がこの地球上に産み落とされていく事によって
 力の『解釈』というものがな」

[メイン] 神原駿河 : 「……オイ、まさか」

[メイン] ジョジョ : 「ぼくが……ぼくが今ここにいるのは……今『落ちてくる』星と同じ原理だっていうのかッ!」

[メイン] ザ・ワールド : 瞬間、ザ・ワールドは両腕の手首を合わせ
両手を、まるで花が咲くかのように広げる───

[メイン] ザ・ワールド : 「そういう事だァッ!!!

 死ねいッ!!!」

[メイン] ザ・ワールド : ───放たれるのは

『破壊』の限りを尽くす、巨大な閃光。

[メイン] 七七 : 「…………なに、あれ。」

[メイン] 神原駿河 : 「──ッact3ィィ!!」」

[メイン] エイハブ : 「!!? ウォオオオオオッッッッ───!!!!!!」

スタンドがこれほどのエネルギーを放てるというのか、これが……!!!
俺の身体は遠くへと吹き飛ぶ。

[メイン] ジョジョ :
メタルシルバーオーバードライブ
「銀色の波紋疾走!!!」

[メイン] act3 : 迎撃の為、『黄金回転』の爪弾を真っ向から撃ち込む

[メイン] ジョジョ : 波紋を流した弾丸がタンタンと音を二回鳴らして叩き込まれる

[メイン] ザ・ワールド : 「!! 向かってくるかッ!!
 だが……!!! 俺はこの降りゆく星々の『生物』の力を使えるのだッ!!!」

───

[メイン] ザ・ワールド : 帯電。

瞬間───弾丸を弾き飛ばす。

[メイン] ジョジョ : 「何ッ!?」

[メイン] 神原駿河 : 「なっ!?」

[メイン] エイハブ : 「……ッ……!!! ザ・ワールドは……『時を止める』スタンドの筈……!!!」

[メイン] act3 : 意図せぬ方向に着弾し、無限の回転は虚しく空を切る

[メイン] 神原駿河 : 「さ、先程手に入れたばかりだというのに……ッ!こうも圧倒されるとは…!!」

[メイン] ザ・ワールド : 「言ったろうッ!!!

 ───俺は全てを『超越』すると、これが俺の『支配』よォッ!!!」

[メイン] 七七 : 「…………こっちの全力が……虫けらみたいに。」

[メイン] ザ・ワールド : ───突然、ザ・ワールドのビジョンが一瞬揺らぎ
不気味な『オオトカゲ』が映し出され。

[メイン] ジョジョ : 「ッ!?」

[メイン] act3 : 弾丸の着弾跡を素早く自身の足元へ呼び寄せ、攻撃に備え始める

[メイン] ザ・ワールド : 高層ビルすらも容易に破壊する威力の風圧が───
四方八方へと飛ぶ。

[メイン] 神原駿河 : 「ッ!?」

[メイン] 神原駿河 : 勢いよく迫る風圧に備え、自身が誂えた“黄金回転”による穴に吸い込まれる

[メイン] ジョジョ : 「うおおッ」
その一撃が複数の傷をジョナサンの身体に付け吹き飛ばすッ!

[メイン] 神原駿河 : 「し、しまったっ!ジョジョ達は、この穴に入れないのか!?」

[メイン] 七七 : 「━━━━う」
猟犬の爪でしがみついていた小柄な体躯は、壁面へと叩きつけられ。

[メイン] ジョジョ : 「『ズーム』ッ!」

[メイン] ザ・ワールド : 次に浮かび上がるビジョンは───
あまりにも不気味な形容。

[メイン] ジョジョ : そのまま腕を伸ばし危険なものたちを回収ッ

[メイン] 神原駿河 : 「う、うおお!?」

[メイン] ザ・ワールド : シュンっ、と音を立ててれば
遠方の山が『蒸発』するかのように消え去る。

[メイン] ジョジョ : そのまま勢いを殺さず後方へ10mゲインしたッ

[メイン] 神原駿河 : 時間切れによる穴の消滅で、“回転”の中から放り出される

[メイン] ジョジョ : (関節を外した痛みは波紋で和らげる)

[メイン] 神原駿河 : 「……さ、さっきからメチャクチャだッ!?」

[メイン] ジョジョ : 「なんてことだ……」

[メイン] エイハブ : 「ッハァアアッ………クッ……!!!」
なんとか全てを躱す、これも他のメンバーの奮闘による命拾い……!

[メイン] ジョジョ : 「ディオは生物として、『吸血鬼』よりもさらに『上』のステージに到達してしまったのかッ!」

[メイン] ザ・ワールド : 「全ての『世界』ッ!!
 全ての『時間軸』ッ!!

 その生物があの星々に乗ってやってくる……だが途中で概念は燃え尽き
 俺の力となるのだ」

[メイン] 神原駿河 : 「……これが、スタンド盤の究極生命だと!?」

[メイン] 七七 : 「…………めちゃくちゃだ。生命なんてものじゃない」

[メイン] 神原駿河 : 「魂の分身、それだけの存在なのに……全てを焼き尽くす恒星以上のように、ドス黒く煌めいている!!」

[メイン] ジョジョ : ガシ、とその辺にあった槍を掴む

[メイン] ザ・ワールド : ドス黒い野望とそれを可能にする力を『癒着』させながら
ザ・ワールドが再び向かおうとすると

[メイン] ザ・ワールド : 「!! フフフ……『ジョジョ』ォ~~~……!
 槍で、何ができるッ!!」

[メイン] ジョジョ : 「あの時と同じだ」

[メイン] ザ・ワールド : 「たかが、そんな槍で───『あの時』のようにッ!!」

[メイン] ジョジョ : 「ディオ!きみをこの世にいさせちゃあいけないッ」

[メイン] 神原駿河 : 「ま、待て!?アレが相手では、槍ではどうにもならないッ!」

[メイン] ザ・ワールド : 「いいだろう 『一発分』だ
 それで気が済めば キサマをもはや吸血するまでもない
 運命を共にする事もない」

[メイン] ジョジョ : 「かたをつけるッ!」

[メイン] ザ・ワールド : 腕を広げ、こちらへと向かってくるジョナサンを見据える。

[メイン] ザ・ワールド : ───何が『精神の爆発力』だ
もはやそんなものを恐れる事もないッ!!! 槍を喰らったその瞬間に

[メイン] ザ・ワールド : この拳を叩き込み
地の染みにしてくれるッ!!!

[メイン] ジョジョ : ディオが『新たな力』を手に入れた時ッ!
かならず彼には『アレ』が生じるッ!

[メイン] ジョジョ : ダッと走り出し ザ・ワールドの傍に回る

[メイン] ザ・ワールド : 「───」
さすがだ。このザ・ワールドの動体視力をもってしても、素早い。
だが、それがどうした。

[メイン] ザ・ワールド : 別れの言葉でも、紡ごうか。

そう思った、その時だった

[メイン] ジョジョ : 槍をおおげさに振るうッ!
まるで突くのではなく縦に薙ぐようにッ!

[メイン] ジョジョ : 『槍』の使い方としては二流に見えたッ!

[メイン] ジョジョ : しかしッ!次の瞬間ザ・ワールドの目に入るのは何かはためくものッ!

[メイン] ザ・ワールド : 「───!!!
 『何』…………!!?」

[メイン] エイハブ : 「あれは───!!」

[メイン] 神原駿河 : 「──!?」

[メイン] 七七 : 「……え」

[メイン] ジョジョ : 『カーテン』ッ!

[メイン] ジョジョ : かつてジョナサン・ジョースターと『ディオ・ブランドー』が戦った時と同じッ!

[メイン] 神原駿河 : この時、何も思考できてなといなかったッ!
よもや、ジョジョがカーテンを用いて何をするかなど、理解できる筈がなかった!!

[メイン] ジョジョ : ザ・ワールドの視界と、身動きの自由を同時に奪うッ!

[メイン] ザ・ワールド : 『視界』を───だがそれがどうしたッ!!!
なまっちょろいッ……小賢しい真似をッ!!! 『あの時』と同じ

見損なったぞジョジョ───
この拳、やはりキサマに撃ち込んでみせよう。
消し飛べっ……!!!

[メイン] ジョジョ :
スカーレットオーバードライブ
「緋色の波紋疾走!!」

[メイン] ザ・ワールド : 「『無駄ァ』ッ────!!!!」

[メイン] ジョジョ : 『同じ』ならばッ!

[メイン] ジョジョ : これから起こることもまた『同じ』ッ!

[メイン] ジョジョ : 発火したカーテン!
ゆらめく炎に紛れ、その拳の軌道は間一髪逸れるッ!

[メイン] ザ・ワールド : ───この拳を……だがッ!!!
たかがそんな拳を喰らった所で……!!!

[メイン] ザ・ワールド :  

[メイン] ザ・ワールド : 瞬間───

[メイン] ザ・ワールド : ザ・ワールドの全身に

"一瞬"

[メイン] ザ・ワールド : 亀裂が───入った。

[メイン] ジョジョ : 「ッ!?」

[メイン] ザ・ワールド : 「何ィイイイッ───!!?」

すぐに『再生』するが、間違いなくその亀裂は入った。
その場にいる全員が、目撃したッ!!

[メイン] エイハブ : 「───仮に、全ての生物の能力を扱えるのなら……そうか」

[メイン] エイハブ : 「『克服』するまでは……すべての生物の『弱点』をも持っている……という事か……!!?」

[メイン] 七七 : 「━━『効いた』ッ!!」

[メイン] マキマ : 「ふむ……」

[メイン] 神原駿河 : 「そういうことかッ!」

[メイン] ジョジョ :
サンライトイエローオーバードライブ
「山吹色の波紋疾走!!」
波紋の流れる音と共に、ザ・ワールドに拳が叩き込まれ、大きく弾き飛ばすッ!

[メイン] ザ・ワールド : この『世界(ザ・ワールド)』は確かに
全ての生物の能力を有し、全てを"支配"せんとする究極の存在。
だがあまりにその生物の情報量は多いッ!! 何百億では済まない
たとえ宇宙の膨張と同じ速度で『克服』していたとしてもッ!!

[メイン] ザ・ワールド : 「うぐォオオオオオオオオッッ!!!」

弱点はあまりにも多いッ!!!
クラックッ!! どの物質にも『ヒビ』が存在するようにッ!!

[メイン] ジョジョ : 「弱点……!きみは『長所』が伸びたことに集中しすぎて表裏一体なはずの『弱点』に気が付けなかったんだッ!」

[メイン] エイハブ : 「そうか───!」
まさに同じ。皮肉にもッ! DIOの末路と『同じ』ッ!
『長所』のみを重点に置き、『短所』に見向きもしなかったゆえの痛手ッ!!

[メイン] 神原駿河 : 「全ては、表裏一体か……!!」

[メイン] ジョジョ : 「……だが……それに気付いてもなおッ!圧倒的な生命力ッ!ぼくの『波紋』では完全に断つことはできないッ!」

[メイン] 神原駿河 : なかなか聞いていて耳に痛い言葉だが、『納得』したッ!!

[メイン] 七七 : 「……っ……!! それじゃ……!!」

[メイン] ジョジョ : 「もっと……もっと『パワー』があればッ!」

[メイン] ザ・ワールド : 「フッ…………だがすぐに『再生』はできる
 が……『JOJO』……このヴィジョンでは、おそらくキサマを『克服』することはできない───……

 そして俺の力とならなかったキサマらの『力』は
 俺がキサマらを倒さん限りは、おそらく俺の『力』とはなりえない」

[メイン] ザ・ワールド : 「……『JOJO』 貴様との勝負は……
 俺がつける、だが……ザ・ワールドでは相応しくは無いッ!!!」

[メイン] ザ・ワールド :  

[メイン] ザ・ワールド : 刹那、ザ・ワールドの実像がぶれ。

[メイン] ジョジョ : 「……!」

[メイン] ディオ :  

[メイン] ジョジョ : 「あ……ああッ!」

[メイン] ディオ : 「…………俺が相手になろう」
ザ・ワールドと分かれた、それは……

[メイン] ジョジョ : 「そうか……ッ!今のディオは……」

[メイン] ジョジョ : 「『ディオ・ブランドー』という生命体の力さえ、自在に扱えるのかッ!」

[メイン] 神原駿河 : 「な、何ィィッ!?」

[メイン] ディオ : 「この姿でなければ 『未完成』の『天国の外側』ではまだ貴様を倒す事はできんッ!!」
「さあ……貴様と俺は……『向こう』だッ!!!」

一気に接近し、ジョナサンの丸太のような脚に蹴りを喰らわせる。

[メイン] ジョジョ : 「ぐうッ!!」
脚に蹴りを入れられながらも組み付き、そのまま部屋を飛び出すように10mゲインッ!

[メイン] ディオ : 「ぬううッ!!! 『JOJO』ッ!!

 最終ラウンドだ……!!! 行くぞッ!!!」

そのままジョジョと共に、『天国の外側』から離れていく。

[メイン] ザ・ワールド : 「…………」

ザ・ワールド、否、『天国の外側』は
ディオと分かれた途端に、ニタリと口角を上げるのみで言葉を発す事はなくなる。

[メイン] ザ・ワールド : が、……湧き出る『力』と成長性:∞は……変わらないッ!!

[メイン] エイハブ : 「手はもはや止める事は許されないようだな───」

[メイン] エイハブ : 妖刀を、生身の右手で引き抜き───血濡れの"鬼"となる。

[メイン] 神原駿河 : ──思案

[メイン] 神原駿河 : 奴を撃ち倒すのには、初期に比べて数段火力を増したact3でも不可能
新たな段階への条件も、今揃えるには……

[メイン] 神原駿河 : 時間が足りないッ!!

[メイン] 神原駿河 : 「……どうする、誰か奴への切り札を今すぐ用意できると言ってくれないか」

[メイン] マキマ : 「仕方ありませんね。」

[メイン] エイハブ : 「攻撃の性質を覚えようにも……『無限』に『成長』するってこたぁ……
 ……!!」
エイハブ、いや、アヌビスがマキマに目をやる。

[メイン] 七七 : 「…………」

[メイン] マキマ : 「できれば、彼は使いたくなかったのですが」

[メイン] 神原駿河 : 「……では、頼む」
これで、終わればそれで良いが……
『準備』を進める

[メイン] ザ・ワールド : 「いいだろう……"支配の悪魔"よ」

[メイン] 神原駿河 : 何か、成さなければ

[メイン] マキマ : 「助けて」

[メイン] 七七 : 「……するが。」
肩を、ぽんと

[メイン] 神原駿河 : 皆、『死んでしまうッ!』

[メイン] ザ・ワールド :
       チェンソーマン
「使ってみろ……"彼"を……」

[メイン] 神原駿河 : 「…?」

[メイン] マキマ : 「チェンソーマン。」

[メイン] 七七 : 「……いま、この場にいるのは……するがだけじゃ、ないでしょ。」

[メイン]    : 空から。降ってくる。

[メイン]    : 1人の、ヒーローが

[メイン] チェンソーマン  : ズシン

[メイン] チェンソーマン  : 「アァ〜〜………」

[メイン] 七七 : 「……するがは、一人じゃないから。……だから、全部自分でどうにかしようとなんて、しなくていいんだよ」

[メイン] チェンソーマン  : 「はぁ〜〜…マキマさん呼びました〜?」

[メイン] マキマ : 「うん、お願いね、デンジ君。」

[メイン] 七七 : 「……せなが、言ってた。魂は」
「時間を超越するんでしょ」

[メイン] チェンソーマン  : 「しっかたねぇなぁ〜〜!!!やるかァ〜!」

[メイン] 七七 : 「……刹那でも、超えてみせて。信じてるから」
構える

[メイン] チェンソーマン  : 「オイ!そこの悪党野郎!」

[メイン] 神原駿河 : 「……ああ、任せたぞ!」

[メイン] 神原駿河 : 地面に爪弾を撃ち込み、穴を作ると…
『黄金長方形』の世界に入っていく

[メイン] ザ・ワールド : 「───……"喰らった"概念を
 消し去る……そうだったな、チェンソーマンよ」

[メイン] チェンソーマン  : 「あぁ〜?そうだぜ〜」

[メイン] ザ・ワールド : 「ならば……"食われる前に" "喰らう"のみだ」
───再び、帯電。

[メイン] ザ・ワールド :  

[メイン] ザ・ワールド : 『10万ボルト』

[メイン] ザ・ワールド :  

[メイン] ザ・ワールド : 虚空に亀裂が入れば、高電圧の10万ボルトが
周囲に広がる……!

[メイン] チェンソーマン  : 「ぐっうぅぅぅぅ!!!!!」

[メイン] チェンソーマン  : 他を守る様に、自らが盾になる

[メイン] チェンソーマン  : 「充電してくれてありがとうよォ〜!!!!」

[メイン] ザ・ワールド : 「……"噂通り"だッ……!」

[メイン] チェンソーマン  : 「お陰でフル充電だァァァァ!!!」

[メイン] エイハブ : 「その電撃の軌道……"覚えた"ぞッ!!!」

[メイン] エイハブ : チェンソーマンと、偶然にも"息"を合わせ。

[メイン] チェンソーマン  : 「行くぜ〜赤いおっさん!!」

[メイン] チェンソーマン  : ───その場でジャンプをし、奴へと近付き

[メイン] エイハブ : 「ああ……」
背後の七七に目をやり、コク、と頼むように頷くと

[メイン] チェンソーマン  : 奴へと片腕のチェーンを当てに掛かる

[メイン] エイハブ : 刀で、弧を描き───
チェンソーマンとは別の方向から、刀を振り下ろす。

[メイン] 七七 : 「……。」
こくん。

[メイン] ザ・ワールド : 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ───ッ!!!!!!」

[メイン] ザ・ワールド : 圧倒的な力が伝わり、拳に亀裂が入るがッ……!

[メイン] ザ・ワールド : 跳ね返すッ……!!!

[メイン] チェンソーマン  : 「こちとら無駄なモンなんかねえんだよォぉおおおお!!!!」

[メイン] 七七 : 姿を消し、飛び上がって……『生』と相反する力をその身に跳び交わせる。

[メイン] エイハブ : 「ッ……!!!」

[メイン] エイハブ : チェンソーマン以上に、衝撃が伝わり
思わず、義手で刀を掴み正気に戻る。

[メイン] 七七 : 「喰らい尽くせ……余り溢れる『生』をッ!!」

[メイン] アヌビス神 : エイハブ───構わねえッ! おれを投げろッ───!!!

[メイン] エイハブ : 「!」

[メイン] エイハブ : 「ウオオオオオオオ────ッッ!!!」

[メイン] ザ・ワールド : チェンソーマンの二撃目。
そして、目の前から妖刀の投擲。更に、こちらを喰らいつくそうとする『透明』の存在ッ!!!

[メイン] ザ・ワールド : それでもなお、『天国の外側』はラッシュを繰り出すッ!!
さらにその拳が描く奇跡は『芸術』さえも感じるほどに磨きがかかり。

[メイン] マキマ : 「…そこだよ。」

[メイン] マキマ : 指鉄砲にし、放つ。

[メイン] マキマ : 「ぱん。」

[メイン] ザ・ワールド : 刹那、腕を交差させ───指鉄砲を防ぐ。
勢いよく後ずさるが……ニタリと笑い、その掌には『光』が凝縮していた。

[メイン] ザ・ワールド : 「───!!!」

そのまま、光を地面へと叩きつけ、圧倒的破壊を見せつけるッ!!!

[メイン] 七七 : 「……!! まず……ッ!!」

[メイン]   : 破壊───地が揺れ、亀裂が走り
視界の全てが砂埃と、礫によって塞がれる。

[メイン] 神原駿河 : 穴から飛び出るようにして、その場に現れるッ!

[メイン] エイハブ : 「……! 駿河」

[メイン] エイハブ : 血まみれになりながら、駿河へと駆け寄る。

[メイン] チェンソーマン  : 「おせぇんだよ!」

[メイン] 神原駿河 : 「なっ───!?」
戻った途端全てを覆うような砂塵の帷
敵を視認でき愕然とする

[メイン] 七七 : 「……っ」

[メイン] 神原駿河 : 「切り札を携え戻ってくれば、よもや敵を見失うとは…!?」

[メイン] エイハブ : 「……『次』が来れば、終わりだろうな……」

[メイン] 左腕 : 腕は溢れんばかりの回転に震え、骨が軋みを上げている

[メイン] 神原駿河 : 「せ、せっかくのACT4もこのままでは自滅──だと!?」

[メイン] エイハブ : ───どうする。どうすればいい。

[メイン] 神原駿河 : 回転が神原の体を登り、分解を始めている

[メイン] 神原駿河 : 放たなければ、死ぬ

[メイン] 神原駿河 : だが、敵へ叩きつけなければ意味がない

[メイン] 七七 : 「…………!!」

[メイン] 神原駿河 : 「よもや、ここまでなのか…!?」

[メイン] エイハブ : 「───七七」
すると、駿河と

もしも放てなければ『運命』を共にするとでもいわんばかりに、『支える』

[メイン] 神原駿河 : 「なっ!?」

[メイン] マキマ : 「……未来の悪魔。未来を見せなさい。」

[メイン] 七七 : 「……。」

[メイン] エイハブ : 「…………俺は軍人だ
 ───探って見せるさ、それに……」
七七に目をやり、ニヤリと笑みを浮かべる。

[メイン] 左腕 : 黄金の回転の勢いは、既に神原の上腕部を覆い尽くしている。
はち切れそうな勢いを、大きな手にまずは抑えられる

[メイン] 七七 : 「……うん。信じてるって、言ったから」

[メイン] 未来の悪魔 : …………いずれ分かる。

[メイン] 神原駿河 : 「………」

[メイン] 七七 : その反対側に回り込んで━━寄り添うように『支える』。

[メイン] 神原駿河 : 危険だ、離れろ
逃げろ、隠れろ

[メイン] 神原駿河 : そんな言葉が浮かんだが

[メイン] 神原駿河 : 「ああ、そうだ」

[メイン] 神原駿河 : 「私には、君達がいたんだった」

[メイン] エイハブ : 「…………」
目を瞑る。そして……七七と、駿河と共に───探る。
そして『覚悟』を『決める』。

[メイン] マキマ : 「…………そういう事か。デンジ君」

[メイン] 神原駿河 : 目を閉じ、第六感に全てを掛けて時を待つ

[メイン] チェンソーマン  : 「あぁ〜!?なんだァ〜!マキマさん!」

[メイン] 七七 : ━━見える。確かに……そこには、生命の鼓動が。

[メイン] 神原駿河 : ──今、わかった

[メイン] 神原駿河 : 撃つべき場所がッ!

[メイン] エイハブ : ───ありがとう、クワイエット。

[メイン] エイハブ : 見えた。

[メイン] 神原駿河 : 息を深く吸い

[メイン] マキマ : 「足止め、お願いね。」

[メイン] 七七 : 気持ちを確かめるように……こくんと。

[メイン] チェンソーマン  : 「ったく…人使いが荒いぜ〜!!!……………」

[メイン] チェンソーマン  : 「『其処』だなァあああああ!!!!」

[メイン] 左腕 : 左腕は、もうブレない

[メイン] ザ・ワールド : 「───!!!」
寸前、砂煙という『壁』の向こうに感じる

漆黒と黄金のまじりあった……『精神』ッ!!!

[メイン] チェンソーマン  : 「オラァああああああああ!!!!」

[メイン] ザ・ワールド : 「!!?」

[メイン] 神原駿河 : 「”牙“ッ!!ACT4ォォ!!」

[メイン] 左腕 : タイミングを合わせ、躊躇なく砂塵の向こうへと“牙”を解き放つ

[メイン] ザ・ワールド : 「───無駄ァ……!!!」

チェンソーマンの一撃を薙ごうとした瞬間。

[メイン] ザ・ワールド : 突き刺さる───妖刀ッ!!!

[メイン] アヌビス神 : 「……おとなしく喰らいな───」

[メイン] act4 : 砂や瓦礫を裁断しながら、エネルギーの籠った“牙”から、大きな“影”が姿を表し

[メイン] act4 : 「チュミミーン!」

[メイン] ザ・ワールド : 「…………!!!」
チェンソーマンの一撃を受け止めきれず、全身に亀裂が入り
0.00000000……だが『間隙』が生まれる。

[メイン] act4 : やっと捻り出された隙に、ACT4がたどり着いた

[メイン] act4 : ザ・ワールドへ向け、大きく拳を振り上げ

[メイン] ザ・ワールド : 「───無」

[メイン] ザ・ワールド : 拳を虚空に切ろうと、

[メイン] ザ・ワールド : が……!

[メイン] act4 : 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ」

[メイン] act4 : 空を切る拳諸共に、強引に死出の拳を叩き込む
この渾身の一時をカケラも逃さないよう
狂気さえ感じる濃度で、『黄金の回転』を拳に込めて殴り付ける

[メイン] ザ・ワールド : 「─────!!!!!」
それに対照的に、渾身の一時のカケラも"進める"ことはできず
その濃度に押され、漆黒の巨躯に亀裂が入っていくッ!!!

[メイン] ザ・ワールド : これが

───『黄金の回転』
『天国の外側』の拳はいくら触れようとしても、もはや『手遅れ』ッ!!!

[メイン] act4 : ラッシュの勢いが最高潮に達すると同時
“左腕”を勢いよく振り抜き──ッ!!

[メイン] act4 : 「オラァァァァ!!!!」

[メイン] ザ・ワールド : 『天国の外側』が蓄えた力が、光の粒となりて発散されていくッ!

何百ッ───何千ッ何万ッ何億ッ何兆ッ───!!!!!!

最後に残った『力』はッ!!!!!!

[メイン] act4 : 最高速を更新して、全身全霊を叩き込むッ!!

[メイン] ザ・ワールド : 「『世界』───時よ……!!!」

が、間に合わずッ!!!

[メイン] ザ・ワールド : 『天国の外側』は、まるで存在しなかったかのように
消えていく。まるで千切れていく雲のように、消えていく。

[メイン] ザ・ワールド : 無限回、その力を殺されるッ!!!

[メイン] act4 : 最後の一撃を叩き込みながら、敵へと無限の回転エネルギーと同時に浸透する

[メイン] act4 : 無限の回転は、人体に撃ち込まれれば細胞を破壊して身体を分解する

[メイン] act4 : が、敵が魂のスタンドであれば──

[メイン]   :
アウターヘブン
『天国の外側』は最後の最後
ザ・ワールド
『世界』へと戻り。
      ゼロ
そして───『虚空』へと還った。

[メイン] act4 : “カケラ”も残さない
放たれた側も、放った側も回転に呑まれ、誰もいなくなった

[メイン] 神原駿河 : 「ハァッ……ハァッ…!」

[メイン]   : それと同時───

ドッカァアアアアアアン!!!!

派手な音で床を突き抜ける巨漢ッッ!!! そして落下と同時───

[メイン]   : 『爆裂』ッッッ!!!

[メイン]   :  

[メイン] ジョジョ : 瞬間ッ!覗かせるはふたりの姿ッ!!

[メイン] ディオ : 「………………」

[メイン] ディオ : 「………」

[メイン] 神原駿河 : 「なッ!?」

[メイン] 神原駿河 : 「ジョースター卿ッ!?」

[メイン] ジョジョ : 「みんなッ!!!この『施設』は今燃えているッ!!!すぐに『脱出』するんだッ!!!」

[メイン] エイハブ : 「……わかった───」

[メイン] 神原駿河 : 「……理解したッ!が、ディオはどうすれば!」

[メイン] 七七 : 「…………ッ」
顔をこわばらせて

[メイン] ディオ : 「安心しろ」

その時、スタンドを超越していたとはいえ『天国の外側』を破壊されてもなお生きているディオは
予想外の言葉を口にした。

[メイン] ジョジョ : 「ディオとの決着は……ぼくが付けるッ!!」

[メイン] ディオ : 「こいつの、言う通りだ」

[メイン] ディオ : 「決着は、付く」

[メイン] ジョジョ : 「いや……」

[メイン] ジョジョ : 「『付ける権利はぼくにだけある』ッ!!!」

[メイン] ディオ : 「───ああ、だから
 最後の一撃……これは俺達だけの『世界』だ」

[メイン] 神原駿河 : ……強引に身につけたACT4の反動で、もうディオを相手に放てる爪弾は、無い

[メイン] ジョジョ : 再びッ!踏み出して!!
抱きつくように落下するッ!!

[メイン] 神原駿河 : 「……逃げるぞッ!」

[メイン] チェンソーマン  : 「しっかたねえなぁ〜〜!!勝てよォ〜〜!!!」

[メイン] アヌビス神 : 「お おいィ~~!! 待て! 置いてくなッ……!」

[メイン] エイハブ : 「……」
アヌビスを回収し。

[メイン] エイハブ : 「行こう」

[メイン] マキマ : 「行きましょうか。」

[メイン] 七七 : その言葉にはっ、と意識を戻して。

[メイン] 七七 : 「……死んだら、許さない。」

[メイン] 神原駿河 : 「……検討を祈るッ!」

[メイン] ジョジョ : 「……ああッ!!」

[メイン]   : そして───この瞬間、この場は『二人』ッ!!!

『二人だけの世界』が広がった。

[メイン]   :  

[メイン]   :  

[メイン]   :
ザ・ワールド
『世界』

[メイン]   :  

[メイン]   :  

[メイン] ディオ : 「…………」

[メイン] ディオ : 「見えているな」

[メイン] ディオ : 「『JOJO』……」

[メイン] ディオ : 「時の止まった世界を…………そして
 動けるな」

[メイン] ジョジョ : 「……勿論だ」

[メイン] ディオ : 「───『JOJO』
 これが正真正銘最後の時間停止だ」

[メイン] ジョジョ : 「きみはかつて言った……ぼくときみほど練られた運命はないと」

[メイン] ジョジョ : 「そしてぼくたちの運命はまた……今ここで一つになったッ!!」

[メイン] ディオ : 「───ジョジョ
 おまえがいたからこそ 俺がいる
 …………まさに"奇妙"な"友情"だったな」

[メイン] ディオ : 「───」

[メイン] ディオ : 一歩、前へ踏み出し。

[メイン] ディオ : 放つ。

[メイン] ディオ : 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄

[メイン] ディオ : 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄

[メイン] ディオ : 無駄無駄無駄無駄無駄無駄

[メイン] ディオ : 無駄無駄無駄無駄ァァア─────ッッッ!!!!!!!!!!」

[メイン] ジョジョ : 「おおおおおおおおッ」

[メイン] ジョジョ : 「ふるえるぞハート!!」

[メイン] ジョジョ : 「燃え尽きるほどヒート!!!」

[メイン] ジョジョ : 「刻むぞ、血液のビートッ!!!」

[メイン] ジョジョ :
 サンライトイエローオーバードライブ
「山吹色の波紋疾走ッ!!!」

[メイン]   :
        ぶつか
二つの衝撃が、今衝突る。

[メイン]   :  

[メイン]   :  

[メイン] ディオ : ジョジョ。
俺はディオであって、ディオではない。

[メイン] ディオ : 俺は、貴様の見ていた。

[メイン] ディオ :
ファントムペイン
 『幻肢痛』   なのだ

[メイン] ジョジョ : 一歩、さらに踏み出して

[メイン] ジョジョ : 「おおおおおおッ」

[メイン] ジョジョ : 「このナイフはッ!!!!」

[メイン] ディオ : 「───!!!」

[メイン] ジョジョ : 「きみが『遺した』ものの」

[メイン] ジョジョ : 「ナイフだァーーーーーッ!!!」

[メイン] ディオ : ナイフが、突き立てられ───俺の肉体に『亀裂』が入る。

[メイン] ディオ : だが、不思議と───嫌な感じはしなかった。

[メイン] ジョジョ : そのまま二人の身体は離れッ!!

[メイン] ジョジョ : 崩れゆくディオの身体の先には……

[メイン] ディオ : 俺という存在は、すでに1987年に死んでいるのだ。
世界の見せる『幻視』……この血飛沫でさえ、幻のようなものなのだ。

 ファントム・ブラッド
『幻視』 …… 『血』…………

[メイン] ジョジョ : SPW財団が『ジョースター家』に起きた出来事を忘れぬ為作った、守護神のレプリカッ!!

[メイン] ジョジョ : 『慈愛の女神像』ッ!!!

[メイン] ディオ :  

[メイン] ディオ : 『絶叫』

その代わりに

[メイン] ディオ : 俺の身体は

[メイン] ディオ :  

[メイン] ディオ :  

[メイン]   : モルフォ蝶となりて

霧散、した。

[メイン]   :  

[メイン]   :  

[メイン]   :  

[メイン] ジョジョ : 「……」

[メイン] ジョジョ : その勢いのまま、ジョジョの身体は建物の外に投げ出される

[メイン] ジョジョ : 『ジョースター邸』が燃えた、あの日と同じように……

[メイン] エイハブ : 「!! ジョジョ────!!!」

[メイン] 神原駿河 : 「ッ!?」

[メイン] マキマ : 「…………………」

[メイン] 七七 : 「しまっ……!!」

[メイン] 神原駿河 : 爪弾を放ち、木を削りだし
大きな綱のような物を作り出す

[メイン] アヌビス神 : 「…………いや……! これは……!」

[メイン] 神原駿河 : 「後は、これで受け止めれば──ッ!」

[メイン] ジョジョ : その身体は、網に受け止められて

[メイン] ジョジョ : 何処か安らかな表情で、眠っていた……

[メイン]   :  

[メイン]   : DIO…

『世界』

―――――完全敗北…死亡

[メイン]   :  

[メイン] エイハブ : 「……!!!」

[メイン] エイハブ : 流星群となりて落ちてきたはずの星々が元へ、戻っていく……。

[メイン] エイハブ :  

[メイン] エイハブ : 「この俺も……か」

[メイン] エイハブ : 手を広げれば、徐々に光の粒となりて
消え失せていく。

[メイン] 神原駿河 : 「なっ…!?」

[メイン] 七七 : 「……え?」

[メイン] エイハブ : 「…………俺は、"帰る"時が来たようだ」

[メイン] 神原駿河 : 「……そう、か」
「貴方も、彼に引き寄せられていたのか…」

[メイン] マキマ : 「………………なるほど、そういう事でしたか。」

[メイン] エイハブ : 「そのようだ……フッ」

[メイン] 七七 : 「…………!!」

[メイン] 神原駿河 : 「だが、そんな…こんなに、早くなくてもっ…!」

[メイン] アヌビス神 : 「おいッ!!! こんな場面でかっこつけて消えようとすんじゃあねえぞォ~~~!! うっ うっ おわっ!」
刀身だけが残り、他は朽ちていく。

[メイン] 神原駿河 : 目から涙を流し、地面を強く殴りつける

[メイン] 七七 : 立ち上る粒を、必死に上から押さえ込もうとするも……
指の隙間から溢れるばかり。

[メイン] デンジ : 「…赤いおっさん、名前聞いてなかったな」

[メイン] 神原駿河 : 「まだ、何も返せていない、礼さえ言い切れていないのに……!」

[メイン] エイハブ : 「…………いや、十分返してもらえたさ……」

[メイン] エイハブ : 「チェンソーマン、だったな
 アンタこそ名前はなんだ」

[メイン] デンジ : 「アァ?俺は……デンジだよ」

[メイン] エイハブ :
            センス
「そうか デンジ……いい名前だな」

[メイン] デンジ : 「…………………」
頭を掻く

[メイン] エイハブ : 「───俺は、ただ元の場所へと戻るだけだ
 そして……『天国の外側』と共に、煙となって消え失せるだけだ」

[メイン] エイハブ :  

[メイン] エイハブ : 「だから……泣くな
 ……俺の事を覚えてくれるなら、それでいいさ」

[メイン] エイハブ : 「…………」

[メイン] エイハブ : 「最後に、教えてやる」

[メイン] エイハブ : 「俺の」

[メイン] エイハブ : 「名前は────……」

[メイン] エイハブ :  

[メイン] エイハブ :  

[メイン]   : その名前は、きっと誰にとっても『平凡』であったが

それが彼の名前であった。

[メイン] アヌビス神 : 「…………バカヤローがよ……」

[メイン] マキマ : 「お疲れ様でした。スネーク。いえ…………」

[メイン] 七七 : 地を向いて、ポケットに挟み込んだ手が━━止まる。

[メイン] 七七 : 「…………忘れない。」

[メイン] 七七 : 「…………メモなんか、なくったって……忘れない。……絶対。」

[メイン] 神原駿河 : 神原は、何度もその“名前”を呟き

[メイン] 神原駿河 : 空を仰ぎ、涙で滲んだ星々を目に焼きつけた

[メイン] デンジ : 「あぁ、それでいいと思うぜ。誰からも…覚えて貰えなくて……忘れられたら……本当に無くなっちまうからな。」

[メイン] デンジ : 「……………なぁ、アキ。」

[メイン] デンジ :  

[メイン] デンジ :  

[メイン] デンジ :  

[メイン] ジョジョ :

[メイン] ジョジョ :

[メイン] ジョジョ :

[メイン] ジョジョ : 「そうか。彼はもう『帰る』事が出来たんだね」

[メイン] ジョジョ : 「……ぼくもきっと、もうすぐ帰らないといけないんだろう。死人はいつまでも、いちゃいけない」

[メイン] ジョジョ : 「だけど……まだ一つやる事がある」

[メイン] ジョジョ : 彼の遺した、『石仮面』と向き合って

[メイン] ジョジョ : この時代にまで名を残した彼のように、ハンマーを持って、それを叩き割った

[メイン] ジョジョ : 「『大袈裟かもしれないけど、世界は救われた』」

[メイン] 神原駿河 : 「……そうだな」
「きっと、そうに違いない」

[メイン] マキマ : 「そうですね。ですが…」

[メイン] マキマ : 「まだやる事があります。」
DISCを拾い上げる。

[メイン] ジョジョ : 「……」

[メイン] デンジ : 「アー?なんだそりゃ、マキマさん。」

[メイン] マキマ : 空へと投げ。

[メイン] マキマ : 「ぱん。」

[メイン]   : DISCは、粉々に砕け散る。

[メイン] 神原駿河 : 「……今のは」

[メイン] 七七 : 「……?」

[メイン] マキマ : 「…通信で聞いていた、スタンドのDISCです。」

[メイン] マキマ : 「これで、任務完了と言えるでしょう」

[メイン] アヌビス神 : 「…………何がなんだかわかんねェ~が……これで全て、終わったのか」
刀身だけになりながらも、地面に突き刺さり。

[メイン] 神原駿河 : 「……ああ、終わったんだ」

[メイン] マキマ : 「えぇ、終わりましたね。全てが」

[メイン] 七七 : 楽しげにぱきぱき、と仮面の残骸をさらに細かく踏み潰す。

[メイン] ジョジョ : 「……ああ。終わった」

[メイン] 神原駿河 : 「……あの悍ましい石仮面も、砕けてしまえは新雪のようだ」

[メイン] デンジ : 「つーかよ…………マキマさん以外知らない人だらけなんだけどぉ!?」

[メイン] ジョジョ : 「ぼくの役目も……」

[メイン] ジョジョ : ジョナサンの身体は既に端から薄まり始めていた。

[メイン] 七七 : 「七七だ。」
デンジの方をくるりと。

[メイン] マキマ : 「………………貴方も、でしたか。」

[メイン] デンジ : 「七七かァ〜!よろしくなァ〜!!俺あデンジだ」

[メイン] 神原駿河 : 「……貴方も、なのですね」

[メイン] 七七 : 「でんじ……」
メモを取り出そうとしたところで、ジョナサンに気付く。

[メイン] デンジ : 「消えかかってんけど……あんたも行っちまうのか?」

[メイン] ジョジョ : 「ぼくも元々あの日死んだ人間だ。ディオと同じで」

「そうあるべき場所に戻るだけさ……」

[メイン] 神原駿河 : 「…ジョースター卿、今なら子孫の方々に遺言などが残せるかもしれない」
「何か、伝えたい事は」

[メイン] ジョジョ : 「そうだな……」

[メイン] 十六夜咲夜 : その場に、目を覚ました彼女がやって来る

[メイン] マキマ : 「…目覚めましたか。」

[メイン] ジョジョ : 「……?」

[メイン] 七七 : 「……」

[メイン] 七七 : 「『さくや』。」

[メイン] 神原駿河 : 「!」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「また奇妙な感覚を感じてやってきたら……父さんじゃない、のね」

[メイン] ジョジョ : 「父さん……?」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「私は……」

[メイン] ジョジョ : 「……まさか……ディオの……」

[メイン] 七七 : ……こくり。

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……ええ」

[メイン] ジョジョ : 「君たちが戦った『ザ・ワールド』は……もしかして、彼女だったのかい?」

[メイン] 七七 : 「……うん。でも、今は、大丈夫って。……ね、まきま」

[メイン] マキマ : 「えぇ、今の彼女なら大丈夫でしょう」

[メイン] ジョジョ : 「……そうか」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「何の根拠で……」

[メイン] マキマ : 「残念な事に、貴方の名前を聞いた彼はもう逝ってしまいましたからね。それに…」

[メイン] ジョジョ : 「……そうだ、遺言だったね。これは、ぼくの子孫だけじゃなくて……きみにも聞いてほしい」

[メイン] ジョジョ : 「血の運命……確かに逃れられないものかもしれない」

[メイン] ジョジョ : 「だけど……『逃げる』ことはできなくても、『断ち切る』ことはできる。それを、覚えていてほしい」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……貴方、何様のつもりよ。どこの立場でそれを言ってるの」

[メイン] アヌビス神 : 「……十六夜 咲夜……

 アンタは、操り人形でも、殺人人形でもない
 『幻在』を見ていただけに過ぎない……」

「お前はお前だ」

[メイン] アヌビス神 : 「……そう アイツは言っていたな」

[メイン] ジョジョ : 「そうだね……紳士として失格だった。この場にいる人全員に、挨拶をしていなかった。改めて……」

[メイン] ジョジョ : 「『ジョナサン・ジョースター』」

[メイン] ジョジョ : 「『ジョジョ』だ」

[メイン] 十六夜咲夜 : 「……『JOJO』……」

[メイン] 神原駿河 : 「……ああ」

[メイン] 七七 : 「うん。」

[メイン] ジョジョ : より一層、その姿は薄まって

[メイン] デンジ : 「ジョジョか……付き合いとしては、短い間だったが覚えておくぜ」

[メイン] アヌビス神 : 「フッ……聞き覚えしかないさ
 ジョナサン・ジョースター…………おまえの雄姿……『覚えた』ぞ」

[メイン] ジョジョ : もうそこに、ひとりの『紳士』の姿は残っていない……

[メイン] : 一八八九年 2月7日
ジョナサン・ジョースター 死亡

[メイン] : 二〇XX年
ジョナサン・ジョースター …………

[メイン] :

[メイン]   :  

[メイン3] 神原駿河 :  

[メイン3] 神原駿河 :  

[メイン3] 神原駿河 : 20XX年、星が振った事で始まった騒動は一気に終息を迎え始めた

[メイン3] 神原駿河 : 根源が破壊された事により、禍を引き寄せていた“重力”のような物が破壊された──

[メイン3] 神原駿河 : と、後に『専門家』達は語ってくれたが、これから語るのはその少し前の話

[メイン3] 神原駿河 : 「……七七、本当にいいのか?」
廃墟の机に腰掛け、隣の小さな背に声を翔

[メイン3] 七七 : 「うん。」

[メイン3] 七七 : 「……赤い石、壊れた。七七、帰るところ、ない」
小さな机に腰掛けたまま、空をぼんやりと

[メイン3] 神原駿河 : 「……」

[メイン3] 神原駿河 : 「では、この仕事が終わったら。私と一緒に探さないか?」

[メイン3] 七七 : 「…………」

[メイン3] 七七 : 「…………!」

[メイン3] 神原駿河 : 「何、時間がかかるにしろ宿は提供するさ、私の家はとても広い」

[メイン3] 七七 : 「!」

[メイン3] 七七 : 「せなのより?」

[メイン3] 神原駿河 : 「ああ、アレよりも広い」
「とはいえ、和風なので趣味が合うかは…」

[メイン3] 七七 : 「……すごい。楽しみ」
「ううん。七七、和風も好きだよ。ほととぎす」

[メイン3] 神原駿河 : 「なら、良かった……」
机から跳ねると、ゆっくり窓へと歩み

[メイン3] 七七 : 「ん」
それに合わせて身体を跳ねさせ。

[メイン3] 神原駿河 : 「さあ、最後の仕事を片付けて、一緒に帰ろう」
「今のうちに、買って欲しい家具でも決めておきたまえ」

[メイン3] 七七 : 「うん。七七、頑張る」
「……ううん。……車のついた、おっきい椅子」

[メイン3] 神原駿河 : 「フフ、了解だ…!」

[メイン3] 神原駿河 : 眼下に蠢く吸血鬼率いる死者の群れへ向け、左腕を向けると──

[メイン3] 神原駿河 : 「行け、“牙”ッ!!」

[メイン3] act4 : スタンドを展開し、“帰り道”の為、眼前の敵へと突撃した

[メイン3] 神原駿河 :  

[メイン3] 神原駿河 :  

[メイン3] 神原駿河 :  

[メイン]   : 「───そして "時は動き出す" 」

[メイン]   : ジョジョの奇妙な冒険

    戦闘卓流  完